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平成十五年十月七日受領
答弁第一四号

  内閣衆質一五七第一四号
  平成十五年十月七日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 福田康夫

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員吉井英勝君外三名提出「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君外三名提出「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」に関する質問に対する答弁書



(一)について

 緊急地域雇用創出特別交付金(以下「交付金」という。)は、各地域の実情に応じ、各都道府県及び各市町村の創意工夫に基づいた事業を実施し、緊急かつ臨時的な雇用機会等の創出を図ることを目的としており、大阪府を含め各都道府県及び各市町村がそれぞれ雇用創出効果の高い事業を企画、実施しているものと承知している。
 また、交付金は、臨時応急の措置として、「改革と展望―二〇〇二年度改定」(平成十五年一月二十四日閣議決定)により構造改革の集中調整期間とされる平成十六年度末までに実施する事業を対象としたものであり、事業終了までに必要な事業費は確保され、適切に事業が実施されているものと考えていることから、ホームレスの雇用機会の拡大のために交付金を増額することは考えておらず、現在のところ、事業期間の延長及び制度の充実も考えていない。

(二)について

 ホームレス等試行雇用事業は、事業所での一定期間の試行的雇用により、ホームレスの新たな職場への円滑な適応の促進を図ることを目的として、平成十五年度から実施しているものであるが、今後とも、この事業の実施等により、日雇労働者等技能講習事業によって技能を習得したホームレスの早期再就職の促進を図ってまいりたいと考えている。お尋ねの「助成金」とは、ホームレス等試行雇用事業の一環として事業主に対して支給する試行雇用奨励金を指すものと考えるが、同奨励金の内容については、他の同様の事業の内容等を踏まえて設定したものであり、適切なものであると考えているので、現在のところ、同奨励金の拡充については考えていない。

(三)について

 お尋ねの「公的就労事業」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、失業対策事業等失業者を吸収するために国が実施する特別の事業は、就労者の滞留等の問題が生じるおそれがあることから、国の雇用対策として、これを実施することは適当でないと考えており、ホームレスの就業機会の確保のためには、民間企業における雇用の促進を図っていくべきであると考えている。

(四)について

 ホームレスの就業機会の確保を図るための施策については、「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(平成十五年厚生労働省・国土交通省告示第一号。以下「基本方針」という。)に基づき、地域の実情に応じて、事業主等に対する啓発活動、ホームレスの就職に結び付く可能性の高い職種における求人開拓、きめ細かな職業相談等を実施していくこととしており、お尋ねのような特別の交付金を創設することは考えていない。

(五)について

 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成十四年法律第百五号。以下「ホームレス自立支援法」という。)第十四条の規定に基づき、本年一月から二月にかけて行ったホームレスの全国調査については、屋外の都市公園、河川、道路だけでなく、駅舎その他の施設で起居している者すべてを調査の対象としており、積雪寒冷地域においても、ホームレス自立支援法第二条に規定するホームレスの数を把握できていないとは考えていない。

(六)について

 お尋ねの「緊急雇用対策とホームレス対策の重点地域」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、ホームレスの就業機会の確保を図るための施策については、ホームレスの数等の地域の実情を踏まえて、適切に実施しているところであり、雇用情勢の悪化に対応した雇用施策についても、求職者数や雇用機会等の地域の実情を踏まえて、適切に実施しているところである。
 また、離職を余儀なくされる労働者については、業種別対策を行うのではなく、業種にかかわらず、労働移動支援助成金等により、円滑な再就職を促進することが基本であると考えている。

(七)について

 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に係る日雇労働求職者給付金及び健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第二項に規定する日雇特例被保険者に係る療養の給付については、失業の日又は療養の給付を受ける日の属する月の前二月間に通算して二十六日分以上の保険料が納付されていること等をその受給要件としている。これに関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の改正により同法第三十二条第一項の労働時間が四十四時間から四十時間に短縮されたことを受けて平成六年に従前の二十八日以上の要件から緩和したものであるが、当該労働時間の更なる短縮が行われておらず、また、一般被保険者に係る給付及び負担との均衡を考慮する必要があることから、受給要件の緩和を図ることは適当でないと考える。

(八)について

 お尋ねの「就業支援センター」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、建設業に従事している日雇労働者については、失業によってホームレスとならないよう、そのような者が多数存在する地域において技能講習等を実施しており、また、それらの地域の公共職業安定所に職業相談員を配置し、きめ細かな職業相談等も実施しているところである。今後とも、これらの施策により建設業に従事している日雇労働者がホームレスとならないように努めることとしている。

(九)について

 御指摘の通達は、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定に基づき、住居のない者を居宅で保護するための活用できる手段の一つとして公営住宅の活用を例示したものであるが、公営住宅への優先入居の制度等は、地方公共団体の判断で実施されるものである。したがって、基本方針第3の2の(2)のアにおいては、「地域の住宅事情、住宅のストックの状況等を踏まえつつ、公営住宅の事業主体である地方公共団体において、単身入居や優先入居の制度の活用等に配慮する。」ことを定めるとともに、公営住宅への優先入居の制度等が実施されている場合には、必要に応じ、当該制度等を活用することにより、保護開始時において居宅における生活が可能と認められたホームレス等に対し、居宅において必要な保護が行われるよう、各都道府県等の担当者を集めた会議等において周知を図っているところである。

(十)について

 御指摘の敷金等については、「「生活保護法による保護の実施要領について」の一部改正について(通知)」(平成十五年七月三十一日付け社援発第〇七三一〇〇七号厚生労働省社会・援護局長通知)により、「保護開始時において、安定した住居のない要保護者(保護の実施機関において居宅生活ができると認められる者に限る。)が住宅の確保に際し、敷金等を必要とする場合」で、住居の家賃が一定の額以内であれば、これを支給できることを、各都道府県知事並びに指定都市及び中核市の市長に通知したところであり、お尋ねのような場合であっても、所要の要件を満たせば、敷金等を支給することは可能であると考えている。

(十一)について

 生活保護法第四条第一項においては、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」とされており、稼働年齢層にあって稼働能力を有する者が、当該稼働能力を活用していない場合には、生活保護を適用するための要件を欠くこととなる。一方、基本方針第3の2の(7)のイにおいても、「資産、稼働能力や他の諸施策等あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない者について、最低限度の生活を保障するとともに、自立に向けて必要な保護を実施する。」とされているところであり、同法における右に述べた取扱いは、ホームレス自立支援法及び基本方針に反するものではないと考えている。

(十二)について

 お尋ねの事例は、新宿区が設置した柏木公園における事例と推察するが、同区から聴取したところによれば、同公園における夜間閉鎖に際し本年八月から九月にかけて、同区の環境土木部及び福祉部の職員が共同で同公園に起居していたホームレス十六人の対応に当たり、その結果、八人は大田区にあるホームレスの一時的な保護、心身の健康回復及び社会復帰の支援を行う施設に入所したとのことである。
 同区から聴取したところによれば、同区の対応は、ホームレスの一時的な保護、心身の健康回復及び社会復帰の支援を行う施設への入所をはじめとするホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ行われており、これは、ホームレス自立支援法の趣旨に沿っていると認識している。

(十三)について

 ホームレス対策については、これまでも関係省庁や関係地方公共団体からなるホームレス問題連絡会議を開催したほか、基本方針についても、同連絡会議において関係省庁で十分に協議しながら策定し、これに基づき、関係省庁が予算措置も含め必要な施策を地方公共団体との連携の確保を図りながら行うこととしているなど、関係行政機関が緊密に連携を図りながら、総合的に推進しており、ホームレス対策の推進のための新たな国の機関を設けることは考えていない。
 今後とも、同連絡会議を必要に応じ開催するなど、ホームレス対策の総合的な推進を図ってまいりたい。



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