答弁本文情報
平成二十八年八月八日受領答弁第二〇号
内閣衆質一九一第二〇号
平成二十八年八月八日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出北方地域における旧漁業権補償措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出北方地域における旧漁業権補償措置に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「法的地位」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北方地域(歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島をいう。以下同じ。)は、我が国固有の領土である。
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、北方地域における旧漁業権(漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)附則第二項の規定による廃止前の漁業法(明治四十三年法律第五十八号。以下「旧漁業法」という。)第四条、第五条第一項又は第六条の免許に係る漁業権をいう。以下同じ。)及び旧鉱業権(鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)附則第二項の規定による廃止前の鉱業法(明治三十八年法律第四十五号)第二十一条の規定による出願について許可された鉱業権をいう。)は、我が国の行政権の行使の結果として生じていたものであり、昭和二十一年一月二十九日付け連合国総司令部覚書(以下「覚書」という。)に従った措置により、これらの権利は消滅したものと解される。一方、先の大戦前に我が国の国民が北方地域の不動産に関して有していた所有権は、私法上の権利であり、覚書に従った措置により影響を受けるものではないと考えられる。
北海道が編さんした資料によれば、北方地域には、専用漁業権(旧漁業法第五条第一項の免許に係る漁業権をいう。)が九件、定置漁業権(旧漁業法第四条の免許に係る漁業権のうち漁具を定置してする漁業に係るものをいう。)が千三百六十九件、特別漁業権(旧漁業法第六条の免許に係る漁業権をいう。)が七十七件、それぞれ設定されていたと承知している。
御指摘の「政治的措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北方領土問題対策協会法(昭和四十四年法律第三十四号)附則第十一条の規定による改正前の北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律(昭和三十六年法律第百六十二号)第四条第一項の規定により、政府は北方協会(現在の独立行政法人北方領土問題対策協会)に対しその業務の遂行に必要な資金の財源に充てるための基金として十億円を国債をもって交付しており、そのうち七億五千万円については、旧漁業権の補償を行った場合の補償額に見合う額として算定したものである。この点は、昭和四十七年度に創設した沖縄沿岸漁業振興特別資金及び昭和五十年度に創設した小笠原諸島沿岸漁業振興特別資金においても、同様の考え方によっている。
覚書に従った措置は北方地域の帰属の問題に影響を与えるものではないため、御指摘は当たらない。
北方地域における旧漁業権については二についてで述べたとおりであるため、御指摘は当たらない。なお、北方地域における旧漁業権を有していた者については、四及び五についてで述べたとおりの措置を講じているところである。