質問本文情報
令和七年十二月十一日提出質問第一四七号
永住者の在留資格の取消し等に関する質問主意書
提出者 上村英明
永住者の在留資格の取消し等に関する質問主意書
第二百十三回国会において成立した「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律」により、永住者の在留資格の取消しに関する規定(以下「本規定」という。)が整備された。
永住者は、長年にわたり我が国に在留し、地域社会の一員として定着している者であり、こうした永住者の生活実態に鑑みれば、その法的地位の安定性は極めて重要である。しかしながら、本規定は永住者の在留資格の取消事由を定めるものであることから、その運用に当たり、当事者の人権保障や地方自治の観点から懸念が生じている。
このような問題認識に基づき、以下質問する。
一 本規定の審議過程において、岸田文雄内閣総理大臣及び丸山秀治出入国在留管理庁次長は、永住許可が取り消された場合でも、引き続き日本に在留することが適当と認められる場合は、原則として「定住者」の在留資格への変更を許可する旨を説明していた。しかし、条文においてその旨は明記されておらず、解釈上は「特定活動」など他の在留資格への変更も可能であり、直ちに日本から退去させられる可能性が排除されていない。永住許可を取り消された者が、引き続き日本に在留することが適当であると認められる場合、政府は、「定住者」以外の在留資格へ変更することはないとの認識で問題ないか。政府の見解を示されたい。
二 本規定の審議過程において、小泉龍司法務大臣は、永住許可の取消し等に係るガイドラインの策定に関し、「でき得る限り公平な形で、透明性のある形で直接コンタクトを、意思疎通をさせていただくということを考えたい」旨の答弁を行っている。この答弁を踏まえ、多様な背景を持つ永住者当事者が、当該ガイドラインの策定過程に関与し、その意見を反映させる具体的な機会や場は設けられるという理解でよいか。政府の見解を示されたい。
三 改正後の出入国管理及び難民認定法第六十二条第二項は、国又は地方公共団体の職員が、職務の遂行に当たり、永住許可の取消事由に該当すると思料するときは、その旨を通報することができる旨を規定している。
1 地方公共団体は、国から独立して地域住民の福祉の増進を図る役割を担っており、住民との信頼関係は行政執行の基盤である。したがって、出入国在留管理庁がこの地方自治の本旨や自治権を侵害することはあってはならない。この通報は地方公共団体の職員に対し義務を課すものではなく、あくまで任意の協力依頼であると理解してよいか。政府の見解を示されたい。
2 永住者が公租公課を支払わなかった場合においても、当該永住者が取消しを恐れることなく行政に相談し、問題解決に向けた支援を受けられるよう、相談体制等の整備が必要であると考えるが、政府の取組を示されたい。
右質問する。

