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平成十四年三月一日受領
答弁第四号

  内閣衆質一五四第四号
  平成十四年三月一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員北川れん子君提出RI・研究所等廃棄物処理処分に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員北川れん子君提出RI・研究所等廃棄物処理処分に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「放射能濃度に応じた処分」については、日本原燃株式会社及び日本原子力研究所が、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第五十一条の二第一項の廃棄物埋設の事業の許可を受けて、これを行っている。すなわち、日本原燃株式会社は、実用発電用原子炉施設から発生する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物及び同社の廃棄物埋設施設の操業に伴って付随的に発生する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物のうち、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和三十二年政令第三百二十四号。以下「原子炉等規制法施行令」という。)第十三条の九第一項の表第一号イに該当するものを、青森県上北郡六ヶ所村所在の濃縮・埋設事業所において埋設処分しており、日本原子力研究所は、その東海研究所JPDR(動力試験炉)の解体に伴って発生した核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物のうち、同表第三号及び第四号に該当するものを、茨城県那珂郡東海村所在の東海研究所において埋設処分している。
 日本原燃株式会社及び日本原子力研究所は、原子炉等規制法第五十一条の十八第一項の規定に基づき、保安規定を定めて経済産業大臣の認可を受けた上で、当該保安規定に従い右に述べた廃棄物埋設施設の巡視・点検等の措置をそれぞれ講じている。また、経済産業大臣は、同条第六項の規定に基づき、これらの措置を含む保安規定の遵守の状況について毎年四回検査を行っている。
 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会が平成十年五月に公表した「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」と題する報告書(以下「報告書」という。)においては、放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物であって廃棄しようとするもの(以下「RI廃棄物」という。)の廃棄体数量を推定するに当たり、原子炉等規制法施行令の放射能濃度上限値を飽くまで参考にしただけのことであり、お尋ねのように「原子炉規制法の基準を放射線障害防止法施設にあてはめる」ことをしたものではない。

二について

 科学技術庁(当時)原子力安全局原子力安全課放射性廃棄物規制室長が、国際放射性廃棄物管理諮問委員会(以下「INWAC」という。)の委員となっているが、INWACには、通常、科学技術庁及び日本原子力研究所の専門家が出席していた。
 昭和六十年の国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)勧告においては、放射線防護を考慮しないで処分できる線量として年当たり十マイクロシーベルトという値が示されており、平成八年に国際原子力機関(以下「IAEA」という。)により出版された「IAEA TECDOC―八五五」におい

ては、御指摘の答弁書で述べたクリアランスレベルを評価するための根拠として年当たり十マイクロシーベルトが示されている。

 このクリアランスレベルの値は、クリアランスされた物質に起因する一年間の外部被ばくによる実効線量と当該物質の吸入摂取及び経口摂取による預託実効線量の合計(自然界から受ける線量を除く。)を示している。
 放射性物質として扱う必要がない物を区別する際の判断方法については、平成十三年に原子力安全委員会が取りまとめた「原子炉施設におけるクリアランスレベル検認のあり方について」において、放射性核種濃度を求めて判断するための代表的な方法が示されている。
 原子炉等規制法に基づく試験研究の用に供する原子炉(以下「試験研究炉」という。)の附帯施設の解体により発生する金属、コンクリート等のうち、クリアランスレベル以下のものについては、再利用又は産業廃棄物と同様の処分を行うことを想定している。

三について

 お尋ねの「国際的に認知されていない」ということの意味が必ずしも明らかではないが、「IAEA TECDOC―八五五」は国際的な安全基準として策定されたものではなく、情報交換等を目的として、クリアランスレベルの考え方、導出方法等について各国の専門家による検討結果を取りまとめた技術文書であることなどから、政府としてはコメントを提出しなかった。

四について

 我が国においては、一般に、「高レベル放射性廃棄物」とは、原子炉に燃料として使用した核燃料物質から核燃料物質その他の有用物質を分離した後に残存するものを指す用語として用いられ、「低レベル放射性廃棄物」とは、高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物を指す用語として用いられており、報告書において、「極低レベル放射性廃棄物」とは、原子炉等規制法施行令第十三条の九第一項の表第三号及び第四号に掲げる放射能濃度以下の放射性廃棄物を指し、低レベル放射性廃棄物のうち極めて放射能レベルの低いものをいう。
 御指摘の「クリアランスレベル以下のもの」の処分をどのような処分場で行うか等については、御指摘の答弁書で述べたとおりであり、これらの再利用又は処分の具体的な内容については、原子力安全委員会において現在も行われているクリアランスレベルの在り方についての検討を踏まえて、今後関係府省において検討していくこととしている。

五について

 お尋ねの放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号。以下「放射線障害防止法」という。)第四十三条の二に基づく立入検査において指摘した「帳簿記載の不備」、「放射線量測定の不備」の具体的内容は、放射性同位元素の使用、保管等に係る帳簿の必要的記載事項(目的、方法、場所、従事者名等)の記載漏れ、放射線の量の測定に必要な測定箇所の不足等、その多くは立入検査の際の指導によって速やかに改善され得る軽微な違反である。これらも含め、違反事実の認められた事業所において改善措置が実施されたことを立入検査の後に確認しており、各事業者においては法令に基づいた放射性同位元素等の適切な取扱いが期待できるものと考えている。
 立入検査における指摘事項の多くは、右に述べたとおり、速やかに改善措置が講じられ得る軽微な違反であることから、立入検査における指摘事項をすべて記録に記載した上で記録簿等として保存しているわけではなく、また、違反件数についての統計も作成していない。
 原子炉等規制法第六十八条に基づく立入検査を行う職員は、その都度、事業者の区分に応じて主務大臣によって選任されるところ、平成九年度においては、試験研究炉を設置した事業所等のうち、一事業所において核燃料物質の使用に係る施設の保安管理状況が適切でない事実が明らかとなったため、三人の職員が当該事業所に対し立入検査を実施したものであり、平成十一年度においては、平成十一年九月に発生した株式会社ジェー・シー・オー東海事業所における臨界事故を受け、同年十月四日付け東海村ウラン加工施設事故政府対策本部の決定に基づき、核燃料物質の使用に係る施設に対し緊急総点検を行うため二十一人の職員が立入検査を実施したものである。

六について

 放射線障害防止法に基づき廃棄の業の許可を受けた者(平成十四年二月現在で十二事業所)は、放射線障害防止法第二十条に基づき排気設備の排気口及び排水設備の排水口における放射性同位元素の濃度の測定、事業所境界における放射線の量の測定等を実施しなければならない。これらの事業所に対する立入検査の回数は、平成八年度に一回、平成九年度に八回、平成十年度に一回、平成十一年度に一回であり、立入検査の際に前記の測定の記録、測定方法等について検査を行っている。
 試験研究炉を設置した事業所等においては、事業所の一部の施設で放射性廃棄物を焼却処理している場合がある。これらの事業所に対する立入検査の回数は、平成九年に一回、平成十一年に九回であり、立入検査の際に必要な場合には当該施設周辺の河川水、土壌等の環境放射能分析を行っている。

七について

 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会及び同部会RI・研究所等廃棄物分科会(以下「部会等」という。)では、RI廃棄物及び試験研究炉を設置した事業所等から発生する放射性廃棄物(以下「研究所等廃棄物」という。)の処理処分に関して、安全確保のための諸制度の整備等について検討して報告書を取りまとめたものであり、部会等の委員の選定については、御指摘の答弁書で述べたとおりであり、安全確保を考慮しない委員はいないものと考えていることから、再度委員を選び直して検討を行うことは考えていない。

八について

 クリアランスレベルの在り方に関する原子力安全委員会の検討状況については、平成十二年三月から同年九月までは放射性廃棄物安全基準専門部会において、同年十二月からは原子力安全基準専門部会に設置されたクリアランス分科会において、それぞれ審議を行ってきているところである。これらの審議は公開で行われ、その速記録及び資料は財団法人原子力安全技術センターの原子力公開資料センターにおいて公開されており、詳細はこれら速記録等により承知されたいが、審議の概要は、原子炉施設におけるクリアランスレベル及びその検認の在り方等についてである。

九について

 ICRPの放射線防護の考え方においては、少ない放射線量でも何らかの健康に対する悪影響を起こすことがあると仮定し、また、すべての被ばくは経済的及び社会的要因を考慮に加えた上、合理的に達成できる限り低く抑えるべきであるとされているものと承知している。
 原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会においても、報告書の「さいごに ―国民の理解を得つつ処分事業の着実な実施を図るために―」の中で、「処分事業の実施が地域住民の健康や周辺の自然環境に対する影響を与えないよう必要な安全対策を講ずることはもちろん」とあるように、右に述べたICRPの考えを踏まえ、安全確保を考慮しつつ、報告書をまとめたところである。

十について

 RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理又は処分については、現時点においても、関連法令の整備についての考え方、手続、日程等も含めて決定する段階には至っていない。



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