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令和七年十二月十一日提出
質問第一四六号

ウォーターPPP等の推進における問題点に関する質問主意書

提出者  上村英明




ウォーターPPP等の推進における問題点に関する質問主意書


 改めて言うまでもなく、水は健康を維持するために不可欠であり、尊厳ある生活の基礎である公共資源である。本来、公の責任の下で安定的に管理されるべきインフラであるにもかかわらず、政府は、効率化、財政負担軽減等を名目として、上下水道や工業用水道分野において、ウォーターPPP等の官民連携のPFI・PPP方式の導入を全国の自治体に事実上押し付けつつある。これは、国や自治体が責任持って守るべき、水に関わる公共サービスの根幹を市場原理に委ね、住民の安全や負担、自治体の自治権を脅かす重大な政策転換であり、看過できない。
 以上の問題認識の下、質問する。

一 政府は、「PPP/PFI推進アクションプラン」(令和五年改定版)において、ウォーターPPP導入を決定済みであることを、二〇二七年度以降の汚水管の改築(緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除く。)に係る国費支援に関して要件化しているが、要件化の時期を二〇二七年度以降とする理由は何か。具体的に説明されたい。
二 国費支援の要件とすることを梃子として、自治体にウォーターPPP導入等の政策選択を事実上強制することは、地方自治の本旨を侵害し、自治体の自主性を奪う「財政的圧迫による誘導」との批判が広がっている。ウォーターPPPの導入決定を国費支援要件とする手法の正当性や、こうした批判に対する反論を具体的に示されたい。
三 ウォーターPPP導入を決定済みであることを二〇二七年度以降、汚水管の改築の国費支援に関して要件化すること等に関して、多くの自治体等から懸念や批判の声が上がっている。例えば、本年一月二十八日に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損に起因するとみられる道路陥没事件に関して、大野元裕埼玉県知事は、本年七月一日付で国土交通大臣あてに出した要望書の中で、「現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期に亘る更新に目途がつくまでは、慎重に検討をすること。また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としないこと」等を要望している。政府は、こうした自治体の声や要望に応え、ウォーターPPPの導入決定を国費支援の要件とすることを中止する、あるいは当分の間延期するべきと考えるが、政府の見解や方針を具体的に説明されたい。
四 ウォーターPPPは、「レベル三・五」と称される「管理・更新一体マネジメント方式」と「レベル四」と称される「公共施設等運営事業」(コンセッション方式)をあわせたものとされ、「水道事業における官民連携に関する手引き(改訂版)」によると、「原則十年の管理・更新一体マネジメント方式(レベル三・五)の後、コンセッション方式に移行すること」とされている。「管理・更新一体マネジメント方式」を導入して汚水管に係る国費支援を受けた場合、十年後にコンセッション方式に必ず移行しなければならないのか。また、移行しない場合は汚水管に係る国費支援が受けられなくなるのか。政府の方針等を説明されたい。
五 パリの水道事業やベルリンの上下水道事業等で見られるように、世界各地で、コンセッション等の官民連携導入後に水道料金の急騰、サービス低下、汚水事故の増加など深刻な問題が相次ぎ、当該官民連携を終了するいわゆる「再公営化」が進んでいる。政府はこれらの失敗事例というべき諸外国の事例をどのように分析・評価しているのか。更に、このような再公営化事例が多数ある中で、ウォーターPPP等の官民連携や民営化推進を続ける理由は何か。具体的かつ明解に説明されたい。

 右質問する。

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