答弁本文情報
平成二十五年八月十三日受領答弁第一〇号
内閣衆質一八四第一〇号
平成二十五年八月十三日
衆議院議長 伊吹文明 殿
衆議院議員長妻昭君提出日本の格差対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出日本の格差対策に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「いわゆる格差が拡大する格差社会の深刻さ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、安倍内閣においては、日本経済再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を一体として、これまでと次元の異なるレベルで強力に推進していくことにより、景気回復、経済成長を着実に実現し、企業収益の改善、国内投資の拡大、生産性の高い部門への労働移動、賃金上昇と雇用の拡大、さらには消費の拡大という好循環を実現することにより、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を確かなものとしてまいりたい。
また、これらの政策と併せて、自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人には必要なセーフティネットを整備することで、自立できる安心を提供し、意欲ある全ての人々が就労などにより社会参加できる環境を整備してまいりたい。
大学等の調査において、家庭の経済的環境と子供の学力や進路との間には関連があるとされているところ、安倍内閣としては、経済的な理由によって修学が困難な者の教育の機会を確保するとともに、全ての子供に確かな学力を身に付けさせるため、奨学金事業や少人数指導の充実等の対策を推進してまいりたい。
平成二十四年就業構造基本調査によれば、同年十月一日時点における非正規の職員・従業員(以下「非正規雇用の労働者」という。)の数は、約二千四十三万人であり、非正規雇用の労働者の数が雇用者全体の数に占める割合も増加してきている。非正規雇用の労働者については、自ら積極的に非正規雇用を選択する者もいるが、一方で、正規雇用の労働者と比較して、雇用が不安定である、賃金が低い、能力開発の機会が少ないといった問題があり、我が国における人的資源の形成・活用にも問題が生じてきていると認識している。
また、独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成二十一年に公表した「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」において、男性の年収と有配偶率との間には関連があり、二十五歳から三十四歳までの「非典型雇用」の男性の有配偶率は、同じ年代の「正社員」の男性の有配偶率の半分以下であるとされている。
安倍内閣としては、正規雇用を希望する非正規雇用の労働者の正規雇用化、人材育成及び企業内のキャリアアップを支援する取組等の対策を推進してまいりたい。
安倍内閣としては、いわゆる格差の拡大を原因として、富裕層における精神疾患の増加、子供の学力の低下及び治安の悪化が起きるかどうかについて、具体的な関連性は把握していない。また、いわゆる格差については、様々な形態があり、その影響について一概にお答えすることは困難である。
一についてで述べたとおり、「頑張る人が報われる」という社会の信頼の基盤を確かなものとしてまいりたいと考えているところ、どの程度の格差が許容されるかを一概にお答えすることは困難であるが、いわゆる格差は国民が納得できるものでなければならず、また、固定してはならないと考えている。