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平成十六年三月十六日受領
答弁第二三号

  内閣衆質一五九第二三号
  平成十六年三月十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員島聡君提出ブロードバンド環境下におけるコンテンツ流通の促進に資する著作権制度等のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員島聡君提出ブロードバンド環境下におけるコンテンツ流通の促進に資する著作権制度等のあり方に関する質問に対する答弁書



一について

 電気通信役務利用放送法(平成十三年法律第八十五号)第二条第一項において、電気通信役務利用放送とは、「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信であって、その全部又は一部を電気通信事業を営む者が提供する電気通信役務を利用して行うもの」と定義されている。他方、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第八号において、放送とは、「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信」をいうものと定義され、同法第二条第一項第九号の四において、自動公衆送信とは、「公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)」をいうものと定義されている。
 このように、電気通信役務利用放送法上の電気通信役務利用放送と著作権法上の放送等とは、その定義を異にしているところであり、一般論として申し上げれば、いわゆるブロードバンドサービス等を用いて家庭や職場の受信者それぞれがコンテンツの提供を求めることにより初めて当該コンテンツが自動的に送信されるものは、それが電気通信役務利用放送法上の電気通信役務利用放送に該当するか否かにかかわらず、公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う送信形態ではないことから、著作権法上は、放送には当たらず、自動公衆送信に該当すると考えている。

二について

 コンテンツの様々な提供形態を各国における著作権法上どのように位置付けるのかについては、著作権に関する国際条約の規定に基づき整理がなされており、我が国の著作権法もこれに従っている。しかしながら、世界知的所有権機関における放送機関の保護に関する新条約に関する検討の場においても、いわゆるウェブキャスティングの取扱いが課題として提起されていること等から、我が国としても、国際的な動向を踏まえつつ、必要に応じ検討すべき課題であると考えている。

三について

 知的財産戦略本部においてコンテンツビジネス振興の諸課題について検討を行っていることから、この分野におけるコンテンツ流通の環境整備についても、平成十六年二月に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部において決定された「e‐Japan戦略U加速化パッケージ」を踏まえて、この枠組みの下で検討を行っているところである。
 具体的には、知的財産戦略本部の下に置かれたコンテンツ専門調査会において、検討を行っているが、著作権関連のルール整備の問題については、国際的な動向を踏まえつつ、インターネットの重要性の増大に応じた見直しについて、関係府省における検討の促進を図ってまいりたい。

四について

 取引の公平性を保ち、制作者に利潤が確実に還元されることは、コンテンツの流通促進を図る上で極めて重要な事柄であると考えている。
 このような観点から、コンテンツ制作に係る発注者と受注者との間の取引の公正化を一層促進するため、現在、「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針」(平成十年三月十七日公正取引委員会公表)の改定作業を行うとともに、コンテンツの作成等に係る下請取引を適用対象となる取引に追加すること等を内容として平成十五年六月に改正された下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)の適正な運用及びその普及啓発に努めることとしている。また、放送番組については、総務省において開催されている「ブロードバンド時代における放送番組制作に関する検討会」において、関係者間の議論を促進し、その制作委託契約の一層の透明性及び公正性の向上に努めているところである。
 政府としては、まずは、このような諸施策を通じて、コンテンツの流通に係る取引慣行の改善を促進し、制作者に利潤が確実に還元されることを目指してまいりたい。



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