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令和七年十二月十二日提出質問第一九五号
旧共済年金受給者で退職後に厚生年金に加入した者の年金受給権の保障に関する質問主意書
提出者 田村貴昭
旧共済年金受給者で退職後に厚生年金に加入した者の年金受給権の保障に関する質問主意書
当事務所に共済組合の組合員で二〇一五年の被用者年金一元化後六十五歳で退職し、退職時点で旧共済厚生年金(二号から四号厚生年金のこと、以下同じ)の裁定手続をおこない旧共済厚生年金受給者となった後に、厚生年金(一号厚生年金の事。以下同じ)適用事業所に就職し七十歳前に退職した方から年金について相談があった。
その方は、六十五歳になるまで、厚生年金適用事業所に就職したことはなく、六十五歳をすぎてはじめて厚生年金に加入することになった。厚生年金適用事業所退職後に裁定手続申請書など裁定申請を促すお知らせが届かなかったこともあり、ご本人は六十五歳を過ぎての厚生年金期間に対応した年金額が支払われていると認識をしていた。ところが、本年七月に「年金の繰り下げ請求に関するお知らせ」というハガキが届き、繰り下げをしていないのに何でこんなものが来るかと思いつつ、もしかして支払われていない年金があるのかと思い、念のため、年金事務所に問い合わせたところ回答は、「六十五歳の四月以降に加入した厚生年金は、まだ請求されていません。五年で時効となるので、請求を急いでください。」というご本人には衝撃的なものだった。
ご本人が問い合わせを行わなければ裁定申請をしていないことに気づかず、受給できる年金に時効が生じるところだった。まわりの旧共済組合の組合員で退職後に厚生年金加入者となった者に聞いたところ全員が初耳とのことで、年金事務所に問い合わせたところ六人中四人が同じ状況であり、四人のうち二人は時効で消滅している可能性があるということだった。未請求となった方、全てが裁定請求書の送付など申請を促されることはなかったと聞いている。
相談者や相談者が声をかけた方については裁定請求につながりつつあるが、六十五歳以降働く方が増えており、このようなことが繰り返されないようにする必要がある。
以下、質問する。
一 被用者年金を一元化した二〇一五年以降の全ての期間において旧共済厚生年金(被用者年金の一元化前に共済年金として裁定を受けた者を含む。以下同じ)の裁定後に、はじめて厚生年金に加入した方に対して、厚生年金の被保険者資格を失った者に対する裁定請求書の送付など受給漏れを防ぐための取組は行われてきているのか。二〇一五年以降に開始されたのであれば、それはいつから行われたのか、その内容とともに明らかにされたい。
二 相談者に対して、厚生年金は別の裁定請求が必要として手続を求めているにもかかわらず旧共済厚生年金を受給しているので厚生年金は繰下げができないと年金事務所は説明しているようである。年金事務所から六十五歳以降に加入した厚生年金期間にかかる記録の通知があることから当該期間にかかる厚生年金受給権が生じていることは間違いない。旧共済厚生年金を受給していたとしても旧共済厚生年金の裁定請求後に新規加入した厚生年金について別に裁定請求が必要というのであれば、厚生年金の受給権が生じながら請求をしていない状態にあると解するほか無く、厚生年金の繰下げはできると解するがどうか。繰下げができないと解するのであれば、既に請求済みであり六十五歳以降に新規に加入した厚生年金加入期間にかかる厚生年金を受給するために裁定請求は要しないと解さざるをえないと考えるがどうか。
三 厚生年金の受給権は時効で消滅するが、厚生年金の支給を受ける権利の時効について厚生年金保険法九十二条第五項は、国の金銭給付債権の時効は援用を要しないと規定する会計法三十一条の適用を除外しており、年金受給権の時効による消滅には援用が必要だと解するがどうか。時効期間を経過したとしても厚生年金受給権発生について国等からの十分説明を受けなかったため裁定請求ができなかった者については時効の援用を主張すべきではないと考えるがどうか。
四 旧共済厚生年金の裁定請求後に厚生年金に新規に加入した者のように最初の裁定請求手続から時間が空いていることにより手続もれが生じやすくなっている。この者が加入期間に対する年金を受給できないことのないように、当事者への周知とともに旧共済厚生年金の裁定後に当該裁定を行った実施機関から周知するなどの取組を強化するとともに、旧共済厚生年金受給者のうち厚生年金に加入しながら裁定請求を行っていない者に裁定請求書を送付するなど、未請求の事実を通知し、裁定請求を促すこと等が必要と考えるがどうか。
右質問する。

