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答弁本文情報

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平成二十四年四月三日受領
答弁第一四五号

  内閣衆質一八〇第一四五号
  平成二十四年四月三日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員斎藤やすのり君提出八ッ場ダムの地すべり対策及び代替地安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員斎藤やすのり君提出八ッ場ダムの地すべり対策及び代替地安全対策に関する質問に対する答弁書



一の1について

 八ッ場ダム建設事業の検証(以下「八ッ場ダムの検証」という。)に係る検討については、平成二十二年九月に開始したところであるが、これに先立ち、国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所のホームページにおいて八ッ場ダムの建設に伴い地滑り対策を実施する地区として示していた地区は、「横壁地区小倉」、「林地区勝沼」及び「川原畑地区二社平」の三地区である。なお、このうち「横壁地区小倉」については、平成十二年度に地滑り対策を完了している。

一の2について

 御指摘の「関係六都県」に対して国土交通省関東地方整備局が平成十五年十月八日付けで示した「八ッ場ダム事業費変更内容(案)に係る意見・質問に対する回答」における「横壁地区」、「勝沼地区」及び「二社平地区」の地滑り対策工に係る費用は、それぞれ三億九千五百万円、一億円及び八千七百万円である。

二について

 平成二十三年十一月に国土交通省関東地方整備局が公表した「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」(以下「検討報告書」という。)における「地すべり等の対策工」(以下「八ッ場ダムの地滑り等対策」という。)は、「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」(平成二十二年九月二十八日付け国河計調第七号国土交通省河川局長通知別添。以下「実施要領細目」という。)に基づき八ッ場ダムの検証を行うこととなったことを受けて、平成二十二年九月から、既に実施していた調査により得られた結果も踏まえ、同時点における貯水池周辺の湛水に伴う地滑り等の調査と対策に関する最新の技術的知見が反映されている「貯水池周辺の地すべり調査と対策に関する技術指針(案)」(平成二十一年七月一日付け国河治第三十九号国土交通省河川局治水課長通知別添。以下「指針(案)」という。)に基づき、検討を行った結果として示したものである。検討報告書においては、八ッ場ダムの地滑り等対策を実施する地区として、一の1についてでお答えした三地区に加え、新たに対策が必要となる可能性のある八地区を示しており、これらの地区における対策に係る費用の増加分は約百九億七千万円と算定している。
 また、八ッ場ダムの地滑り等対策を含む八ッ場ダムの検証に係る検討の状況及び結果については、国土交通省関東地方整備局のホームページに掲載しており、現時点では同局八ッ場ダム工事事務所のホームページには掲載していないが、同事務所においても適切な情報発信に努めることとしている。

三について

 検討報告書で示した「代替地地区の安全対策工」(以下「八ッ場ダムの代替地安全対策」という。)の検討については、宅地造成等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第八条の規定に基づく許可を必要とする宅地造成に関する工事及び都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条の規定に基づく許可を必要とする開発行為(以下「開発事業」という。)に伴う崖崩れ等による災害等を防止するため、耐震対策等の基本的な考え方を盛り込んだ「宅地防災マニュアル」(平成十三年五月二十四日付け国総民発第七号国土交通省総合政策局宅地課民間宅地指導室長通知別添二)等に基づき行っている。八ッ場ダムの地滑り等対策の検討については、指針(案)に基づき行っているものであり、指針(案)においては、地震時の地滑りの挙動に係る評価手法が現時点で研究途上にあることを踏まえ地震時の外力は考慮されておらず、八ッ場ダムの地滑り等対策の検討においても当該外力は考慮していないが、平成二十三年東北地方太平洋沖地震において、国土交通省所管のダムで既に貯水池周辺の地滑り対策が行われていた箇所で、追加対策が必要になった箇所は確認されていないことも踏まえ、現時点で御指摘の再検討を行う予定はない。

四について

 八ッ場ダムの地滑り等対策については、指針(案)に基づき、地形図及び空中写真の判読、現地踏査等により貯水池周辺の地滑り地形等を抽出した上で、家屋等の貯水池周辺の施設、ダム施設等の保全対象への影響及び地滑り等の規模を考慮し、安定計算等の結果に基づき必要な対策の要否を検討しており、御指摘の「残りの地区・箇所」については、このような検討の結果、事前に対策を実施する必要がないとしたものである。
 なお、八ッ場ダムの貯水池周辺の地滑り等対策については、全国の他のダム事業と同様に、試験湛水を行った上で、湛水に伴う貯水池周辺斜面の安定性を最終的に確認することとしている。
 また、お尋ねの「崩落危険度をどの程度のものと判断したのか」については、「崩落危険度」の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難である。

五の1及び2について

 八ッ場ダムの地滑り等対策については、応桑岩屑流堆積物の存在も考慮して、ボーリング調査等で得た百十二の試料等を基に現時点で得ている土質定数のうち、貯水池周辺斜面の安定性が最も低く評価されるものを用いて安定計算を行っており、現時点で土質定数を見直すことは考えていない。この対策については、安定計算、航空レーザー測量、現地踏査等に基づき、適切に検討を行ったと考えているが、今後の実際の施工に当たっては、必要に応じて、新たに地質調査等を行った上で、これらの結果を詳細設計に反映させることとしている。

五の3について

 八ッ場ダムの地滑り等対策には、八ッ場ダム建設事業の施工において発生する土砂等を利用できる押え盛土工法や、排土工により発生した土砂を押え盛土として転用できる工法を採用している。これらの工法については経済的な施工が可能であり、また、所要の効果が得られる工法であると考えたことから、これら以外の工法を採用した場合の費用は算出していない。

五の4について

 八ッ場ダムの地滑り等対策の検討において、地滑り対策及び未固結堆積物の対策に要する押え盛土工法の土量の合計は約三百七十万立方メートルである。御指摘の「対策」については、八ッ場ダムの総貯留量が一億七百五十万立方メートルであることを考慮し、現時点では特段の対応は予定していない。

五の5について

 御指摘の「大滝ダムにおいてダム堤体完成後に実施してきた地すべり対策の対象地区と計画工事費」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、大滝ダム建設事業において、平成十五年三月に開始した試験湛水を一時中止した後に地滑り対策工事を行った地区は、白屋地区、大滝地区及び迫地区であり、これら三地区における当該工事に係る工事費の合計は約百八十九億円である。
 また、八ッ場ダムの地滑り等対策に係る費用については、貯水池周辺の地形、地質等の条件が異なる大滝ダムの地滑り対策に係る費用と単純に比較できるものではないと考えている。

六の1について

 八ッ場ダムの代替地安全対策は、平成二十二年九月に実施要領細目に基づき八ッ場ダムの検証を行うこととなったことを受けて、同月から、同時点以前の検討においては前提条件としていなかったダムの湛水を前提条件として「宅地防災マニュアル」等に基づき検討を行った結果である。

六の2から6までについて

 八ッ場ダムの代替地安全対策の検討において用いた御指摘の「水位急低下時」における水平設計震度及び残留間隙水圧の値については、それぞれ「改訂新版建設省河川砂防技術基準(案)同解説設計編[T]」(建設省河川局監修)及び指針(案)に基づき設定したものである。また、御指摘の「安全性を保障」の意味するところが必ずしも明らかではないが、八ッ場ダムの代替地安全対策の検討については、現時点で得ている土質定数のうち、盛土の安定性が最も低く評価されるものを用いて安定計算を行ったことも含め、「宅地防災マニュアル」等に基づき、適切に実施したと考えており、現時点で条件を変更して計算を行うことは考えていない。また、今後の実際の施工に当たっては、必要に応じて、新たに地質調査等を行った上で、これらの結果を詳細設計に反映させることとしている。
 なお、平成二十三年東北地方太平洋沖地震において、平成十九年の「宅地防災マニュアル」の改正以降に開発事業の許可がなされた箇所で、滑動崩落が発生した事例は確認されていない。

七の1から3までについて

 御指摘の「地すべり対策及び代替地安全対策」に関する「詳細設計のための調査」、「詳細設計」及び「工事」を実施する時期については、現時点で未定である。

七の4について

 御指摘の「地すべり対策及び代替地安全対策の内容」については、具体的な施工内容が決まった時点で、施工に先立ち地元住民等に説明することとしている。



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