衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十六年二月四日受領
答弁第五号

  内閣衆質一八六第五号
  平成二十六年二月四日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員鈴木貴子君提出東京電力の再建計画に対する政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木貴子君提出東京電力の再建計画に対する政府の認識に関する質問に対する答弁書



一について

 政府が原子力損害賠償支援機構法(平成二十三年法律第九十四号。以下「機構法」という。)に基づき平成二十六年一月十五日に変更の認定を行った東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の特別事業計画(以下「本計画」という。)については、平成二十五年十二月二十日に閣議決定した「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」も踏まえつつ、原子力災害からの福島の再生に向けて、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施、東京電力の福島第一原子力発電所の廃止措置及び同発電所におけるいわゆる汚染水への対応(以下「廃炉・汚染水対策」という。)の着実な実施、更に踏み込んだ経営合理化等に係る取組等が盛り込まれている。
 また、お尋ねの「東電に注入される国費の総額」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、原子力損害賠償支援機構(以下「機構」という。)において、本計画の認定に合わせ、機構法の規定に基づき、東京電力に対し、原子力損害の賠償の履行に充てるための資金(以下「賠償資金」という。)として約九千九百九十五億円を交付することを決定しており、その結果、機構から東京電力に対する賠償資金の交付額の累計は約四兆七千八百八十八億円となる。
 なお、機構が賠償資金の交付を行うために必要となる資金の確保に用いるため、政府は、これまでに合計五兆円の国債を機構に交付しており、平成二十六年度政府予算案において、機構に交付する国債の発行限度額を九兆円に引き上げることとしている。

二から六までについて

 本計画については、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図る上で適切なものであること、経営の合理化のための方策が賠償資金を確保するため最大限の努力を尽くすものであること等の機構法に定める要件を満たすことから、認定を行ったものである。当該認定を行うに当たっては、主務大臣である経済産業大臣において、機構の理事長及び運営委員長並びに東京電力の代表執行役社長に対し、「柏崎刈羽原発の再稼働の時期等については、安全確保が最優先であり、あくまでも収支計画上の仮定としておかれたものと理解している。今回の機構法に基づく計画の認定は、再稼働のタイミングなどについて予断を与えるものではない。」旨を伝達している。
 御指摘の柏崎刈羽原子力発電所を含む原子力発電所の再稼働に当たっては、その安全性を確認することが大前提であり、専門的な知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会において、所定の法令等に基づき、原子力発電所の安全性について評価を行い、必要な判断を行うこととなるところ、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が遅れた場合における電気料金の値上げについては、本計画において、「今後、実際の再稼働時期や費用削減余地について見極め、判断していくこととなる」とされている。仮に、東京電力から電気料金の値上げに係る認可申請が行われた場合には、経済産業省において、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電気料金審査専門小委員会における中立的、客観的な検討を踏まえ、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に基づき、能率的な経営の下における適正な原価に基づくものかどうか等の観点から厳正に審査を行うこととなる。
 また、お尋ねの「日本国民全体の平均年収」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、同省において、平成二十四年における東京電力の電気料金の値上げに係る認可を行うに当たっては、電気料金の原価に算入される東京電力の従業員の平均年間給与については、平成二十三年賃金構造基本統計調査における常用労働者が千人以上の企業における平均値等とも比較しつつ、審査を行ったものであるところ、東京電力においては、その結果等を踏まえ、これまでに、管理職の基本給等について三十パーセントの削減を、一般職の基本給等については二十パーセントの削減を、それぞれ行ってきたものと承知している。その上で、本計画においては、「一・四兆円のコスト削減深掘りの挑戦に向けたインセンティブとして、・・・コスト削減計画を超過達成した場合、超過分の一定割合を半期毎に個人業績に応じ処遇に反映する「処遇制度の改編」を実施する」とされており、この取組は、東京電力における更なる経営の合理化に資するものと承知している。

七及び八について

 平成二十五年十月に会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)の規定に基づき会計検査院長から参議院議長に対して報告された「東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況に関する会計検査の結果について」において、「東京電力は、従来、新興国のIPPが実施する事業への出資に係る配当等について、東京電力の百パーセント子会社であるテプコインターナショナル社に留保し、(中略)これまでの利益の蓄積である利益剰余金が約二億米ドルとなっており、」との記載があること及び「東京電力の置かれた状況に鑑み、子会社における内部留保を有効に活用する観点から同資金の処分について十分な検討が必要である。」との記載があることについて承知している。

九について

 本計画については、機構法に定める要件を満たすことから、認定を行ったものであり、福島の再生には、原子力損害の賠償、除染及び汚染土壌等の中間貯蔵に係る事業等の十分な資金がなくては進まない事業が多い状況を踏まえ、政府としては、廃炉・汚染水対策や原子力損害の賠償等を着実に実施して福島の再生を加速するとともに、電力の安定供給に万全を期しつつ、国民負担を最大限抑制していくとの考え方に基づき、東京電力による本計画の履行の確保を図ってまいりたい。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.