答弁本文情報
平成二十二年四月六日受領答弁第三二三号
内閣衆質一七四第三二三号
平成二十二年四月六日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員馳浩君提出インターネットを利用した選挙活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員馳浩君提出インターネットを利用した選挙活動に関する質問に対する答弁書
一について
公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百四十二条及び第百四十六条について、昭和三十年四月六日最高裁判所大法廷判決は「公職の選挙につき文書図画の無制限の頒布、掲示を認めるときは、選挙運動に不当の競争を招き、これが為、却つて選挙の自由公正を害し、その公明を保持し難い結果を来たすおそれがあると認めて、かかる弊害を防止する為、選挙運動期間中を限り、文書図画の頒布、掲示につき一定の規制をしたのであつて、この程度の規制は、公共の福祉のため、憲法上許された必要且つ合理的の制限と解することができる」と判示しており、政府も同様に考えているところである。
公職選挙法第一条においては、同法の目的として「日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期すること」と規定しているところであり、選挙人の自由に表明する意思を尊重するとともに、選挙の公正を確保するため、一定の規制が設けられているものと認識している。
公職選挙法第百四十二条に規定する「頒布」とは、「文書図画を不特定又は多数の者に配布する目的でその内の一人以上の者に配付すること」(昭和五十一年三月十一日最高裁判所第一小法廷決定)をいうものと解されているところ、従来より、不特定又は多数の者の利用を期待してホームページの開設又は書換えをすることは「頒布」に当たると解しているところである。
なお、平成十七年十二月二十二日東京高等裁判所判決も、「ホームページを開設することは、インターネットを通じて不特定多数の者がホームページにアクセスすることを期待し、不特定多数の者に対してホームページの画像を到達させることを目的とするものであるから、現実にインターネットを通じて画像が送信されれば、これが、上記「頒布」に該当することは明らかである」と判示しているところである。
インターネットを選挙運動の手段として認めるか否かについては、御指摘のような論点があることは承知しているが、選挙運動の在り方の問題であり、各党各会派において、十分に議論していただきたいと考えている。