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答弁本文情報

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平成十六年三月十二日受領
答弁第二四号

  内閣衆質一五九第二四号
  平成十六年三月十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員照屋寛徳君提出日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員照屋寛徳君提出日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の事件(以下「本件事件」という。)の公訴事実の要旨は、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊(以下「在沖縄米海兵隊」という。)に所属する上等兵である被告人ジョシュア・エム・メージャー及び伍長である被告人ポール・イー・マンデル三世が、共謀の上、平成十五年十月二十三日午前五時五十五分ころ、沖縄県宜野湾市内の路上において、通行中の二十歳の男性に対し、手拳で顔面を多数回殴打するなどの暴行を加えてその反抗を抑圧し、同人から現金約四千円を強取し、その際、当該暴行により、加療約一週間を要する左頬部打撲等の傷害を負わせたというものである。

二について

 沖縄県警察においては、平成十五年十月二十三日午前六時ころ、被害者からの一一〇番通報により本件事件の発生を認知したと承知している。

三について

 沖縄県警察においては、本件事件の認知後、速やかに、事案の概要及び被疑者の特徴を関係警察署、在沖縄米海兵隊の憲兵隊等に通報し、被疑者の発見を求めるなどの措置を採ったと承知している。

四について

 沖縄県警察においては、平成十五年十月二十三日午前八時四十三分ころ、在沖縄米海兵隊の憲兵隊から、沖縄県警察が通報した特徴を有する者を発見し、憲兵隊の管理下に置いている旨の連絡を受けたと承知している。

五について

 沖縄県警察においては、被疑者について捜査を遂げるために必要な取調べを行い、平成十五年十一月十二日に那覇地方検察庁検察官に事件を送致したと承知している。
 なお、取調べの日時等については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

六について

 改めて調査をしたところ、那覇地方裁判所において行われた本件事件の公判における在沖縄米海兵隊に所属する中佐に対する証人尋問において、検察官と同証人との間で、おおむね御指摘のようなやり取りがあったことを確認している。

七から九までについて

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十七条5(c)にいう「拘禁」とは、逃亡の防止等のために必要な範囲で被疑者の自由を制約する措置をいうと解している。具体的にいかなる措置を採るのかについて、日米地位協定は特定の方法を義務付けているわけではないが、政府としては、この措置は、我が国の捜査当局が行う捜査に支障を生じさせないよう適切に行われるべきものと考えている。この観点から、我が国の捜査当局は、個別の事案において必要と認める場合、アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の当局に対して、例えば、被疑者を拘禁施設に収容して逃走防止を図るよう要請することもあり、米軍の当局は、そうした我が国の捜査当局の要請を含め、事件の内容その他の具体的事情を考慮して、その責任と判断において必要な措置を講じてきているものと承知している。この米軍の当局による措置は、被疑者を米軍の拘禁施設に収容することや被疑者に一定の場所にとどまることを命ずる禁足処分等により行われてきたと承知している。
 なお、一般論として言えば、共犯関係にある者が自由に会うことができる状態にあると、捜査上支障が生じる可能性があるものと考えており、仮に個別の事件に関して捜査上の問題があれば、日米間の協議を通じて解決を図ってまいりたい。

十について

 日米地位協定第十七条5(c)によりアメリカ合衆国が拘禁をしている被疑者が逃亡した事例として、次の二事例を把握している。
 @ 平成四年一月十七日、沖縄県沖縄市において、同県に駐留する米軍(以下「在沖縄米軍」という。)の構成員三名による強盗致傷事件が発生した。被疑者三名のうち一名は沖縄県警察が現行犯逮捕したが、他の二名は現場から逃走し、身柄がアメリカ合衆国の手中にあったことから、当該二名の被疑者については、沖縄県警察において、身柄不拘束のまま事件を那覇地方検察庁検察官に送致したところ、同年三月二日までに二名とも逃亡した。当該二名の被疑者は、同年八月二十九日及び平成五年三月二日にそれぞれアメリカ合衆国内で身柄を拘束され、アメリカ合衆国により在沖縄米軍の当局に身柄を移された後、それぞれ平成四年九月九日及び平成五年三月十七日、那覇地方検察庁において強盗致傷罪で起訴され、収監された。
 A 平成五年五月二十九日、沖縄県沖縄市において、在沖縄米軍の構成員による逮捕監禁及び強姦致傷事件が発生した。被疑者の身柄がアメリカ合衆国の手中にあったことから、沖縄県警察において、身柄不拘束のまま事件を那覇地方検察庁検察官に送致したところ、同年七月十七日までに被疑者が逃亡した。被疑者は、同年十月二十七日にアメリカ合衆国内で身柄を拘束され、アメリカ合衆国により在沖縄米軍の当局に身柄を移された後、同年十一月十七日、那覇地方検察庁において不起訴処分とされた。

十一について

 政府としては、日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しているところである。
 なお、日米地位協定第十七条5(c)については、平成七年十月二十五日、日米地位協定第二十五条1に基づき設置された合同委員会において「合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的考慮を払う。合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。」等を内容とする刑事裁判手続に関する合意がなされ、その後、三件の事件について、この合意に基づく起訴前の拘禁の移転が行われた。



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