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令和七年十二月十一日提出
質問第一六四号

成年後見制度における後見人の資質向上及び監督体制の強化に関する質問主意書

提出者  松原 仁




成年後見制度における後見人の資質向上及び監督体制の強化に関する質問主意書


 成年後見制度は、高齢者や障害者の権利保護に不可欠な制度である。しかし、近年、後見人による横領、財産管理の不適切処理、身上配慮義務違反(ネグレクト)と評価される事例が報告されている。第二期後見制度利用促進計画でも、後見人の資質向上と監督機能の強化は重要課題と位置付けられている。
 後見制度に対する国民の信頼を確保するため、以下質問する。

一 身上配慮義務違反(ネグレクト)の是正と指導の徹底について
 1 民法八百五十八条は、後見人に対して「本人の生活・療養看護に配慮すべき義務」を明記している。しかし、実務において、本人の意思に反して医療・介護サービスを制限したり、家族との交流を不当に遮断したりする例が指摘されている。こうした身上保護の怠慢を「ネグレクト後見」とする学説も存在する。政府は、後見実務における「ネグレクト」の定義やガイドラインを有しているか明らかにされたい。
 2 第二期成年後見制度利用促進基本計画は、財産管理よりも本人の意思尊重・生活の質(QOL)を重視する理念を掲げている。政府は、この理念を後見実務に反映させるための具体的指導方針を有しているか明らかにされたい。
 3 身上配慮義務に反する重大な行為を行った後見人に対し、米国カリフォルニア州のように、資格剥奪、刑事罰、民事賠償など包括的制裁を課す制度を検討すべきと考える。政府の見解如何。
 4 前記の指摘を踏まえ、現行制度により後見人の資質と業務の質が十分に担保されていると考えるか。政府の見解如何。
二 監督体制の強化と後見人の質の担保について
 1 専門職後見人に対し、同じ士業(弁護士・司法書士等)が監督人として選任され、その監督費用も被後見人の財産から支出される事例がある。利益相反・中立性の欠如が懸念される。第三者性・中立性を担保するため、公的または準公的な監督機関を設置する制度を検討すべきと考えるが、政府の見解如何。
 2 制度利用者による公平な専門職の選択及び、専門職後見人の選択に際する重要な参考情報として、専門職後見人(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の家庭裁判所への登録人数、受任件数、および登録しているが未受任の人数に関するデータは極めて重要である。政府として、これらのデータを把握しているか。把握している場合、士業別の各数値を可能な限り明らかにされたい。
 3 前項のデータを公開することは、専門職後見人の適切な選択、偏在防止、透明性向上に資すると考える。これらのデータ公開について政府の見解如何。
 4 後見人の質の担保について、米国で採用されているような準公的な後見人認定センター(The Center for Guardianship Certification)による試験・認定制度の導入が有効とされる。政府として、後見人の標準的能力を認定する制度の検討状況を明らかにされたい。

 右質問する。

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