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令和七年十二月十二日提出
質問第一九三号

物価変動等の経済情勢の変化を踏まえた法人税の軽減税率及び相続税の非課税限度額の見直しに関する質問主意書

提出者  松尾明弘




物価変動等の経済情勢の変化を踏まえた法人税の軽減税率及び相続税の非課税限度額の見直しに関する質問主意書


 現在、一部の大企業において賃上げの動きが見られる一方で、我が国の雇用の七割を支える中小企業の経営環境は、原材料価格の高騰等により極めて厳しく、十分な賃上げが進んでいない現状がある。政府は賃上げの波及を目指しているが、中小企業がこの苦境を脱し、持続的な賃上げを実現するためには、実態に即した更なる手当が不可欠である。特に、長期間にわたり据え置かれている税制上の基準額については、近年の急激な物価上昇により実質的な負担増となっており、中小企業の成長や国民生活の安定を阻害する要因となっていると考える。よって、現在の経済実態に合わせ、法人税および相続税における課税ベース等の見直しを行うべきとの観点から、以下質問する。

一 法人税に係る中小法人の軽減税率について
 1 平成二十四年時点との物価水準の乖離について
  中小企業者等の法人税率の特例(租税特別措置法第四十二条の三の二)に基づく中小法人の軽減税率(本則)が十九%に引き下げられたのは平成二十四年度税制改正である。当時の判断として、適用対象となる所得金額の上限は「年八百万円」に据え置かれた。しかし、平成二十四年と現在(令和七年)を比較すると、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数は大きく上昇している。軽減税率の適用ラインが「年八百万円以下」で固定されたまま物価が上昇しているということは、軽減税率の政策効果が減少しているということであるから、見直しを検討すべきではないか。
 2 賃金・コスト上昇に伴う「名目利益」の増加への対応について
  平成二十四年度の全国加重平均の最低賃金は七百四十九円であったが、令和七年度には千百二十一円を超え、約一・四倍以上に上昇している。企業は原材料費や人件費の高騰分を価格転嫁することで売上規模(名目額)を大きくせざるを得ず、それに伴い「名目上の所得」も増加傾向にある。実質的な利益は増えていないにもかかわらず、名目上の所得が増加することによって、高い税率が課されるケースが増えているのではないか。
 3 軽減税率の適用所得金額の上限の見直しについて
  平成二十四年に決定された「税率十九%(特例十五%)・適用上限八百万円」というパッケージが当時の経済状況において適正であったとするならば、その後の物価上昇分を反映させ、上限額を引き上げなければ、当時の政策意図を維持できているとは言えない。近年の急激な物価変動を踏まえ、軽減税率の適用所得金額の上限を、現在の経済状況に合わせて引き上げるべきではないか。
二 相続税に係る死亡保険金等非課税限度額について
 1 「五百万円」という非課税限度額は昭和六十三年に定められて以降、約四十年近く据え置かれている。この間に消費税の税率引上げや物価上昇が進んでいるため、額面が同じでも実質的な非課税枠の価値は目減りしている。見直しを検討すべきではないか。
 2 この非課税限度額は、残された遺族の当面の生活資金を確保するための社会政策的な配慮により設けられている。近年の物価変動や賃金水準(最低賃金は昭和六十三年比で約二・四倍)の上昇を鑑みれば、約四十年前の非課税限度額のままでは、本来の趣旨が果たせなくなっているのではないか。
 
 右質問する。

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