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令和七年十二月十二日提出
質問第一七六号

柏崎刈羽原子力発電所の複合災害時などにおける住民避難等に関する質問主意書

提出者  宮川 伸




柏崎刈羽原子力発電所の複合災害時などにおける住民避難等に関する質問主意書


 二〇一一年三月十一日に起こった福島第一原子力発電所の事故は地震と津波との複合災害であった。二〇二四年一月一日に起こった能登半島地震では、道路が寸断され、孤立状態になった地域が多数出た。また、珠洲市では最大約四メートルの大規模な地盤隆起が発生した。この隆起は、建設が計画されていた珠洲原発の立地地域と重なり、もし原発が作られていた場合の被害について懸念された。このように、原発事故は単独で起こる可能性のほか、自然災害と同時に起こる可能性があり、その複合災害に備えた住民避難計画が必要である。
 本年六月十日の原子力問題調査特別委員会において、山中原子力規制委員会委員長は「原災指針には自然災害と原子力災害との複合災害への基本的な考え方が既に示されており、この考え方に沿って各地域での避難計画等を含む緊急時対応は策定されているものと認識をしています」と答弁している。
 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を新潟県知事が容認したが、複合災害に対する避難計画が住民の命を守れるレベルでできているか疑問が残る。本年六月、議長が内閣総理大臣である原子力防災会議で、原子力災害対策指針に責任のある原子力規制委員会委員長も同席の中で、柏崎刈羽原子力発電所で事故が起きた際の避難計画や対応方針を定めた「緊急時対応」(以下「緊急時対応」)が了承されている。

一 福島第一原子力発電所事故では地震発生から一日後に水素爆発が起こり大量の放射性物質が大気中に放出された。従って、原発から半径五キロメートル圏内の「予防的防護措置を準備する区域」(以下PAZ)に住んでいる住民は、事故から数日で避難できる体制が必要である。
 1 「緊急時対応」において、PAZの高齢者施設や病院にいる者なども含め住民の避難に要する時間を何日程度と考えているか。
 2 前問の期間は天候等によって避難環境が異なると考えるが、例えば豪雪など悪環境などの場合、PAZの住民は何日程度で避難できると考えているか。
 3 能登半島地震と同様の地震で複合災害が発生し、例えば道路の寸断、集落の孤立などが起こるケースを「緊急時対応」は想定しているのか。こうした状況になった場合、PAZの住民は何日程度で避難できるのか。
二 地震で家屋が崩壊し屋内退避できなくなる可能性がある。柏崎刈羽原子力発電所の「緊急時対応」において、PAZ近傍に最大二千二百二十二名を収容可能な放射線防護対策施設十七か所が指定されているが、PAZ内の人口は一万八千三百四十五人であり、人口の十一パーセントを収容できるに過ぎず、さらに地震などとの複合災害で多くの家屋が倒壊した場合などを考えると、十分とは言えないと考えるがどうか。十分と考えるなら、その理由を述べよ。
三 
 1 住民避難におけるバスの活用のため、新潟県は、公益社団法人新潟県バス協会と協定書を締結している。この協定には、「平時の一般公衆の被ばく線量限度である一ミリシーベルトを(中略)超える恐れがある場合」には、県はバス協会に要請しないとある。過酷事故の場合、一ミリシーベルトを数時間で超える恐れがあるケースは容易に想定でき、バスの確保は困難となると考える。こうした場合、どう対応するか「緊急時対応」に記述はあるか。特に「緊急防護措置を準備する区域」(UPZ)においては空間線量が〇・五ミリシーベルト/時以上になってから移動が始まるが、この協定の基準に従うと、最大でも二時間程度またはそれ以下の時間のみしかバスの運転手は当該地域で活動できないという理解でよいか。
 2 また、協定が実効性を持つには、バス協会加盟の各バス会社における、労働組合等職員団体との合意等が必要と考える。合意等の取得、締結の状況はどうなっているのか。
 3 また住民避難においては、自治体職員の尽力が不可欠であるが、原子力発電所事故の際の自治体職員の職務について、事前に労働組合などと協議し協定等を結ぶ必要があると思われるがどう考えるか。現在はどのような状況か。
四 十月十日、周辺七市町の首長らが経済産業省などを訪問し原発事故に備えた避難路の整備などを要望している。これらの自治体が避難のために必要だと考える道路の整備などについて、内閣は自治体同様に必要だと考えるのか。必要と考えるならば、こうした要望項目の工事の完成を待たずに、再稼働を行うべきではないと考えるが、どうか。
五 十一月二十一日の花角新潟県知事の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働容認に際し、七項目の条件を示し、「(この七項目に)対する国の対応を確認した上で再稼働を了解する。」とある。国はこの七項目について、どのような対応を行うのか。項目ごとに新潟県と確認した事項を説明せよ。七項目の内、四項目目の「「避難路の整備」「除排雪体制の強化」「屋内避難施設の集中整備の促進」について、迅速かつ集中的に整備すること」とあるが、これらの項目を新潟県が必要だと考え、国が同意したとすれば、これらの整備、強化などが完成しなければ再稼働を行うべきではないと考えるがどうか。
六 「緊急時対応」は、本年六月内閣総理大臣を議長とする原子力防災会議で「了承」されている。この会議において、山中原子力規制委員会委員長は、「柏崎刈羽地域原子力防災協議会において確認された「柏崎刈羽地域の緊急時対応」は、原子力災害対策指針に沿った具体的かつ合理的なものであると考えています。」と述べている。「緊急時対応」の内容に、複合災害への対応を含め、不備があり、また実効性が伴わなかった場合の責任は原子力防災会議、つまり国にあると理解してよいか。
七 原子力防災会議での「緊急時対応」の「了承」はあくまで形式的な了承に過ぎず、避難計画の実効性について実質的な「審査」「承認」が必要であると考える。「緊急時対応」等の避難計画を原子力発電所稼働の前提である原子力規制委員会の審査事項にすべきと考えるがどうか。
 
 右質問する。

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