質問本文情報
令和八年五月十二日提出質問第一三号
在日米軍基地から排出されたPCB含有機器の処理と「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」改正案に関する質問主意書
提出者 辰巳孝太郎
在日米軍基地から排出されたPCB含有機器の処理と「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」改正案に関する質問主意書
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、最大の食品公害事件と言われるカネミ油症事件の原因物質である。北九州市のカネミ倉庫社が製造した食用米ぬか油が、鐘淵化学工業、現在のカネカが製造したPCBに汚染されていたことから、これを食べた方々が吹き出物や肝臓障害、心臓疾患、貧血、骨の変形と、多数の症状に長期にわたって悩まされた。国の不十分な支援措置や、実態に即していない患者認定基準によって、いまだに多くの被害者が苦しんでいる。
PCBは、変圧器やコンデンサー、安定器など電気機器に使用されてきたが、環境中で分解されにくく、生物への蓄積が認められてきたことから、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約によって、廃絶と適正処理が求められている。国内でも、いわゆるPCB特措法により、二〇二七年度までに全てのPCB含有機器の廃止、処理を終了させ、国内から完全に廃絶することとなっている。
有害物質であるPCBの処理は、汚染者負担の原則に基づかなければならない。二〇〇二年には在日米軍施設・区域内のPCB含有機器は米国本土に搬出するとの米国防省の方針が発表され、日本の外交青書・国会答弁でも確認されている。
しかし、防衛省は長年にわたり沖縄県の嘉手納基地や山口県の岩国基地などの米軍のPCB含有機器、廃棄物をひそかに日本側で引き取り、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)等において、処理してきた。
その後二〇二四年に日米両政府は、米国製・海外製のPCB含有機器は日本法令上の期限内に米国に移送して処理し、日本製のものは日本国内で処理する方針で合意したはずである。同年二月二十八日に開かれた衆院予算委員会第六分科会において、政府は田村貴昭議員の「今後、米軍基地において高濃度PCBが発見されたとしても、日本国内では処理をしないということか」との質問に対し、「JESCOの事業所において米軍のPCB廃棄物を処理することは想定しておりません」と答弁した。
ところが、今国会に政府が提出している「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案」では、二〇二七年三月末としていた法定の処分期限を廃止することとし、それを全国に二十六か所ある民間処理施設で処分することとしている。これでは防衛省が在日米軍から返還を受けた施設・区域で保管されていたPCB含有機器も日本側が無制限に処理しなければならなくなる。また無期限かつ無制限に在日米軍からのPCB含有機器を日本の民間処理施設が受け入れ続け、それに政府が関与できない状況になりかねない。
よって、次のとおり質問する。
一 法改正によって高濃度PCB含有電気機器等廃棄物の処理が想定されている二十六箇所の民間処理施設について、運営する企業名、代表者、企業の設立年、資本金、事業内容、従業員数、取引銀行、高濃度PCBの処理施設の所在地及び当該施設の処理能力、及び当該民間処理施設に対する国の関与の仕組みについて明らかにされたい。
二 改正法下において、PCB及びPCB含有機器が残置されている不動産の売買・譲渡は可能か。売買・譲渡は可能な場合、残置されているPCB及びPCB含有機器の届出・管理・処分の責任は誰が負うのか。
三 二〇〇六年にはJESCO東京事業所が、二〇一〇年十一月には豊田事業所がPCBを漏出させる事故を発生させた。二〇一六年には北九州事業所において排ガスから高濃度の有害物質が検出される漏出が発生し、その後一年半にわたって隠蔽していたことが問題となった。今回の法改正によってPCB処理を担う民間の処理施設の不適切な処理や、漏出などの事故を生じさせた場合、近隣への被害の除去、被害者がいる場合の補償のあり方を含む当該企業の責任をどのように果たさせるのか。また、国としてどのように責任を負うのか。
四 二〇〇二年度から直近までの在日米軍施設・区域からのPCB廃棄物量と処理費用についてそれぞれ明らかにされたい。
五 現在防衛省が保管する、在日米軍から施設及び区域が返還された場合の原状回復措置並びに提供施設整備及び米軍再編に係る事業において発生したPCB含有機器及び廃棄物の量を明らかにされたい。
六 現在の在日米軍施設・区域にあるPCB含有機器等、及びPCB含有廃棄物の保有する量について、高濃度と低濃度のそれぞれのPCBの量について施設ごとに総数を明らかにされたい。
七 法改正により、低濃度使用製品事業者は、低濃度使用製品の保有及び使用の状況、使用の場所、使用終了の見込み等を都道府県知事に届け出なければならないとしている。また、高濃度・低濃度PCB廃棄物を保管している事業者は、保管の状況、保管の場所等を都道府県知事に届け出なければならないとしている。これらの規定は在日米軍にも適用するのか。また、指導及び助言、承継の届出、報告の徴収及び立入検査等の規定、届出義務違反の罰則の規定については、在日米軍にも適用するのか。
八 二〇二四年に日米両政府が、米国製・海外製のPCB含有機器は日本法令上の期限内に米国に移送して処理し、日本製のものは日本国内で処理する方針で合意した。この合意は改正法の施行後も有効か。また、法改正により日本法令上の期限が撤廃されたことで、在日米軍施設・区域内に残置されたPCB含有機器等が無制限に放置されることにならないか。
九 在日米軍施設・区域で使用・保管されている高濃度・低濃度PCB含有機器等及び廃棄物の今後の処理について、日本国内での処理の有無及びどのように処理を行っていくのか明らかにされたい。
十 在日米軍から施設及び区域が返還された場合の原状回復措置並びに提供施設整備及び米軍再編に係る事業において発生したPCB廃棄物であっても、国内での処理をさせるべきではないと思料するが、政府の考えは如何。
右質問する。

