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答弁本文情報

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平成十六年十二月七日受領
答弁第四八号

  内閣衆質一六一第四八号
  平成十六年十二月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員佐藤謙一郎君提出国有林野事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤謙一郎君提出国有林野事業に関する質問に対する答弁書



一について

 国有林野事業の改革のための特別措置法(平成十年法律第百三十四号)に基づき、国有林野の管理経営の方針について、林産物の供給に重点を置いたものから公益的機能の維持増進を旨とするものへと転換したところであり、この方針に従い、国有林野全体の面積の約九割を公益的機能を重視した整備を行う森林に位置付け、当該森林では育成複層林施業等の公益的機能の維持増進を図るための森林施業を行っているところである。

二について

 林野庁においては、国有林野内で、伐採、林道工事及び治山工事を行うに当たり、事業実施予定地における野生動植物の生息又は生育に関する情報等を踏まえ、野生動物の繁殖時期を考慮した事業実施期間の設定、土地の形質の変更を極力抑制した路線計画の策定、モノレールの活用など植生に配慮した事業実施方法の採用など、事業実施予定地の状況に応じ、生物多様性の保全のための措置を適切に講ずることとしている。

三の1及び3について

 東北森林管理局においては、平成十三年七月の豪雨により秋田県男鹿市船川港小浜門前字男鹿山国有林百一林班内の芦ノ倉沢(以下「芦ノ倉沢」という。)から土砂が流出して下流の道路に被害が発生したことにかんがみ、今後も芦ノ倉沢の渓床等に堆積する不安定土砂が流出することによって土砂災害が発生するおそれがあると判断し、芦ノ倉沢災害関連緊急治山工事(以下「本工事」という。)を計画したところであるが、御指摘のような、東北森林管理局が当該地区で大規模な山腹崩壊が発生することを予測した事実はない。
 本工事は、渓流の土石流の発生防止や林地の保全を目的とするものであり、不安定土砂の移動の抑止と縦断こう配の緩和を通じて渓床等を安定させることから、大規模な土石流を発生させる要因となることはないと考えている。

三の2について

 財団法人林業土木コンサルタンツの調査報告書では、芦ノ倉沢の不安定土砂量は総量七千八百立方メートルではなく総量約四千九百立方メートルと算出しているところであるが、その算出に当たっては、財団法人林業土木コンサルタンツは、芦ノ倉沢の不安定土砂の堆積箇所の幅及び延長を実測するとともに、周辺の露岩状況の把握や試掘を通じて不安定土砂の深さを推定したところである。

三の4について

 御指摘の芦ノ倉沢と交差する道路は県道男鹿半島線であると承知しており、国土交通省としては、御指摘の暗きょの保守点検・管理状況を把握する立場にないが、道路管理者である秋田県に当該道路の維持管理状況について聞いたところ、同県において適切な維持管理がなされてきているものと考えている。

三の5について

 本工事は、渓流の土石流の発生防止や林地の保全を目的とするものであり、御指摘のような道路の橋りょう工等を行ったとしても、これらの目的を達成することはできないと考える。

三の6及び7について

 本工事を実施するに当たり、東北森林管理局は、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第五十六条第一項の規定に基づき、秋田県知事と協議を行い、その同意を得ているところであるが、秋田県からは、当該協議に関し、本工事は公益上の必要性が高く、かつ、周辺の植生の保全など風致に及ぼす影響を軽減するための措置が講じられていると認められることから同意したものである。

三の8について

 本工事は、自然公園法に定める手続を行った上で実施されており、また、本工事の施工地は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第三十六条第一項に規定する生息地等保護区に指定されておらず、同法第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種の生息又は生育も確認されていないことから、自然公園法及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に違反するものとは考えていない。また、本工事が生物の多様性に関する条約(平成五年条約第九号)上問題となるものであるとは考えていない。

三の9について

 三の6及び7についてで述べたとおり、本工事の実施に当たり、東北森林管理局は秋田県知事と協議を行っているが、当該協議について環境省から秋田県に対して特段の指導を行った事実はない。

三の10について

 芦ノ倉沢一帯は男鹿国定公園に指定されており、国定公園の特別保護地区の指定に当たり必要となる公園計画の追加は、自然公園法第八条第三項の規定により都道府県の申出に基づき行われることから、秋田県から当該地区に係る公園計画の追加について申出があれば検討することとしたい。



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