答弁本文情報
令和七年十二月二十三日受領答弁第一七六号
内閣衆質二一九第一七六号
令和七年十二月二十三日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員宮川伸君提出柏崎刈羽原子力発電所の複合災害時などにおける住民避難等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員宮川伸君提出柏崎刈羽原子力発電所の複合災害時などにおける住民避難等に関する質問に対する答弁書
一の1及び2について
御指摘の「高齢者施設や病院にいる者」等を含め、「PAZ」内の住民が実際に避難に要する時間については、「天候等」や、災害の状況などにより異なることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。いずれにせよ、御指摘の「緊急時対応」は、原子力災害対策指針(令和六年原子力規制委員会告示第八号)において、「PAZにおいては、原則として、施設敷地緊急事態に至った時点で施設敷地緊急事態要避難者を対象として、また、全面緊急事態に至った時点で全ての住民等を対象として、避難を即時に実施しなければならない」、「施設敷地緊急事態要避難者のうち、直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施することにより健康リスクが高まると判断される者については、安全に避難が実施できる準備が整うまで、近隣の、放射線防護対策を講じた施設、放射線の遮蔽効果や気密性の高い建物等に一時的に屋内退避させるなどの措置が必要である」等と、また、防災基本計画(令和七年七月一日中央防災会議決定)において、「複合災害が発生した場合においても人命の安全を第一とし、自然災害による人命への直接的なリスクが極めて高い場合等には、自然災害に対する避難行動をとり、自然災害に対する安全が確保された後に、原子力災害に対する避難行動をとることを基本とする」とされたことを踏まえ、地域原子力防災協議会において策定されたものであり、これに基づき適切に住民の避難が実施されるものと考えている。
一の3について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「能登半島地震と同様の地震で複合災害が発生し、例えば道路の寸断、集落の孤立などが起こるケース」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、複合災害も想定している原子力災害対策指針に基づいて、御指摘の「緊急時対応」において、「複合災害により避難経路が不通となった場合」、「複合災害により陸路が制限される場合」等についても御指摘のように「想定」されたものである。
後段のお尋ねについては、一の1及び2についてでお答えしたとおり、御指摘の「PAZ」内の住民が実際に避難に要する時間は、「天候等」や、災害の状況などにより異なることから、一概にお答えすることは困難である。
二について
御指摘の「十分と考える」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「放射線防護対策施設」については、原子力災害対策指針において、「施設敷地緊急事態要避難者のうち、直ちにUPZ外の避難所等への避難を実施することにより健康リスクが高まると判断される者については、安全に避難が実施できる準備が整うまで、近隣の、放射線防護対策を講じた施設、放射線の遮蔽効果や気密性の高い建物等に一時的に屋内退避させるなどの措置が必要である」と記載されており、御指摘の「PAZ内」全ての住民を収容するものではない。
三の1について
前段のお尋ねについては、御指摘の「緊急時対応」において、バスを念頭に、「不測の事態により確保した輸送能力で対応できない場合など、関係自治体の要請により実動組織(警察、消防、海保庁、自衛隊)が必要に応じ支援を実施」とされているところである。
後段のお尋ねについては、地方公共団体が特定の公益社団法人と締結した協定の内容に関するものであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。
三の2について
お尋ねについては、政府として把握しておらず、お答えすることは困難であるが、御指摘の「協定」において、「新潟県」「から協力要請があった時は、特別の理由がない限り、協力するものとする」とされていることは承知している。
三の3について
前段のお尋ねについては、地方公共団体における職員労働組合に関するものであり、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第五条において、「地方公共団体は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策及び原子力災害事後対策の実施のために必要な措置を講ずること等により、原子力災害についての災害対策基本法第四条第一項及び第五条第一項の責務を遂行しなければならない」とされていることを踏まえ、地方公共団体において適切に対応されるべきものであると考えており、政府としてお答えすることは差し控えたい。
後段のお尋ねについては、同様の理由から、政府として把握しておらず、お答えすることは困難である。
四について
お尋ねの「原発事故に備えた避難路の整備」については、御指摘の「要望項目の工事」が完成するか否かにかかわらず、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)において、「国は(中略)避難道路の多重化・強靱化を始め課題解決に必要な財源確保に向けた方策の検討・具体化等も含め、先進的な課題への取組など立地地域の実情も踏まえつつ、関係府省庁が連携し、地域の持続的な発展に向けた取組を進めていく」としたとおり、政府としても重要であると考えており、例えば、御指摘の「周辺七市町」から「要望」された「避難のために必要だと考える道路の整備」については、令和七年九月二十五日に開催した「第三回原子力災害時の住民避難を円滑にするための避難路の整備促進に向けた協議の枠組み」において新潟県から示されたことを踏まえ、今後、同県が実施する調査に連携して取り組むなど、原子力災害時の住民避難の円滑化のために必要な事業の精査を進めていく考えである。
いずれにせよ、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所(以下「柏崎刈羽原子力発電所」という。)の御指摘の「再稼働」については、同基本計画において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて策定された新規制基準に適合すると原子力規制委員会が認めた原子力発電所についてのみ再稼働を進める」という方針としており、柏崎刈羽原子力発電所についても、当該方針に基づいて、適切に取り組んでいく考えである。
五について
「国はこの七項目について、どのような対応を行うのか」とのお尋ねについては、現時点において、御指摘のように「新潟県と確認した事項」はないが、例えば、令和七年八月二十九日に開催した「第十三回原子力関係閣僚会議」の資料一「地元理解促進に向けた対応」において、「原子力防災の充実・強化」、「東京電力のガバナンス強化策」及び「地元の実情や要望を踏まえた地域振興・防災対策」に取り組む方針を示しており、御指摘の「避難路の整備」、「除排雪体制の強化」及び「屋内避難施設の集中整備の促進」についても、この方針に基づいて取り組んでいく考えである。
また、御指摘の「国が同意した」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、柏崎刈羽原子力発電所の御指摘の「再稼働」については、四についてでお答えしたとおりである。
六について
御指摘の「「緊急時対応」の内容に、・・・不備があり、また実効性が伴わなかった場合」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「緊急時対応」に係る「責任」については、関係省庁、関係地方公共団体等が参加する地域原子力防災協議会の枠組みの下、複合災害も想定している原子力災害対策指針及び防災基本計画に照らして、具体的かつ合理的であることを確認するとともに、内閣総理大臣を議長とし原子力規制委員会委員長が参加する原子力防災会議で了承されているものであり、万が一、原子力災害が発生した場合には、原子力災害対策特別措置法第三条から第五条までに基づき、原子力事業者、国及び地方公共団体のそれぞれが必要な措置を講ずる責務を有しているものである。
七について
お尋ねについては、都道府県及び市町村は、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づき、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第四条第一項に規定する当該都道府県の地域に係る防災に関する計画及び同法第五条第一項に規定する当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成することとされているため、既に、各地域において、実効性のある計画が作成される仕組みとなっており、これらの計画を含む「緊急時対応」は、各地域の地域原子力防災協議会等において、関係省庁及び地方公共団体等の構成員により、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることを確認し、その結果が原子力防災会議に報告され、了承されているものである。
これらのことから、「原子力防災会議での「緊急時対応」の「了承」はあくまで形式的な了承に過ぎず」との御指摘は当たらず、御指摘のように「避難計画を原子力発電所稼働の前提である原子力規制委員会の審査事項」とすることは考えていない。

