衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和七年十二月十二日提出
質問第一七一号

香害及び化学物質過敏症対策に関する質問主意書

提出者  阪口直人




香害及び化学物質過敏症対策に関する質問主意書


 近年、柔軟剤、洗濯洗剤、芳香剤、整髪料、制汗剤等に使用される強い香料成分による、いわゆる「香害」が全国的に深刻化している。これら香料に含まれる揮発性有機化合物(VOCs)等により、頭痛、めまい、呼吸困難、粘膜刺激症状、睡眠障害、認知機能低下等の健康被害が多数報告されている。国民生活センターや自治体の消費生活センターにも継続的に体調不良の相談が寄せられており、もはや一部の個人的問題ではなく、公衆衛生上の問題として顕在化している。
 また、化学物質過敏症(MCS)の重症者においては、公共交通機関、学校、職場、医療機関等への出入りすら困難となり、社会参加が著しく阻害されている。就労不能、休学、医療アクセスの欠如、生活困難、孤立等、深刻な人道問題にまで発展している。
 しかしながら、政府の対応は依然として啓発、注意喚起程度に留まり、香料成分の規制、室内空気質基準、成分表示の義務化、公共施設でのフレグランスフリーポリシー等の制度の改革措置は講じられていない。研究費の不足は深刻で、昨年度の科学物質過敏症を含む中枢神経へのダメージをもたらす病状についての研究費はわずか一千二十四万二千円であり、毒性学、脳科学、疫学等の基盤研究を進めるには程遠い額である。結果、十分な基礎研究が行えず、エビデンスの欠如を理由とした政府の様子見℃p勢が固定化され、被害の不可視化が続いている。
 したがって、次の事項について政府に質問する。

一 化学物質過敏症(MCS)の重症者などにおいては、公共交通機関、学校、職場、医療機関等への出入りすら困難となり、社会参加が著しく阻害されている。就労不能、休学、医療アクセスの欠如、生活困難、孤立等、深刻な人道問題に直面している。「家から外に出られないほど深刻な生活制限を強いられている者」が存在するという事実を政府は認識しているか。政府はこれら一連の「香害」を人権問題として認識しているのか。認識しないならその理由を明示されたい。
二 合成洗剤や柔軟剤などに含まれる微量の揮発性化学物質に反応し、頭痛や吐き気または呼吸困難などの健康被害が生じる香害や化学物質過敏症(MCS)だが、成分の明示(個別成分表示)が義務付けられていない。現状対策に必要な情報が消費者や医療現場に適切に提供されていない状況で健康はおろか生命の危険にさらされている。誰にでもわかる成分の明示及び、健康被害の可能性についても明示化することの義務化を政府は検討しているのか。検討していないのであれば、その理由を示されたい。
三 文部科学省などは香害への理解を深めるために、啓発ポスターを作成するが、これは主に「使いすぎへの注意喚起」に留まっており、香害が社会的・医学的に深刻な問題をもたらすとの認識を十分に示すものではない。現行の啓発施策が香害の深刻性を国民に十分伝えていない可能性について、政府はどのように評価しているか示されたい。また今後、国民に対し、「香害」を広く訴えるのであれば、その具体案も示されたい。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.