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答弁本文情報

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平成二十三年十二月十六日受領
答弁第一一八号

  内閣衆質一七九第一一八号
  平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員浅野貴博君提出刑事再審請求事件における証拠開示に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員浅野貴博君提出刑事再審請求事件における証拠開示に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘のような事例は承知していない。

二について

 御指摘のような「訓令や通達、指示等」は承知していない。

三及び四について

 検察官による証拠開示については、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第六十二号)において、検察官が取調べを請求した証拠について被告人又は弁護人に開示することはもとより、その証明力を判断するために重要であると認められる一定の類型の証拠や、被告人又は弁護人が明らかにした主張に関連すると認められる証拠についても、被告人又は弁護人から開示の請求があった場合には、開示の必要性の程度と開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、開示をしなければならないこととされ、また、いわゆる検察官手持ち証拠の標目については、証拠開示について争いが生じた場合において、裁判所が、裁定をするに当たって、必要があると認めるときは、検察官に対し、その指定する範囲に属する証拠の標目を記載した一覧表の提示を命ずることができるとされるなど、証拠開示により弊害が生じることの防止に配慮しつつ、その範囲が拡充されるなどした。
 これにより、検察官は、争点の整理や被告人の防御の準備のために必要かつ十分な証拠の開示をすることとなったものであり、御指摘の「全面証拠開示」を内容とする制度を導入することについては、関係者の名誉・プライバシーの侵害、罪証隠滅、証人威迫等の弊害が生じる場合があることや、国民一般から捜査への協力を得ることが困難になるおそれがあるなどの問題があり、慎重に検討する必要があると考えている。
 また、御指摘の「検察官手持ち証拠リストの開示」を内容とする制度を導入することについても、関係者の名誉・プライバシーの侵害の弊害等同様の問題があるほか、その必要性、合理性についても考慮し、慎重に検討する必要があると考えている。
 そして、再審請求事件において、御指摘の「全面証拠開示」や「検察官手持ち証拠リストの開示」を内容とする制度を導入することについても、やはり関係者の名誉・プライバシーの侵害の弊害等同様の問題があり、また、再審請求事件の手続に通常の刑事裁判手続における証拠開示制度と同等の制度を導入することについては、再審が通常の刑事裁判手続を尽くして確定した有罪判決を覆す非常救済手続であり、再審請求事件の手続が公判手続と異なる構造を有していること等をも踏まえる必要があることから、いずれも慎重な検討を要するものと考えている。

五及び六について

 具体的な事案において個々の証拠が「被告人及び有罪の言渡を受けた者に有利な証拠(いわゆる無罪証拠)」に当たるかについては、他の関係証拠の内容等によるところがあり、一概に判断することはできないと考えられるところ、検察官は、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)に基づき、公益の代表者として、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)を含む他の法令がその権限に属させた事務を行っており、厳正公平、不偏不党を旨として、誠実に職務を行い、事案の真相を明らかにすべき立場にあり、刑事事件における検察の訴訟活動は、証拠開示を含め、刑事訴訟法の規定等に基づいて適正に行われているものであって、御指摘のように、検察官が証拠について「有罪判決を取るために恣意的に利用」するなどということはないものと承知している。



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