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平成十七年四月五日受領
答弁第三七号

  内閣衆質一六二第三七号
  平成十七年四月五日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員吉井英勝君提出関西電力美浜原発三号機事故の労働災害等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員吉井英勝君提出関西電力美浜原発三号機事故の労働災害等に関する質問に対する答弁書



(一)について

 平成十六年八月九日に関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)の美浜発電所三号機(以下「美浜発電所三号機」という。)において発生した二次系配管の破損事故(以下「本件事故」という。)による原子炉への影響については、同年九月二十七日の美浜発電所三号機二次系配管破損事故調査委員会において、原子炉の安全に係る系統は正常に作動しており、原子炉圧力、一次冷却材温度等の主要なパラメータは、平成五年四月十九日付けで申請のあった関西電力株式会社美浜発電所三号機原子炉設置変更許可申請書記載の安全評価解析で想定した「主給水管破断」事故の解析結果を上回る影響を示していなかったことを確認した。また、本件事故による二次系配管の破損により冷却水が系外に流出したが、美浜発電所三号機は、加圧水型軽水炉と呼ばれるものであり、当該冷却水中に放射性物質は含まれておらず、周辺環境への放射線による影響は認められていない。
 しかしながら、本件事故は、原子力発電所で発生したものであり、かつ、死傷者十一人という前例のない深刻な結果をもたらしたことから、政府としては、本件事故を原子力発電所における重大な事故と受け止めている。

(二)について

 平成十二年五月に関西電力から当時の資源エネルギー庁に提出のあった「美浜発電所三号機定期安全レビュー報告書」中の「事故・故障等の経験反映状況」において、「昭和六十年頃からPWR点検計画として計画的な肉厚測定が行われており、当時、特に異常な減肉を示している部分は認められなかった」という記述がある。
 この「事故・故障等の経験反映状況」については、平成十二年五月に当時の資源エネルギー庁が取りまとめた「関西電力株式会社美浜発電所三号機定期安全レビューの評価について」において、事故・故障等発生時の対応措置、トラブル経験の反映の仕組み、緊急時の措置が確立し、これらが適切に実施されているかという視点から、国は専門家の意見を聴いて評価を行ったが、国自らが配管の減肉に係る状況を検査により直接確認はしていない。
 また、関西電力の右報告書中の「事故・故障等の経験反映状況」において、「サリー発電所二号機のような事象は発生しないと考えられた」という記述がある。当該記述を含めた報告書全体については、当時、関西電力が行った確率論的安全評価等により美浜発電所三号機の安全性の特徴が総合的に把握されていることから、国は妥当なものと評価した。
 国としては、本件事故を受け、再発防止のため、平成十六年十二月に電気事業法施行規則(平成七年通商産業省令第七十七号)を改正し、検査対象設備や検査方法等の明確化を図るとともに、「原子力発電所の配管肉厚管理に対する要求事項について」(平成十七年二月十八日付け原院第一号原子力安全・保安院通達)を電気事業者に対して発出し、同通達に定める検査対象箇所の選定、測定ポイント及び検査実施時期の設定等に係る遵守事項について、各電気事業者が配管減肉管理を実施する場合にこれらを遵守するよう要請することなどを通じて、安全管理の徹底に努めているところである。

(三)について

 所轄の敦賀労働基準監督署が行った聞き取りによれば、本件事故の発生時に美浜発電所三号機のタービン建屋及びタービン建屋と原子炉建屋の間にある中間建屋(以下「タービン建屋等」という。)の内部にいたことが確認されたのは、別紙に掲げる事業者の労働者であり、事業者別及びタービン建屋等の階層別の労働者数並びに労働者の被災の状況は、別紙のとおりである。

(四)について

 本件事故は、タービン建屋を南北に均等に三区分した場合の北側区域の二階で発生した。別紙に掲げる各事業者に対して所轄の敦賀労働基準監督署が行った聞き取りの結果により、本件事故の発生時にタービン建屋等の内部にいた百五人の労働者の場所ごとの数は、タービン建屋の南側区域では一階二十五人、二階六人、三階三人、中間区域では一階二十九人、二階零人、三階七人、北側区域では一階二人、二階十二人(うち木内計測株式会社の労働者五人が死亡、六人が負傷)、三階零人、南側区域か中間区域かは特定できないが、いずれかの区域の三階で十一人であり、また、中間建屋では、一階四人、二階二人、三階四人であること及び被災した木内計測株式会社の十一人の労働者(以下「被災労働者」という。)以外の者は、本件事故の発生直後、直ちに退避しており、いずれも被災していないことを確認している。なお、被災労働者は、本件事故の発生時には、全員がタービン建屋の二階の本件事故により破損した二次系配管の付近で作業しており、そのうち五人は一階に退避したところを救護されたものである。

(五)について

 お尋ねの「検診」は実施していないが、敦賀労働基準監督署が行った聞き取りや、関西電力が行った被災状況の確認の結果に加え、被災労働者以外の者について、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十七条の規定に基づく労働者死傷病報告や、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定に基づく労災保険給付の申請が行われていないことからも、被災労働者以外に被災した者はいなかったものと承知している。

(六)について

 事業者は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第十条の規定に基づき、一定の規模の事業場ごとに総括安全衛生管理者を選任しなければならず、また、同法第十一条の規定に基づき、一定の業種及び規模の事業場ごとに安全管理者を選任しなければならないこととされている。
 関西電力からの報告によれば、本件事故の発生時には、関西電力が美浜発電所について選任した総括安全衛生管理者及び安全管理者(以下「安全管理者等」という。)は、タービン建屋とは別の同発電所内の事務所にいた。本件事故の発生時にタービン建屋内にいた関西電力の職員は一階に一人であり、タービン建屋の周辺にいた人数については確認できなかった。
 また、株式会社日本アームは、本件事故の発生した日には、タービン建屋内での作業を開始していなかったことなどから、安全管理者等を選任する義務はなく、安全管理者等は置かれていなかった。
 厚生労働省においては、従来から労働安全衛生法に規定する安全管理者等の適切な選任等について周知及び指導を行ってきたところであるが、本件事故を踏まえ、平成十六年十月二十五日に、関西電力に対し、所轄の福井労働局から、事業場の責任者を中心とする安全管理活動の適切な実施等の事故の再発防止対策の徹底について、改めて指導を行ったところであり、今後とも適切に対処していく所存である。


別紙 タービン建屋等における事業者別及びタービン建屋等の階層別の労働者数並びに労働者の被災の状況


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