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令和七年十二月十二日提出質問第一八七号
外貨準備の為替差益(含み益)の国民への還元に関する質問主意書
提出者 江田憲司
外貨準備の為替差益(含み益)の国民への還元に関する質問主意書
一 直近の我が国の外貨準備は一九〇・七兆円と先進国では突出している。変動相場制では為替レートは市場で決定され、為替介入は稀で例外的な場合に限るべきというのがG7のコミットメントである。にもかかわらず、このような巨額な外貨準備を持つのは異常ではないか。
二 これだけの膨大な外貨準備を保有しているということは、それだけ莫大な為替変動リスクを負っているということを意味する。その認識は政府にあるか。
三 そもそも、為替介入で膨らんだ外為特会のバランスシートは、為替変動リスクを避けるためにも、平時に市場と対話しながら、反対売買で徐々に圧縮していくのが基本ではないか。先進国ではどこでも行っていることで、その結果、先進国の外貨準備は、日本の数分の一から十分の一である。
四 米国債が満期になって償還されるドルは、全額、米国債に再投資(ロールオーバー)されている。そのような国が変動相場制をとる先進国であるのか。
五 満期に至らない米国債売りは、為替介入と米国に受け取られてもやむを得ないが、満期になって償還されるドルを何に使おうが、為替介入とは異なり、主権国家の自由ではないか。行き過ぎた円安の是正効果もあるし、米国にとっても、トランプ大統領が望むドル高是正効果もある。
六 今の外貨準備の「為替差益」「含み益」はいくらか。
七 毎年、償還されてくる米国債の額は、今のレート換算でいくらか。それを全部、円転すると、毎年、差益はいくら出てくるか。
八 毎年、満期となって償還されてくるドルを、米国債に再投資(ロールオーバー)するのではなく、円転して、その差益を国民に還元すべきではないか。
九 市場におけるドル円取引が約一兆$(約一五〇兆円)/日、年換算で三六五兆$(約五京円)という規模からすると、年二〇兆円〜三〇兆円の米国債の償還金を、徐々に為替に有意な変動を及ぼすことなく、円転していくことは十分可能だと考えるが如何。
十 これまで八や九のようなプラクティスをしてきたのは、ひとえに米国への忖度ではないのか。米国債が満期になって償還されてくるドルまで、主権国家たる日本が、その運用につき、米国の了承を得なければならないのか。
十一 百歩譲って、米国債の償還金を円転するのが、実質上の為替介入になるというのであれば、輸入企業のドル建て取引に米国債の償還金($)を貸付け、その企業から円で返済させるとか、償還金($)を活用して、政府予算のドル払いをすればいいのではないか。(例:防衛資機材(二〇二三年度六〇億$)、無償資金協力(同三億$))
右質問する。

