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答弁本文情報

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平成十二年十二月二十六日受領
答弁第五六号

  内閣衆質一五〇第五六号
  平成十二年十二月二十六日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員吉井英勝君提出核燃料加工工場臨界事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出核燃料加工工場臨界事故に関する質問に対する答弁書



一及び三の1について

 株式会社日本核燃料コンバージョン(現在の名称は、株式会社ジェー・シー・オーであり、以下「JCO」という。)が核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)に基づいて、昭和五十八年十一月に提出した核燃料加工事業に係る許可申請書(以下「許可申請書」という。)及び昭和六十年八月に提出した核燃料加工事業に係る変更許可申請書(以下「変更許可申請書」という。)において、製造された硝酸ウラニル溶液を入れた複数の容器内の硝酸ウラニル溶液の濃度を同じにする作業(以下「均一化」という。)についての記載はない。しかしながら、許可申請書及び変更許可申請書においては、硝酸ウラニル溶液を貯蔵することについて記載されており、一般的に、液体を貯蔵する際には、その一環として、当該液体を別の容器に詰め替えて複数の容器内の液体の濃度を同じにすることはあり得ることから、硝酸ウラニル溶液に係る適切な臨界管理の方法に従った均一化については、JCOが許可された行為の範囲内に含まれていると考えている。
 変更許可申請書において、複数の容器を用いて硝酸ウラニル溶液を貯蔵する場合については、容器ごとの臨界管理を行うことに加えて、容器間の配置の管理による臨界管理を行うことが記載されている。JCOが、硝酸ウラニル溶液を複数の容器から同量ずつ取り出して別の複数の容器に配分する行為(以下「クロスブレンディング」という。)による均一化を行うに当たっては、変更許可申請書に記載された硝酸ウラニル溶液の貯蔵に係る適切な臨界管理の方法に従ったとの報告を受けており、当該報告が事実であれば、当該均一化は違法な行為とはいえないと考えている。
 なお、科学技術庁が許可申請書及び変更許可申請書の審査の際に作成した安全審査書においては複数の容器を用いて均一化を行う際の臨界管理の方法に関する明確な記載はない。

二の1について

 硝酸ウラニル溶液の輸送については、核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則(昭和五十三年総理府令第五十七号)第十六条第一項第六号の規定に基づく発送前の点検のために、硝酸ウラニル溶液の分析が必要とされているところ、動力炉・核燃料開発事業団(現在の名称は、核燃料サイクル開発機構であり、以下「サイクル機構」という。)は、当該分析を実施する回数を減らすため、同一の硝酸ウラニル溶液として取り扱うことができる一単位の量を増やすことができないかどうかをJCOに対して検討依頼したものと承知している。

二の2及び三の3について

 一及び三の1についてで述べたとおり、JCOがクロスブレンディングによる均一化を行うに当たっては、変更許可申請書に記載された硝酸ウラニル溶液の貯蔵に係る適切な臨界管理の方法に従ったとの報告を受けており、当該報告が事実であれば、当該均一化は違法な行為とはいえないと考えており、また、臨界を発生させるものでもない。

二の3について

 サイクル機構においては、JCOに対してクロスブレンディングによる均一化について指導、助言を行ったことはないと聞いている。

二の4について

 JCOは、サイクル機構に対してクロスブレンディングによる均一化を行うことを説明しているが、クロスブレンディングによる均一化については、硝酸ウラニル溶液に係る適切な臨界管理の方法に従っている限り、JCOが許可された行為の範囲内に含まれており、法第十六条第一項の規定に基づく核燃料加工事業の変更許可(以下「加工事業の変更許可」という。)を要するものではないと考えている。なお、加工事業の変更許可に係る申請の準備から許可までに必要な期間については、申請の内容により異なるため、一概にはいえない。

二の5について

 サイクル機構においては、JCOが法に基づく核燃料加工事業に係る許可を取得していることを確認した上で、硝酸ウラニル溶液に係る契約を結んだものであると承知している。

三の2について

 平成十一年十一月二十六日の原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会第七回会合においては、JCOが当初クロスブレンディングによる均一化を行っていたこと、その後貯塔を使って均一化を行っていたが、これは許可された行為の範囲を逸脱する作業であったこと等を報告した。科学技術庁は、平成十一年十月二十一日のサイクル機構からの聞き取りの時に、これまでに用いられた右のような均一化の方法を知り、その後、JCOに対して、その事実の詳細の調査を行っていたものである。

三の4について

 サイクル機構は、JCOがクロスブレンディングによる均一化を行うに当たって、一つの容器に入れる硝酸ウラニル溶液を、JCOが臨界管理のために定めた硝酸ウラニル溶液の取扱いの制限質量である二・四キログラムウラン以下とし、かつ容器を適切に配置して取り扱うと認識していたため、JCOの臨界管理の方法に問題はないと考えていたと聞いている。
 また、サイクル機構においては、クロスブレンディングによる均一化について、指導、助言を行ったことはないと聞いている。

四の1及び2について

 同じ濃縮度のウラン化合物を製造する場合、湿式法による臨界量は、乾式法による臨界量より小さくなるが、いずれの方式についても十分な臨界管理を行うことができ安全上問題ないと考えている。なお、ウラン化合物の製造について、欧米で湿式法から乾式法に切り替えられている場合があるが、その主な理由は、経済的なものであると承知している。

四の3について

 サイクル機構においては、硝酸ウラニル溶液の製造等のウランの転換加工に係る技術が既に確立したものであり、また、適切な臨界管理の方法に従って行われれば安全なものであると考えたことから、民間の事業者から硝酸ウラニル溶液の供給を受けることとしたものと承知している。
 なお、サイクル機構は、JCOが昭和四十七年以降サイクル機構からウランの転換加工を受託してきた住友金属鉱山株式会社から事業を継承しておりウランの転換加工について豊富な実績を有していること及びJCOがウランの転換加工について豊富な技術を蓄積していることを踏まえて、JCOに対して、硝酸ウラニル溶液の供給を求めたものと承知している。

四の4について

 核燃料加工事業については、事業者から許可申請があった場合には、法第十四条第一項の規定に基づき審査を行った上で、許可をしてきたところであり、核燃料加工事業に係る許可を受けた事業者(以下「加工事業者」という。)が当該許可の内容を遵守すること等により、核燃料加工事業における臨界の発生を防止できると考えている。しかし、JCOは、許可の内容に反した違法な作業を行っていたために臨界を生じさせたものである。
 政府としては、今般、加工事業者についての施設定期検査制度及び保安規定の遵守状況に係る検査制度の創設などを内容とする法の改正が行われたことを踏まえ、今後とも、加工事業者の監督等に万全を期してまいりたい。



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