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平成二十八年十月四日受領
答弁第八号

  内閣衆質一九二第八号
  平成二十八年十月四日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出大阪市教育委員会の教科書採択への組織的介入問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出大阪市教育委員会の教科書採択への組織的介入問題に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 お尋ねの「事実」のうち、大阪市教育委員会が平成二十七年度に行った「教科書の閲覧に関するアンケート」に関するものについては、同教育委員会のホームページにおいて公表されている「平成二十八年陳情第十四号「フジ住宅(株)が育鵬社教科書の採択運動をし、大阪市教育委員会の審議に反映させた件につき、真相を究明し責任を明らかにする陳情書」についての報告」(以下「報告書」という。)の内容を把握しており、また、同教育委員会の委員に関するものについては、同教育委員会のホームページにおいて、同教育委員会の委員一名が「サンケイ総合印刷 専務取締役」及び「産経新聞社大阪本社嘱託業務アドバイザー」の「職歴」を有していることが掲載されていることを把握しているが、それら以外のものについては、文部科学省として把握していない。

三から五までについて

 「前掲一の事実は地方教育行政の組織及び運営に関する法律・・・に違反」するか否かというお尋ねは、大阪市教育委員会が行った平成二十八年度において使用される中学校社会科の歴史的分野及び公民的分野の教科書の採択(以下「本件採択」という。)が、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号。以下「地教行法」という。)第一条の二の規定に違反するか否かという趣旨であり、「前掲二の事実は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律・・・に違反」するか否かというお尋ねは、本件採択に関する「育鵬社」の行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第十九条の規定に違反するか否かという趣旨と考えるが、政府としては、報告書の内容から判断すれば、本件採択が地教行法第一条の二の規定に違反するものであったとは考えておらず、本件採択に関し、「育鵬社」による独占禁止法第十九条の規定に違反する行為があったとは考えていない。また、公立学校において使用する教科書を採択する権限は、当該公立学校を所管する教育委員会が有しているものであり、文部科学省においては、各都道府県教育委員会に対して、「平成二十八年度使用教科書の採択について」(平成二十七年四月七日付け二十七文科初第九十一号文部科学省初等中等教育局長通知)により、「採択教科書の決定に当たっては・・・十分な審議や調査研究を経ずこれまでの慣例のみによって決定されるなどにより、採択権者の責任が不明確になることがないよう、採択手続の適正化に努めること」や「外部からの働きかけに左右されることなく、採択権者の権限と責任において公正かつ適正な採択を行うこと」等を指導しているところである。
 このため、現時点において、御指摘のように「国(文部科学省)として積極的に対処すべきである」及び「国(文部科学省)が主導して法整備をする必要がある」とは考えていない。
 なお、報告書においても、本件採択は、大阪市教育委員会の権限と責任において公正かつ適正に行われたものとされている。

六について

 教育委員会の委員については、地教行法第四条第二項において、「当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化・・・に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する」と規定されており、各地方公共団体においては、地域の実情に応じて、幅広い人材の中から教育委員会の委員としてふさわしい者が議会の同意を得て地方公共団体の長により委員に任命されることになっている。その上で、地教行法第十四条第六項において、「教育委員会の教育長及び委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない」と規定されており、教育委員会の委員は、自己若しくは一定の親族の一身上に関する事件又は自己若しくは一定の親族の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができないとされている。政府としては、これらの規定を含む現行法の規定により、教育委員会における委員の適正な活動が担保されていると考えていることから、教育委員会の委員の資格要件等について御指摘のように「現状より厳密に設定する必要性がある」とは考えておらず、「政府として関係法令を点検し、改正を検討する」ことは考えていない。



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