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平成十八年十月十七日受領
答弁第四四号

  内閣衆質一六五第四四号
  平成十八年十月十七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員中川正春君提出医療保険給付における高齢者の患者負担に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中川正春君提出医療保険給付における高齢者の患者負担に関する質問に対する答弁書



1について

 健康保険法(大正十一年法律第七十号。以下「法」という。)第七十四条第一項及び第百十条第二項の規定により、健康保険制度において、七十歳未満の被保険者及びその被扶養者(以下「被保険者等」という。)の一部負担金の負担割合(以下「負担割合」という。)は百分の三十、報酬の額が一定以上である七十歳以上の被保険者等(以下「現役並み所得者」という。)の負担割合は百分の二十、それ以外の七十歳以上の被保険者等の負担割合は百分の十とされていたが、このうち、現役並み所得者の負担割合については、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)による法第七十四条第一項第三号及び第百十条第二項第一号ニの改正により、本年十月一日から百分の三十に引き上げられ、改正内容を説明する資料やポスターの作成・配布等により、その周知を図ってきたところである。
 御質問の「高齢者夫婦二人所帯」という用語は、法令上は用いられておらず、前記資料等において使用している「高齢者夫婦二人世帯」を指すものと思われるが、これは、夫婦ともに七十歳以上の者又は老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)の規定による医療を受けることができる者(以下「老人医療受給対象者」という。)である場合を念頭に置いており、お尋ねの「夫七〇歳、妻六八歳」の事例は、妻が一定の障害の状態にあって老人医療受給対象者である場合以外は、ここにいう高齢者夫婦二人世帯には該当しない。

2について

 現役並み所得者となる者の基準については、健康保険法施行令(大正十五年勅令第二百四十三号。以下「令」という。)第三十四条及び第三十九条の規定により、七十歳以上の被保険者の標準報酬月額が二十八万円以上であって、令第三十四条第二項及び第三十九条第二項に規定する収入(以下「基準収入」という。)の額が、七十歳以上の被保険者及びその被扶養者(七十歳以上である場合又は老人医療受給対象者である場合に限る。)にあっては五百二十万円以上(当該被扶養者がいない七十歳以上の被保険者にあっては三百八十三万円以上)の者が該当するものとしている。
 御質問の事例における「所得」は、基準収入を指すものと思われることから、夫の基準収入の額が三百八十三万円以上五百二十万円未満であることとし、健康保険制度における「夫七〇歳、妻六八歳」の典型的な事例として、夫が被保険者で七十歳、妻がその被扶養者で六十八歳である場合についてお答えすれば、法第七十四条第一項第二号及び第三号並びに令第三十四条の規定により、夫の負担割合は、夫の標準報酬月額が二十八万円以上である場合は百分の三十、標準報酬月額が二十八万円未満である場合は百分の十となる。また、妻の負担割合は、法第百十条第二項第一号イの規定により、いずれの場合も百分の三十となる。
 なお、妻が老人医療受給対象者である場合は、夫の標準報酬月額にかかわらず、夫及び妻の負担割合は、それぞれ百分の十となる。

3について

 2についてでお答えした典型的事例において、夫の被扶養者である六十八歳の妻が七十歳になった場合の負担割合は、法第七十四条第一項第二号及び第三号並びに令第三十四条並びに法第百十条第二項第一号ハ及びニ並びに令第三十九条の規定により、夫の標準報酬月額が二十八万円以上であり、かつ、夫及び妻の基準収入の合計額が五百二十万円以上である場合は、夫、妻ともに百分の三十、それ以外の場合は、夫、妻ともに百分の十である。
 したがって、一般に妻が六十八歳である場合から七十歳になった場合の夫及び妻の負担割合の変化については、次のとおりである。
 (1) 夫の標準報酬月額が二十八万円以上であり、夫の基準収入の額が三百八十三万円以上であって、かつ、夫及び妻の基準収入の合計額が五百二十万円以上である場合は、夫、妻ともにその負担割合は百分の三十で変わらない。
 (2) 夫の標準報酬月額が二十八万円以上であり、夫の基準収入の額が三百八十三万円以上であって、かつ、夫及び妻の基準収入の合計額が五百二十万円未満である場合は、夫、妻ともにその負担割合は、百分の三十から百分の十に変わる。
 (3) 夫の標準報酬月額が二十八万円以上であり、夫の基準収入の額が三百八十三万円未満であって、かつ、夫及び妻の基準収入の合計額が五百二十万円以上である場合は、夫の負担割合は百分の十から百分の三十に変わり、妻の負担割合は百分の三十で変わらない。
 (4) 夫の標準報酬月額が二十八万円以上であり、夫の基準収入の額が三百八十三万円未満であって、かつ、夫及び妻の基準収入の合計額が五百二十万円未満である場合又は夫の標準報酬月額が二十八万円未満である場合は、夫の負担割合は百分の十で変わらず、妻の負担割合は百分の三十から百分の十に変わる。
 なお、妻が老人医療受給対象者である場合は、妻が六十八歳から七十歳になった場合の夫及び妻のそれぞれの負担割合は変わらない。

4について

 健康保険制度においては、一般に七十歳以上の被保険者等の負担割合を百分の十として、七十歳未満のいわゆる現役世代の被保険者等の負担割合である百分の三十に比べて軽減することとしているが、七十歳以上の被保険者等のうち現役並み所得者についての負担割合は、現役世代と同じ百分の三十としている。また、老人保健制度においても、老人医療受給対象者の負担割合は、健康保険制度の七十歳以上の被保険者等の負担割合と同様である。これは、一般には、七十歳以上の被保険者等の負担は、その所得や医療費の水準を考慮して現役世代より軽減することとするものの、七十歳以上の被保険者等であっても現役世代と同様の負担能力を有する者に対しては、世代間の負担の公平を図る観点から、応分の負担を求めるという考え方に基づくものである。
 その際、負担能力の判定基準となる報酬及び基準収入については、七十歳以上の被保険者等のもののみを勘案することを基本とし、現役世代である被保険者等の基準収入の額は合算しないこととしているが、これは、仮に現役世代の基準収入の額を合算することとした場合は、結果的に七十歳以上の被保険者等を支える現役世代に負担を求めることにつながることから、七十歳以上の被保険者等に応分の負担を求めるという考え方に反することとなるためである。
 これらのことから、七十歳以上の被保険者等の負担割合について、基本的に七十歳以上の被保険者等の報酬及び基準収入に応じて設定することは合理的であると考えており、引き続き国民の理解を得られるよう努力してまいりたい。



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