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答弁本文情報

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平成十六年六月二十九日受領
答弁第一六三号

  内閣衆質一五九第一六三号
  平成十六年六月二十九日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員伴野豊君提出公的年金制度の一元化等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員伴野豊君提出公的年金制度の一元化等に関する質問に対する答弁書



 1及び2について

 公的年金制度の一元化の問題は、就業構造の変化に対応し、公的年金制度の安定化及び公平化を図る上で重要な課題である。
 これについては、現在、公的年金制度を自営業者等も含めた全国民を対象とする所得比例年金に一本化するという議論があるが、この仕組みについては、すべての被保険者について公平な保険料を賦課するための基礎となる所得をどのようにとらえるか、自営業者については事業主負担がないため保険料負担が被用者の二倍となることをどのように考えるか、賃金が低い者や就労時間が短い者の給付水準が大きく低下するおそれがあることをどのように考えるか、就業生活からの引退の態様が全く異なる被用者と自営業者を同一の給付と負担を行う制度の下で扱うことができるか等、その導入に当たっては、様々な制約や十分に議論が必要な問題があると考えている。
 もとより、どのような形で公的年金制度の一元化を図っていくかについても様々な意見があるところであり、本年五月六日の自由民主党、民主党及び公明党による年金制度改革に関しての三党合意においては、「年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的見直しを行い、平成十九年三月を目途に結論を得て、随時実施するものとする。」とされ、また、衆議院における修正により追加された国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「改正法」という。)附則第三条第一項において、「社会保障制度に関する国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとする。」と規定し、同条第二項において、「公的年金制度についての見直しを行うに当たっては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方について検討を行うものとする。」と規定していることを踏まえ、政府として、必要な検討を行ってまいりたい。

 3について

 お尋ねについては、「公的年金制度の一元化の推進について」(平成十三年三月十六日閣議決定)において、「被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るために、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め、更なる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るための方策について、被用者年金制度が成熟化していく二十一世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」とされており、この閣議決定等に沿った取組を鋭意進めてまいりたい。

 4について

 日本たばこ産業共済組合(以下「たばこ共済」という。)に加入していた法人(以下「日本たばこ産業株式会社等」という。)に使用される被保険者の保険料率は千分の百五十五・五、日本鉄道共済組合(以下「鉄道共済」という。)に加入していた法人(以下「旅客鉄道会社等」という。)に使用される被保険者の保険料率は千分の百五十六・九であり、一般の厚生年金保険の被保険者の保険料率の千分の百三十五・八よりそれぞれ高くなっているが、この格差については、厚生年金保険の保険料率が段階的に引き上げられていくことにより解消することとされている。なお、一般の厚生年金保険の被保険者の保険料率は現行の千分の百三十五・八から毎年千分の三・五四ずつ引き上げられ、平成二十一年九月に千分の百五十七・〇四となり、現行の日本たばこ産業株式会社等及び旅客鉄道会社等に使用される者の保険料率を上回ることとなるため、同月以後は、これらの者に係る保険料率についても一般の厚生年金保険の保険料率と同率とすることとしている。
 農林漁業団体職員共済組合(以下「農林共済」という。)に加入していた農林漁業団体等(以下「農林漁業団体等」という。)に使用される被保険者の保険料率については、一般の厚生年金保険の被保険者の保険料率に、平成十六年九月までの間にあっては千分の十六・四を、平成十六年十月から平成二十年九月までの間にあっては千分の七・七を、それぞれ加算した率としているが、平成二十年十月以後は、一般の厚生年金保険の被保険者の保険料率と同率とすることとしている。

 5について

 厚生年金保険制度は、被用者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、被用者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするものであり、事業主との間に一定の使用関係が認められる者について適用することとしており、所要の要件に該当しない者は、厚生年金保険が適用されないこととなる。
 しかしながら、近年、短時間労働者をはじめ厚生年金保険が適用されない形で働く者が増加する中、被用者としての年金保障を充実する観点や、企業間の負担の公平を図る観点から、短時間労働者の厚生年金保険の適用の在り方を見直していくことは重要な課題であると認識しており、この短時間労働者への厚生年金保険の適用についての見直しに当たっては、社会経済の状況、短時間労働者の就業の実態、企業や雇用への影響等を十分踏まえる必要があることから、今般成立した改正法においては、五年後を目途に総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる旨の検討規定を設けているところである。なお、二月以内の期間を定めて使用される者については、当該期間においては厚生年金保険が適用されないが、当該期間を超え、引き続き使用されるに至った場合には、厚生年金保険が適用されることとなっており、また、年金制度が長期間にわたる拠出に基づき生活を支える給付を行う制度であることにかんがみると、この取扱いは合理的なものと考える。

 6について

 平成九年四月のたばこ共済及び鉄道共済の厚生年金保険制度への統合に当たっては、統合前のたばこ共済及び鉄道共済の組合員であった者の当該組合員であった期間に係る年金たる保険給付に要する費用については、各被用者年金制度から財政支援が長期にわたって行われることを考慮し、日本たばこ産業株式会社等及び旅客鉄道会社等に使用される被保険者について、保険料率の特例が適用されているところである。
 また、平成十四年四月の農林共済の厚生年金保険制度への統合に当たっては、統合以降の農林漁業団体等の被保険者数等の見込みについて、統合時の見込みよりも変動するリスクがあることから、農林漁業団体等に使用される被保険者について、保険料率の特例が適用されているところである。
 統合後に日本たばこ産業株式会社等及び旅客鉄道会社等並びに農林漁業団体等に使用される被保険者については、同じ法人の事業所に使用される者として、統合前にたばこ共済及び鉄道共済並びに農林共済の組合員であり統合後に厚生年金保険の被保険者となった者と同様の立場にあること、仮に統合がなければより高い保険料率が適用されることになっていたものであること等を考慮すれば、各被用者年金制度から財政支援を受けていること等を理由として保険料率の特例を適用することとした統合時の整理は、やむを得ないものと考える。

 7について

 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号。以下「法」という。)第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者(以下「第一号被保険者」という。)の資格を取得した者は、法第十二条第一項の規定に基づき、市町村に対して第一号被保険者の資格を取得した旨の届出(以下「資格取得届」という。)をすることが必要であるが、社会保険庁においては、日本国内に住所を有する者であって第一号被保険者の資格を取得する年齢である二十歳に達したもの(二十歳になる以前に法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者(以下「第二号被保険者」という。)となった者を除く。)のうち資格取得届をしないものについて、平成十年度から、資格取得届をなすべき旨の勧奨状を二度にわたり送付しているところである。また、勧奨状の送付にもかかわらず資格取得届をしない者については、年金手帳を送付し、資格取得届がなくても国民年金の適用に係る事務処理を行っているところである。
 また、第二号被保険者から第一号被保険者又は法第七条第一項第三号に規定する被保険者に種別を変更したにもかかわらず、法第十二条第一項又は第五項の規定に基づき被保険者の種別の変更の届出(以下「種別変更届」という。)をしない者についても、平成十年度から、種別変更届をなすべき旨の勧奨状を送付しているところである。
 さらに、今後、送付している勧奨状の内容をより分かりやすいものに改善する等の工夫を行ってまいりたい。



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