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答弁本文情報

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平成二十四年八月二十一日受領
答弁第三六七号

  内閣衆質一八〇第三六七号
  平成二十四年八月二十一日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員阿部知子君提出臓器移植医療に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出臓器移植医療に関する質問に対する答弁書



Tの1について

 脳死下での臓器提供を行う場合にあっては、臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号。以下「臓器移植法」という。)に基づく脳死の判定(以下「法的脳死判定」という。)が行われる前の患者に対して、移植のために臓器を保存することのみを目的とした処置を行うことは不適切であると考えているが、患者の全身状態を維持するために必要な呼吸や血圧等の管理に係る処置のように、一般の患者に対しても治療等を目的として行われる処置であり、かつ、臓器移植を医学的に適正に実施する上で必要と認められるものについては、結果的に移植のために臓器を保存することに資する処置であっても、不適切であるとは考えておらず、臓器移植法が想定している処置であると考えている。
 また、心停止下での臓器提供を行う場合にあっては、移植のために臓器を保存することのみを目的とした処置であっても、臓器移植を医学的に適正に実施する上で必要と認められる処置であり、かつ、身体に対する侵襲性が極めて軽微なものについては、患者に対して救命治療を尽くしたにもかかわらず脳死状態と診断された後に、当該処置を家族の承諾に基づいて行うことは、不適切であるとは考えておらず、臓器移植法が想定している処置であると考えている。

Tの2から4までについて

 厚生労働大臣が開催する「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」では、法的脳死判定が行われる前の入院直後の治療や集中治療での呼吸管理等の全身管理に係る治療等の患者に対する救命治療の内容等を含め、臓器移植が、臓器移植法、臓器の移植に関する法律施行規則(平成九年厚生省令第七十八号)及び「「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)」(平成九年十月八日付け健医発第一三二九号厚生省保健医療局長通知別紙)に基づき、適切に行われたことについて検証している。このため、お尋ねのドナー管理の内容の再調査、詳細の検証や医療関係者の処分等の必要はないと考えている。

Uの1について

 社団法人日本臓器移植ネットワークによれば、「臓器提供についてご家族の皆様方にご確認いただきたいこと」(以下「説明文書」という。)は、同法人の前身である社団法人日本腎臓移植ネットワーク発足時の平成七年四月一日から使用されている。説明文書を提示したドナー候補者の家族の数は承知していないが、説明文書は、同日から平成二十四年七月三十一日までの間に行われた千六百十九件の脳死下又は心停止下での臓器提供事例の説明の際に使用された。

Uの2及び3について

 Tの1についてで述べたとおり、心停止下での臓器提供を行う場合にあっては、移植のために臓器を保存することのみを目的とした処置であっても、臓器移植を医学的に適正に実施する上で必要と認められる処置であり、かつ、身体に対する侵襲性が極めて軽微なものについては、患者に対して救命治療を尽くしたにもかかわらず脳死状態と診断された後に、当該処置を家族の承諾に基づいて行うことは、不適切であるとは考えていない。
 御指摘のヘパリンの投与については、心停止により血液が途絶すると腎臓の細胞の壊死が急速に進行して移植後の生着率に大きく影響することから、患者の心停止後できるだけ速やかに灌流液を流すため、医療現場で一般的に行われている処置と承知している。また、社団法人日本臓器移植ネットワークによれば、平成七年四月一日から平成二十四年八月十六日までの間に、移植のための腎臓の摘出に際し、術前処置として行われたヘパリンの投与により、ショック、出血、発熱等の副作用が起こった事例はないとのことであり、心停止下での臓器の提供を行う場合に、患者に対して救命治療を尽くしたにもかかわらず脳死状態と診断された後に、ヘパリンの投与を家族の承諾に基づいて行うことは、不適切であるとは考えていない。

Uの4について

 政府としては、臓器提供を行う場合にあっては、臓器提供者の意思が尊重されなければならないと考えている。心停止下での臓器提供の意思はあるが、脳死下での臓器提供は望まない者もいること等から、お尋ねのように心停止後の臓器提供を廃止し、法的脳死判定の手続による臓器提供に一本化することは考えていない。



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