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答弁本文情報

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平成十八年十月六日受領
答弁第一八号

  内閣衆質一六五第一八号
  平成十八年十月六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出北方領土問題をめぐるプーチン露大統領の発言に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木宗男君提出北方領土問題をめぐるプーチン露大統領の発言に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の報道については、外務省として承知している。

二及び三について

 お尋ねのプーチン・ロシア連邦大統領(以下「プーチン大統領」という。)が行った「発言」については、その速記録がロシア連邦大統領公式ホームページに掲載されており、この「発言」のうち、北方領土問題に関する部分の日本語仮訳は、次のとおりである。
 「日本とは、領土的性質を持つものも含め、我々はすべての係争問題を解決したい。我々はこれらの問題を凍結することを望んでおらず、解決したいと心から考えている。ただし、ロシアにとっても日本にとっても受入れ可能な条件の下においてである。出口を共に探さなければならない。
 私は、特に小泉総理大臣やその他の日本の我々の同僚との最近の交流から、このような理解が日本側にもあるという印象を得た。つまり、かつては我々には、何故か、この問題は日本における内政上のゲームであると思われた。毎回、選挙が行われると、彼らはこのカードを誇張する必要がある。我々としても、仮に、あなた方がそのようにゲームをしたいのであれば、我々もこのゲームを行おう、必要であれば侍の刀も振ろう、その後は刀を鞘に納めて、再び互いに静かに友好的に話し合おうと述べた。他方、もし、あなた方が問題を解決したいのであれば、いかなる攻撃的なレトリックも用いることなく冷静に解決策を探そう。私には、このような理解が存在しており、解決策の模索が始まったと感じられる。解決策の模索は簡単ではないし、迅速でもない。しかしそれは可能である。これで、私はこの話については止めておきたい。
 (中略)
 繰り返すが、領土問題の解決及び平和条約の締結の方法を模索していく。
 (中略)
 この問題への対応が厳しくなったとは思わない。そうではなく、反対であり、我々はこの問題を議論することに同意し、そして議論している。かつて、ソ連邦は五十六年以降この問題を議論することを完全に拒否していた。思い起こしてほしいのは、五十六年には、共同宣言が署名され、同宣言第九項には、平和条約を締結するという条件の下で、二島の日本への引渡しにソ連邦が同意することが記載されている。お分かりか。つまり、最初に平和条約、次に島々の引渡しである。そして、そこには、いかなる条件によるのか、つまり賃借か、永久のものか、金銭と引換えか、無償かについて記載されていない。どこの主権下かについても記載されていない。実際、そのようなことは何もない。私は、それぞれの単語が意味を有しているということを、最初にこれを読んだときから認識していたわけではない。余分なものは一切なく、それぞれの単語は良く考え抜かれたものである。しかし、そのようなものであったし、そして日本側はこれに同意した。さらに、ソ連邦の最高会議も、日本の議会も、この共同宣言を批准した。この提案をしたのは我々ではない。これは日本側が提案したものである。そして、あなた方はこれを批准し、後になって履行を拒否した。
 その後、この宣言に戻ることを要請された。そして「あなた方は戻る用意がありますか、それともないのですか。」と私に質問した。私は、「はい、我々は戻ります。」と述べた。しかし、我々が戻ると、日本側は一層厳しい立場をとり、「あなた方が宣言に戻ったのは良いことですが、我々はまず全四島を望んでおり、それから平和条約です。」と述べた。しかし、これは宣言への復帰ではない。そこには全く別のことが記載されている。このように、立場を厳しくしているのはロシア側ではなく、我々の考えでは、日本側が立場を厳しくしようと試みたのである。
 しかし、私は、今、あなたとこの問題に関する議論を始めなければならないとは思わない。議論は、まずは我々の外務省の専門家にさせよう。私は別のことを強調したい。確かに、人的、文化的、経済的交流の発展は、もちろん、雰囲気作りとなる。しかし、ここに何らかの交換があるとは思わない。我々に経済的、人的、文化的交流をいただければ、我々が島々に関する柔軟な交渉態度を出す、というような交換である。私は、ロシアが関心を持っているのと同様に、日本も、経済的、文化的、人的交流の発展に関心を持っていると考える。これは相互の関心である。しかし、これらの関係を発展させながら、我々は、もちろん、最も困難な諸問題の解決のために良好な雰囲気を生み出すであろう。
 もう一度繰り返すが、私は、特に最近の交流、私の前回の訪日の際に、ペテルブルクを含む最近の総理大臣との交流の際に、日本側は、国家にとって繊細かつ重要なこの要因を、真に解決したいと望み、内政に利用することを望まず、他方で私が認めるところでは、我々と共に問題解決への道を模索することを望んでいるという印象を得た。
 これは可能だと思う。我々は中国とはこれを解決する可能性を見いだし、妥協的な出口と解決を見いだした。
 もし我々が考えれば、もし専門家が考えれば、彼らは双方を満足させる方法を見いだすと思う。もしその方法が妥協的になる場合であっても、妥協する用意がなければならない。」

四について

 政府としては、二及び三についてで述べたプーチン大統領の「発言」は、北方領土問題に関する我が国の立場と相容れない要素も含まれているが、プーチン大統領が北方領土問題の解決に意欲を示した発言であると考えている。

五について

 在ロシア連邦日本国大使館は、御指摘の便宜供与を行っていない。



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