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令和七年十二月十一日提出質問第一四五号
最低賃金額の大幅な引上げと地域間格差是正及び中小企業支援強化に向けた取組に関する質問主意書
提出者 屋良朝博
最低賃金額の大幅な引上げと地域間格差是正及び中小企業支援強化に向けた取組に関する質問主意書
令和七年度の地域別最低賃金改定により、沖縄県の最低賃金は千二十三円となったが、なお東京都との間に二百三円の格差が存在している。物価上昇、とりわけ食料品価格の高騰により、最低賃金でフルタイム勤務をしても生活維持や貯蓄が困難な状況が続いている状況を改善するため、最低賃金の引上げによる中小企業への影響に配慮しつつ、最低賃金額の大幅な引上げと地域間格差是正の早期実現が必要であると考えるところ、以下質問する。
一 沖縄県の最低賃金千二十三円では、一日八時間、週四十時間、月百七十三時間働いた場合の年収は約二百十二万円となる。この水準では、労働者が賃金だけで自らの生活を維持し、将来のための貯蓄をしていくことは極めて困難と考えるが、最低賃金法第一条が目的として掲げる「労働者の生活の安定」を実現できると考えているのか、政府の見解を示されたい。
二 全国に比して輸送費が高い沖縄県は、近年の食料品や光熱費など生活関連品の物価の上昇の中で、直近(令和六年)の消費者物価地域差指数が総合で一〇〇・二(全国九位)、食料に限れば一〇六・七(全国一位)と全国的にも高い水準である。また、沖縄県において積極的に取り組んでいる子どもの貧困対策について、その抜本的解決には、子育て世代の所得向上が不可欠である。物価上昇の継続は、特に低所得世帯の生活に深刻な影響を及ぼしていることから、労働者の実質賃金の上昇が必要であり、そのためには、まず最低賃金の大幅な引上げが効果的と考えるが、政府の見解を示されたい。
三 政府は、令和七年六月十三日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」において、最低賃金について「二〇二〇年代に全国平均千五百円」という目標を明記しているが、この目標に向かった努力は継続されるのか、政府の見解を示されたい。また、この目標の達成には、令和七年度から令和十一年度の最低賃金の引上げ率は年平均七・三%必要との指摘がある中で、令和七年度は六・三%であったことから、最低賃金の引上げを更に加速化する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
四 東京都と沖縄県の最低賃金の格差は二百三円であり、月百七十三時間働いた場合の年収の差は四十二万円に及ぶ。最低賃金額の高低と人口の転出入に相関関係があるという指摘もある中で、最低賃金の低い地方の経済が停滞することにより、地域間格差が固定、拡大する懸念がある。加えて、地域別最低賃金額を決定する際の考慮要素とされる労働者の最低生計費は、地方では、都市部に比べて住居費が低廉であるものの、公共交通機関の利用が制限されるため、通勤その他の社会生活を営むために自動車の保有を余儀なくされること等を背景に、地方と都市部との間で、地域間格差がほとんどないとの指摘もある。これらを踏まえ、地域経済の活性化のためにも、地方における最低賃金額の引上げにより早急に格差を是正する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
五 最低賃金の引上げにより経営に大きな影響を受ける中小企業に対しては、円滑な事業の継続と雇用の維持が図られるよう、十分な支援策を講じることが重要であると考える。
1 最低賃金の引上げが中小企業の経営に与える影響について、政府の見解を示されたい。
2 政府による最低賃金引上げに伴う中小企業への支援策である、専門家派遣・相談等支援事業、業務改善助成金、働き方改革推進支援助成金等の実施状況とその効果についての評価を明らかにされたい。
3 社会保険料の減免や減税、補助金など、より即応性・実効性の高い支援策や、取引適正化支援など、長期的・継続的な支援策を導入すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。

