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答弁本文情報

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平成十八年十一月二十四日受領
答弁第一六一号

  内閣衆質一六五第一六一号
  平成十八年十一月二十四日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員江田憲司君提出教育基本法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員江田憲司君提出教育基本法案に関する質問に対する答弁書



一について

 教育基本法案(以下「法案」という。)は、基本法として、我が国の教育の目的及び理念並びに教育の実施に関する基本となる事項等を定めるものである。他方、御指摘のいじめや不登校等の教育をめぐる具体の諸問題については、法案により直ちにその解決策が導き出されるというものではなく、国及び地方公共団体をはじめとして、学校、家庭、地域住民その他の関係者において、相互の連携及び協力の下で、それぞれの問題の解決に向けた施策や措置等を講ずることにより対処する(法案第十三条、第十六条から第十八条まで等参照)必要があると考えている。

二の@について

 法案第二条第五号では、教育の目標の一つとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」ことと「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する」ことを一体として規定することとしたところであり、これらを受ける語句としては「態度を養う」とすることが適当と判断したものである。

二のAについて

 お尋ねの「国を愛する心をもつ」や「国を愛し」等は、現行の学習指導要領において、教科等の目標や内容等として規定しているものであり、法案第二条第五号において、教育の目標として「我が国と郷土を愛する…態度を養うこと」と規定しているのと同様の趣旨のものである。したがって、法案の成立によって、直ちに現行の学習指導要領を改訂しなければならないものとは考えていない。

二のBについて

 我が国と郷土を愛する「態度」と「心」とは別個のものではなく、教育の過程を通じて、一体として養われるものと考えている。

二のCについて

 現在、小学校、中学校及び高等学校等においては、例えば、国家や社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について調べること等を通じて、我が国の国土、歴史、伝統、文化等について理解を深め、我が国に対する愛情を育てる指導が行われており、法案が成立した後においても、このような指導の充実を図ってまいりたい。

三について

 法案は、基本法として、我が国の教育の目的及び理念等を定めるものであるため、義務教育の期間については、時代の要請に応じて柔軟に対応することができるよう、別に法律で定めることとし、法案には規定していない。なお、義務教育である小学校や中学校等の修業年限については、既に学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定されているところである。

四について

 構造改革特別区域において学校設置会社により設置される学校は、法案第六条第一項に定める「公の性質」を有し、学校教育法の規定に基づいて設置されるものであり、同項の規定に抵触するものではない。

五について

 法案第十三条に規定する「相互の連携及び協力」の例としては、保護者や地域住民等が、学校の課外活動における指導への協力や学校の周辺の安全確保のための活動を行うこと等により学校における教育活動に協力すること等が挙げられる。

六の@について

 お尋ねの「教育バウチャー制度」は、論者により捉え方が様々であるものと認識しており、今後、その定義も含め、各方面の意見を聴きながら、対応を考えていくべきものと考えている。

六のAについて

 現在、米国の一部の州等において導入されているいわゆる「教育バウチャー制度」の内容はそれぞれ異なっているが、低所得者や障害者等特定の者を対象として実施されているものと認識している。

六のBについて

 いわゆる「教育バウチャー制度」の導入に伴うものも含め学校選択制については、学校と地域とのつながりが希薄になるなどの指摘がされている一方で、学校に対する保護者などの関心が高まり、家庭や地域の協力を得やすくなるという指摘もされている。
 また、学校選択制の導入については、各地方公共団体において、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携及び協力の観点も踏まえつつ、地域の実情に即して適切に判断すべきであると考える。

七の@について

 「不当な支配」とは、国民全体の意思を離れて一部の勢力が教育に不当に介入する場合を指すものである。「不当な支配」であるか否かが争いとなった場合には、最終的には司法の場において、個別具体の事実関係に即して判断されるものと考える。

七のAについて

 お尋ねの文言は、教育が、日本国憲法の下、国権の最高機関とされ、国民を代表する議員により組織される国会において制定された法律の定めるところにより行われるべきものである旨を明確にするために規定するものであり、御指摘の「国家統制色が強まる」との懸念は当たらない。



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