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答弁本文情報

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平成十五年二月七日受領
答弁第四七号

  内閣衆質一五五第四七号
  平成十五年二月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出テロ対策特別措置法の目的達成の進捗状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出テロ対策特別措置法の目的達成の進捗状況に関する質問に対する答弁書



一について

 政府は、アル・カイダ及びタリバーンの構成員が、アフガニスタンとパキスタン・イスラム共和国との間の国境近辺に広がる辺境地帯等に逃走及び潜伏し、また、陸路又は海路を経てアフガニスタンから脱出しており、特に相当数のアル・カイダの幹部が逃亡しているため、世界各地において更なるテロリズムの行為を引き起こす可能性が存在するとの情報に接してきている。
 このような情報に照らせば、平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「テロ対策特措法」という。)第一条第一号にいう「テロ攻撃によってもたらされている脅威」は、現在も存在すると考える。

二について

 テロ対策特措法第一条第一号にいう「国際連合憲章の目的」とは、同憲章第一条に定める国際連合の目的を指すものである。

三について

 一についてで述べたとおり、政府としては、現在も「テロ攻撃によってもたらされている脅威」が存在すると考えているが、アル・カイダ及びタリバーンの構成員が世界各地に拡散していることから、テロ対策特措法にいうテロ攻撃(以下「今回のテロ攻撃」という。)と同様の攻撃が再発する可能性について不確実さが増したこと、今回のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努める諸外国の軍隊等により行われているアル・カイダ及びタリバーンを掃討するための作戦は、通常の国家間における正規軍同士による戦争等とは本質的に形態を異にしていることから、これまでの作戦目的の達成度を具体的に示したり、今後の作戦の進ちょく度合いを予断することが困難であること等を踏まえると、テロ対策特措法第一条に掲げる目的が現在どの程度達成されているのかについて明示することは困難である。

四の1について

 お尋ねについては、衆議院議員金田誠一君提出小泉政権におけるテロリズムに対する認識に関する再質問に対する答弁書(平成十四年二月五日内閣衆質一五三第二九号。以下「答弁書」という。)二の1についてでお答えしたとおりである。

四の2について

 今回のテロ攻撃は、同時に複数の航空機を不法に奪取した上で複数の標的を攻撃する等高度の組織性及び計画性が認められるものであり、今回のテロ攻撃に関し平成十三年九月十二日に採択された国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)決議第千三百六十八号及び同月二十八日に採択された同決議第千三百七十三号は、個別的又は集団的自衛の固有の権利について改めて言及している。アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)政府は、国際連合憲章第五十一条に従って安保理の議長に対して提出した平成十三年十月七日付けの書簡において、今回のテロ攻撃並びにアル・カイダによる合衆国及びその国民に対する脅威の継続を受けて、個別的又は集団的自衛の固有の権利に基づき、合衆国に対する更なる攻撃を防止し又は阻止するための行動を開始した旨明らかにしている。その後も、合衆国政府は、累次にわたり、アル・カイダによる合衆国に対する更なる攻撃があり得る旨の警告を発しているところであり、政府としても、一についてで述べた種々の情報に接してきている。政府としては、これらの事実を含む諸般の状況を総合的に勘案した上で、合衆国等による個別的又は集団的自衛権の行使として行われている活動は、答弁書二の1についてでお答えした自衛権の行使の要件を満たしているものと考えている。

四の3について

 御指摘の「相手側が戦闘力を失った状態」がテロリズムの行為に対処する場合において具体的にいかなる状況を指すのか必ずしも明らかではないが、現実の事態においては、諸般の状況を総合的に勘案した上で、答弁書二の1についてでお答えした自衛権の行使の要件を満たしていると判断される場合には、自衛権を行使することが認められると考えている。
 なお、今回のテロ攻撃に対する合衆国等による自衛権の行使として行われている活動は、四の2についてで述べたとおり、自衛権の行使の要件を満たしているものと考えている。

四の4について

 合衆国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、カナダ、フランス共和国、オーストラリア連邦、ドイツ連邦共和国、オランダ王国、ニュー・ジーランド及びポーランド共和国は、国際連合憲章第五十一条に従って、それぞれ平成十三年十月七日、十月七日、十月二十四日、十一月二十三日、十一月二十三日、十一月二十九日、十二月六日、十二月十七日及び平成十四年三月十五日付けの安保理の議長あての書簡をもって、安保理に対し、今回のテロ攻撃を受けて自衛権を行使した旨の報告を行っている。

五の1について

 テロ対策特措法に基づき、今後海上自衛隊の補給艦が合衆国軍隊等の艦艇に補給することとなる艦船用燃料の量については、合衆国軍隊等の具体的所要やこれらとの調整により定まるものであること等から、現時点において確たることを申し上げることは困難であるが、これまでの合衆国軍隊等に対する艦船用燃料の補給実績、海上自衛隊の補給艦の隻数・派遣期間等を踏まえ、平成十四年十一月二十日から平成十五年三月三十一日までの期間の所要として、約十三万七千キロリットル、約五十二億円を見積もっているところである。

五の2について

 テロ対策特措法に基づき海上自衛隊の補給艦が行っている艦船用燃料の補給は、当該補給の相手方となる合衆国軍隊等の艦艇の活動に資する目的でなされるものであり、外洋で行われる当該合衆国軍隊等の艦艇の活動の継続性を確保するため、合衆国等との調整を踏まえて洋上で補給を行っているものである。

六の1について

 海上自衛隊においては、御指摘の「平成八年度以降に係る防衛計画の大綱」を踏まえ、軍事技術のすう勢に対応した対空能力を有する護衛隊群が、「常時少なくとも一個護衛隊群を即応の態勢で維持し得る」体制を確保することとしている。このような体制を確保するためには、艦艇の修理期間や訓練期間を考慮して、四個護衛隊群を保有することが必要であり、また、このうちの一個護衛隊群ごとに対空能力に優れたイージス・システム搭載護衛艦(以下「イージス艦」という。)を少なくとも各一隻配備することが必要であると考えられることから、現在、計四隻のイージス艦を保有している。

六の2及び3について

 イージス艦の保有数を三隻以下にすることについては、四個護衛隊群のうち少なくともイージス艦が配備されない一個護衛隊群の対空能力が格段に劣ることとなり、軍事技術のすう勢に対応した対空能力を有する護衛隊群を「常時少なくとも一個護衛隊群を即応の態勢で維持」し得ないことになることから、適切ではない。
 今般のテロ対策特措法に基づく協力支援活動の実施のためのイージス艦の派遣については、海上自衛隊の艦艇の修理期間や訓練期間等を考慮し、当該派遣の期間であれば、少なくとも一隻のイージス艦を含む一個護衛隊群を常時即応の態勢で維持し得る見込みが得られたことから実施しているものであり、我が国の防衛上支障のないよう配慮しているところである。
 今後のテロ対策特措法に基づく協力支援活動の実施のためのイージス艦の派遣については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)附則第十七項及び第十八項において、テロ対策特措法に基づく協力支援活動等は自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において行う旨規定されていることを考慮に入れ、常時少なくとも一隻のイージス艦を含む一個護衛隊群を我が国防衛のため即応の態勢で維持し得る体制が確保されることを前提に、適宜適切に実施してまいりたい。



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