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平成十八年十二月十五日受領
答弁第二二〇号

  内閣衆質一六五第二二〇号
  平成十八年十二月十五日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出民間で行うことが可能な業務に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出民間で行うことが可能な業務に関する再質問に対する答弁書



一について

 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号。以下「法」という。)第六条第一項各号に掲げる事業所若しくは事務所又は船舶(以下「事業所等」という。)に該当する事業所等(以下「当然適用事業所等」という。)は、当然に同項に規定する適用事業所となり、当然適用事業所等に使用される七十歳未満の者は、当然に厚生年金保険の被保険者(以下単に「被保険者」という。)となる。しかしながら、被保険者の資格の取得及び喪失は、法第十八条第一項の規定に基づき、社会保険庁長官(実際には法第四条及び厚生年金保険法施行令(昭和二十九年政令第百十号)第一条の規定により、地方社会保険事務局長又は社会保険事務所長(以下「社会保険事務所長等」という。))の確認によりその効力が生じることとなる。
 当然適用事業所等となった事業所等の事業主は、法第二十七条の規定による被保険者の資格の取得の届出及び厚生年金保険法施行規則(昭和二十九年厚生省令第三十七号)第十三条の規定による適用事業所となった旨の届出(以下「適用事業所の届出等」という。)を行わなければならないが、適用事業所の届出等が行われていない事業所等(以下「未加入事業所等」という。)に使用される七十歳未満の者については、社会保険事務所長等の被保険者の資格の取得の確認が行われていないため、被保険者の資格の取得の効力は生じていないこととなる。
 当然適用事業所等以外の事業所等に使用される者は、原則として被保険者とはならない。ただし、法第六条第三項及び第四項の規定により、当該事業所等の事業主は、その従業員の二分の一以上の同意を得て社会保険事務所長等に適用事業所となることの認可を申請でき、当該認可を受けた場合、その事業所等(以下「任意適用事業所等」という。)に使用される七十歳未満の者は被保険者となる。また法第十条の規定により、当然適用事業所等及び任意適用事業所等以外の事業所等に使用される七十歳未満の者は、社会保険事務所長等の認可を受けて、被保険者となることができる。

二について

 御指摘の「職権適用」とは、被保険者の資格の取得の確認を職権で行うことを指すものと思われるが、これは、適用事業所の届出等を行わない当然適用事業所等の事業主に対し、社会保険事務所長等が当該適用事業所の届出等を行うよう指導したにもかかわらず、これに応じない場合に行っている。具体的には、社会保険事務所長等が法第百条の二の規定に基づく官公署に対する資料の提出の求めにより入手した資料等を活用して未加入事業所等を把握し、当該事業所等の事業主に適用事業所の届出等を行うよう重ねて指導を行ったにもかかわらず、それに応じない場合、法第百条の規定による事業所等の立入検査等を行って把握した当該事業所等の雇用、給与等の実態に基づき、法第十八条第二項の規定により同条第一項の被保険者の資格の取得の確認を職権で行うものである。

三について

 職権による被保険者の資格の取得の確認が行われた場合には、法第二十七条の規定による届出により被保険者の資格の取得の確認を行った場合と同様に、被保険者の資格の取得の効力が生じ、法第十九条第一項の規定に基づき被保険者の資格を取得した月から被保険者期間に算入され、法第二十二条の規定に基づき標準報酬月額が決定され、法第八十一条第二項及び第三項の規定に基づき具体的な保険料額及び保険料の徴収が始められる月が定められ、法第八十二条第一項及び第二項の規定に基づき当該被保険者については保険料の半額の負担義務が、当該事業主については保険料の半額の負担義務及び保険料の納付義務が具体的に発生する。また、被保険者に対する給付については、法に基づく保険給付を受ける権利を有する前提となる資格が発生し、被保険者期間としての算入が行われることになる。未加入事業所等について、職権による被保険者の資格の取得の確認が行われていない場合には、これらが発生しない。

四について

 職権による被保険者の資格の取得の確認の業務のうち、当該確認に必要な法第百条の規定による被保険者の資格に関する立入検査等については、先の答弁書(平成十八年十二月五日内閣衆質一六五第一七六号)の一についてで規定した「被保険者資格等調査」に該当するが、確認行為そのものは、保険料の負担義務等を発生させることにつながるものの、直接に国民の権利を制限する業務(先の答弁書の一についてで規定した「権利制限処分」)には該当せず、また、保険料の滞納者に対する国税滞納処分の例による処分のような権力的な性格を有する行為としての強制力をもって行使する業務(先の答弁書の一についてで規定した「滞納処分」)にも該当しないと考えられる。

五及び六について

 先の答弁書の二及び三についてでお答えしたとおり、年金保険料の滞納者に対する強制徴収のような権力的な性格を有する業務を行政機関以外の者に行わせる場合の一般的な要件として、当該業務を処理するに当たっての公正性、客観性を担保するための措置及び行政機関の監督体制を十分に確保するための措置を講じることが必要であると考えるが、その具体的な要件については慎重に検討を行う必要があることから、現時点においてその内容及びそれをお示しできる時期の見通しをお答えすることは困難である。



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