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平成二十一年三月二十四日受領
答弁第二一四号

  内閣衆質一七一第二一四号
  平成二十一年三月二十四日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員岡本充功君提出北朝鮮の主張に対する政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員岡本充功君提出北朝鮮の主張に対する政府の認識に関する質問に対する答弁書



一について

 捜査や調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するに足りるものとして整理された情報に基づいて、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)第二条の規定に基づき、これまでに十七名が北朝鮮当局による拉致被害者として認定されている。
 また、政府としては、政府が認定している拉致被害者以外にも拉致の可能性を排除できない事案があるとの認識の下、鋭意捜査・調査を行っているところであるが、お尋ねの「疑いがあると推測される日本人の人数」については、今後の捜査・調査に支障をもたらすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。
 いずれにせよ、政府は、すべての拉致被害者が生存しているという前提に立っている。

二について

 お尋ねの報道の事実関係については、平成二十一年三月十二日夜(日本時間)、国際海事機関(以下「IMO」という。)事務局から我が国を含むIMO加盟国に対し、北朝鮮当局からIMO事務局に対し「試験通信衛星」の打ち上げのための事前通報があった旨の連絡があった。また、同月十三日午前(日本時間)、国際民間航空機関(以下「ICAO」という。)事務局から我が国を含むICAO加盟国に対し、北朝鮮当局からICAO事務局に対し「通信衛星」の打ち上げのための事前通報があった旨の連絡があった。
 一般論として言えば、防衛大臣は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条の二の規定に基づき、
 @ 弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であって航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号)に規定する排他的経済水域を含む。以下同じ。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。
 A @の場合のほか、事態が急変し@の内閣総理大臣の承認を得るいとまがなく我が国に向けて弾道ミサイル等が飛来する緊急の場合における我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため、防衛大臣が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従い、あらかじめ、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。
 政府としてどのような対応をとるかについては、現時点では確たることを申し上げられない。また、その技術的な可能性については、お尋ねの場合が具体的にいかなる状況を指すのか明らかではないため、一概にお答えすることは困難であるが、我が国の弾道ミサイル防衛システムについては、広域を防護し得るスタンダード・ミサイルSM−三を搭載する護衛艦や拠点防御のためのペトリオット・ミサイルPAC−三の配備を進めており、これらによる弾道ミサイル等への対処に万全を期してまいりたい。
 北朝鮮が本発射が「試験通信衛星」であり、「宇宙の平和利用目的」であると主張する場合の国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)決議との関係については、安保理決議第千六百九十五号及び第千七百十八号は、北朝鮮の弾道ミサイル計画に関連するすべての活動は停止されなければならない旨を含んでいるところ、弾道ミサイルと、人工衛星打ち上げに使われる宇宙打ち上げ機はほぼ同一で互換性のある技術に由来するものであることから、実際に人工衛星が打ち上げられるような場合でも、北朝鮮が発射を行えば安保理決議に違反する行為となると考える。
 また、北朝鮮による発射が、国際機関に対する事前通報等国際的な枠組み上の手続に従って行われたとしても、これが安保理決議第千六百九十五号及び第千七百十八号で禁じられる弾道ミサイル計画に関連する活動であることに変わりはなく、発射が安保理決議違反であることに影響を与えるものではないと考える。
 我が国の対北朝鮮措置は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、安保理等における国際社会の動き等を踏まえ、総合的に判断することとしている。
 御指摘の「北朝鮮の動き」に関し、中国及びロシアとも協議を行っているが、外交上の個別のやり取りの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり差し控えたい。

三について

 お尋ねについては、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制をとっていることもあり、断定的なことは申し上げられないが、政府としては、一連の北朝鮮の言動を考えれば、既に核兵器計画が相当に進んでいる可能性を排除することはできないと認識している。
 平成十八年十月九日の北朝鮮による地下核実験実施の発表について、政府としては、北朝鮮が核実験を行った蓋然性が極めて高いものと判断している。
 気象庁では、平成十八年十月九日十時三十五分ころ、北朝鮮北東部の北緯四十一・二度、東経百二十九・二度において、マグニチュード四・九の、自然地震ではない可能性があると考えられる震動を検出している。また、当時、米国は、北朝鮮が地下核実験を実施したことを確認する放射性物質を検出した旨を発表しており、韓国は、国内で採取した大気中に核実験と関連した放射性物質(キセノン)を確認し北朝鮮による地下核実験を公式に確認する旨を発表していると承知している。

四について

 お尋ねの人数については把握していない。
 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第六十一条の二第一項に定める難民の認定の申請をすることができるのは、本邦にある外国人に限られており、脱北者に限らず、外国にいる者は、我が国の難民の認定の申請をすることができない。
 なお、本邦にある外国人から難民の申請があった場合は、難民の地位に関する条約(昭和五十六年条約第二十一号。以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書(昭和五十七年条約第一号)第一条の規定に定める難民条約の適用を受ける難民に該当するか否かを個別に判断している。

五について

 政府としては、北朝鮮の金正日国防委員長の後継問題に関し様々な情報に接しているが、情報収集の内容等について具体的に述べることは、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。
 また、御指摘の「男性」については、政府としては、同人が北朝鮮の金正日国防委員長の子である金正男氏である蓋然性が高いものと認識しているが、確認しているわけではない。
 なお、一般に、不法入国等により真正な身分が判明しないまま退去強制手続が執られ出国した外国人については、その後の身分事項確認に係る追跡調査は行っていないことから、真正な身分事項は確認していない。

六について

 我が国は北朝鮮を国家承認しておらず、外交関係も有していない。したがって、在日本朝鮮人総聯合会(以下「朝鮮総聯」という。)の関連施設は、外交関係に関するウィーン条約(昭和三十九年条約第十四号)に規定される使節団の公館には当たらない。また、同条約には「外交機関に準ずる機関」という区分はない。
 また、朝鮮総聯については、その綱領において、「すべての在日同胞を朝鮮民主主義人民共和国のまわりに総結集させ」、「国の富強発展に特色のある貢献をする」などと掲げて活動を行っているものと承知しているが、お尋ねの「公益性」については、その有無を一概にお答えすることは困難である。
 朝鮮総聯の施設、構成員及び職員を対象とした国税に関する課税上の優遇措置はない。
 これらを対象とした地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)における非課税等の優遇措置はない。なお、地方公共団体において、当該団体の条例に基づき朝鮮総聯の施設に係る固定資産税の減免を行っている例はあると承知している。
 また、朝鮮総聯の構成員及び職員に対して、出入国管理上の優遇措置はない。

七について

 お尋ねの株式会社整理回収機構(以下「整理回収機構」という。)の朝鮮総聯に対する貸金返還請求訴訟については、平成十九年六月十八日に整理回収機構側が勝訴判決を得て、同年七月三日その判決が確定したと承知している。なお、お尋ねの現在までに回収できた金額については、個別の金融機関による個別の取引に関する事項であることから、お答えを差し控えたいが、整理回収機構は、貸金返還請求訴訟において、本件訴訟中の回収により、請求元金を六百二十八億円から六百二十七億円に減縮したものと承知している。
 また、朝鮮総聯中央本部に対する差押え・強制競売については、本件不動産の登記名義人が朝鮮総聯ではなく合資会社朝鮮中央会館管理会(以下「管理会」という。)となっていることから、整理回収機構は、本件不動産に対する強制執行を可能とするため、管理会に対する執行文付与の訴え及び本件不動産の所有者が朝鮮総聯であることの確認等を求める所有権確認等請求訴訟を提起し、現在、それぞれ東京高等裁判所及び東京地方裁判所に係属中であると承知している。



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