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令和七年十二月十一日提出質問第一六〇号
ソウル日本大使館前の慰安婦像の撤去に関する質問主意書
提出者 松原 仁
ソウル日本大使館前の慰安婦像の撤去に関する質問主意書
平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談における慰安婦問題に関する合意の確認後、尹炳世大韓民国(韓国)外交部長官は、共同記者会見の場で、「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。」と明言した。しかしながら、同合意が確認されてから十年を迎えようとしている現時点においても、在韓国日本大使館前の慰安婦像は撤去されていない。さらに、平成二十八年、在釜山総領事館に面する歩道にも慰安婦像が設置され、これも撤去されていない状況にある。
国と国との約束を守ることは、国家関係の基本である。韓国側による合意履行は、両国関係発展の基礎であり、合意に反する慰安婦像の設置維持は、極めて遺憾であると考える。
一方で、この十年間で、韓国における慰安婦問題の認識が変化したと承知している。令和二年に韓国の運動関係者の間で内紛が生じ、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯の尹美香元代表が、元慰安婦と主張する女性の中で最も著名な李容洙氏が実際には慰安婦でなかったことを示唆した。当該発言について、韓国紙・朝鮮日報は、令和二年五月九日付の社説で、「慰安婦問題では国民から寄付を集め、日本からも慰労金を受け取り、最終的に国会議員にまでなった人物たちは今、これまであれほど持ち上げてきた女性を本物ではないかのように、あるいは認知症の老人のように取り扱っている。もし李さんが慰安婦でなかったのなら、これまで彼らはこれを知りながら利用してきたことになる。もしそのことが事実なら絶対に容認できない。」と厳しく批判した。また、李容洙氏は、韓国紙・中央日報のインタビューで「性奴隷」の表現について質問され、「慰安婦という名称は変えてはいけない。性奴隷というが、とても汚くて嫌で仕方ない。尹美香に話した。だが「こう表現してこそ米国が怖がる」と(言っていた)。だから私が「その言葉はやめなさい」「とても恥ずかしい」「私はなぜ性奴隷なのか」(と言った)」と発言し、「性奴隷」という表現を使用しないよう求めた。その後、尹美香元代表は、横領等の罪で起訴され、令和五年二月十日、韓国のソウル西部地方裁判所において有罪判決を受けた。さらに、韓国大法院(最高裁判所)は、令和六年十一月十四日、尹美香被告の上告を棄却し、横領、詐欺等の罪で懲役一年六月、執行猶予三年とした二審の判決が確定した。
以上を踏まえ、次の事項について質問する。
一 在韓国日本大使館及び在釜山総領事館前の慰安婦像の撤去は、日韓関係の発展に不可欠な極めて重要な課題であると考えるが、政府の見解如何。
二 高市早苗総理大臣は、本年十月三十日に行われた李在明韓国大統領との首脳会談において、両公館前の慰安婦像の撤去の話題を取り上げたか。取り上げていない場合、その理由を明らかにされたい。
三 高市早苗総理大臣は、次回の韓国大統領との首脳会談までに両公館前の慰安婦像が撤去されていない場合、韓国大統領に対し撤去を求める方針であるか、明らかにされたい。
右質問する。

