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平成二十八年十月二十一日受領
答弁第六二号

  内閣衆質一九二第六二号
  平成二十八年十月二十一日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員辻元清美君提出今後の経済見通し等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員辻元清美君提出今後の経済見通し等に関する質問に対する答弁書



一について

 全要素生産性上昇率については、一般には、資本や労働といった生産要素の投入量だけでは計測することのできない全ての要因による生産増加率への寄与分のことを指すと認識している。
 全要素生産性上昇率は、算出の方法や用いるデータの改定等により、推計値は異なるものであることから相当の幅をもって見る必要があり、その数値や傾向等について、一概に申し上げることは困難である。
 なお、お尋ねの「民主党政権時における全要素生産性(TFP)上昇率、第二次・第三次安倍政権における全要素生産性(TFP)上昇率」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十八年七月二十六日経済財政諮問会議提出。以下「中長期試算」という。)等において参照している全要素生産性上昇率(以下「内閣府推計値」という。)について、「二〇一六(平成二十八)年四〜六月期四半期別GDP速報(二次速報値)」(平成二十八年九月八日内閣府公表)等により推計した過去二十年における各年度の数値をお示しすると次のとおりである。
 平成八年度 〇・七パーセント程度
 平成九年度 〇・六パーセント程度
 平成十年度 〇・六パーセント程度
 平成十一年度 〇・八パーセント程度
 平成十二年度 一・〇パーセント程度
 平成十三年度 一・二パーセント程度
 平成十四年度 一・二パーセント程度
 平成十五年度 一・二パーセント程度
 平成十六年度 一・一パーセント程度
 平成十七年度 一・〇パーセント程度
 平成十八年度 〇・八パーセント程度
 平成十九年度 〇・八パーセント程度
 平成二十年度 〇・八パーセント程度
 平成二十一年度 〇・九パーセント程度
 平成二十二年度 一・〇パーセント程度
 平成二十三年度 一・〇パーセント程度
 平成二十四年度 〇・九パーセント程度
 平成二十五年度 〇・七パーセント程度
 平成二十六年度 〇・四パーセント程度
 平成二十七年度 〇・三パーセント程度
 また、お尋ねの「「経済再生ケース」の前提となる数値・・・を達成するための見通し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、中長期試算の経済再生ケースにおいては、日本経済再生に向けた経済財政政策の効果が着実に発現することにより、二千二十年代初頭にかけて全要素生産性上昇率が内閣府経済社会総合研究所が設定する「景気基準日付」における第十循環から第十一循環まで(昭和五十八年二月から平成五年十月まで)の期間(以下「参照期間」という。)における内閣府推計値の平均である年二・二パーセント程度まで上昇すると想定している。

二について

 御指摘の「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十六年一月二十日経済財政諮問会議提出。以下「二十六年中長期試算」という。)と「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十七年二月十二日経済財政諮問会議提出。以下「二十七年中長期試算」という。)では、いずれも二千二十年代初頭にかけて全要素生産性上昇率が参照期間における内閣府推計値の平均まで上昇するとの想定を置いている。
 二十六年中長期試算を提出した後、内閣府経済社会総合研究所「固定資産残高に係る参考試算値」の公表(平成二十六年十一月二十八日)に伴い、全要素生産性上昇率の推計に用いる過去の資本投入量に係るデータを変更したこと等により、参照期間を含めた過去の資本投入量の増加率が改定された。全要素生産性上昇率は実質GDP成長率から資本投入量等の寄与を除いて推計される。このため、当該改定に伴い、参照期間における内閣府推計値の平均が年一・八パーセント程度から年二・二パーセント程度に上方改定された。
 この上方改定に伴い、二十七年中長期試算では、二千二十年代初頭における全要素生産性上昇率の想定を年二・二パーセント程度に改定したところである。

三及び四について

 中長期試算における経済再生ケースは、日本経済が長期にわたるデフレと景気低迷から脱出し、二千二十年代初頭にかけて全要素生産性上昇率が参照期間における内閣府推計値の平均である年二・二パーセント程度まで上昇するとの前提を置いている。したがって、経済再生ケースとして、これとは異なる前提となる御指摘の全要素生産性上昇率が年一・八パーセントの場合の名目GDP成長率や基礎的財政収支等を推計する予定はない。

五について

 お尋ねの「『量的・質的金融緩和』の拡大」については、対外公表文が、平成二十六年十月三十一日午後一時四十四分に日本銀行ホームページにおいて公表されたものと承知している。同日に開催された日本銀行政策委員会・金融政策決定会合(以下「決定会合」という。)では、当該対外公表文が決定され、決定会合終了後直ちに公表することとされたところであり、決定会合には財務省及び内閣府の職員が出席していたところである。
 お尋ねの「中期計画の変更」については、年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)において平成二十六年十月三十一日午後五時頃から記者会見が行われたものと承知している。当該記者会見が行われる時間については、厚生労働省が事前に承知していたところである。

六について

 御指摘の「三十兆円」とは、GPIFの現行の基本ポートフォリオの検討過程において検討対象とされた複数の基本ポートフォリオ案について、基本ポートフォリオ案を構成する各資産の昭和四十九年から平成二十五年までの過去四十年間の市場平均収益率に基づく収益率等を用いてGPIFが算定した平成二十年の年間損失額であると承知している。また、御指摘の「二十六・二兆円」とは、現行の基本ポートフォリオに、平成二十年度の各資産の市場平均収益率を当てはめた場合における、同年度の投下元本平均残高(期初の運用資産時価に期中に発生した資金追加・回収の加重平均を加えたものをいう。)を前提にした場合の同年度の年間損失額である。御指摘の「「三十兆円」と「二十六・二兆円」」については、年間損失額の算定の対象となる期間やその算定の基礎となる収益率等が異なることにより、その差が生じているものと承知している。

七について

 御指摘の「財政検証」とは、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第四条の三第一項及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二条の四第一項に規定する財政の現況及び見通し(以下「財政検証」という。)を指すものと考えるが、財政検証については、それらの規定により、少なくとも五年ごとに作成することとされている。このため、次回の財政検証は、平成三十一年までの間に作成することとなる。
 また、御指摘の「財政均衡期間」とは、国民年金法第四条の三第二項及び厚生年金保険法第二条の四第二項に規定する財政均衡期間を指すものと考えるが、財政均衡期間については、それらの規定により、財政検証が作成される年以降おおむね百年間とされている。このため、次回の財政検証における財政均衡期間については、お尋ねのように過去の財政検証の財政均衡期間から一定年数を差し引いて設定することにはならない。

八及び九について

 財政検証は、財政検証を作成する時点における社会経済状況の下で年金財政の健全性を定期的に検証するものであるため、仮に、御指摘の「全要素生産性(TFP)上昇率」、「名目長期金利」等の財政検証の諸前提の基礎となっている数値が変わったとしても、既に作成した財政検証を作成し直す必要はないと考えている。

十について

 年金制度は、人の一生にわたる非常に長期の制度であることから、国民年金法第四条の三第二項及び厚生年金保険法第二条の四第二項の規定により、財政検証における年金財政の収支を均衡させる期間である財政均衡期間は、おおむね百年間とされている。このため、御指摘のように財政均衡期間を五十年に短縮する必要はないと考えている。
 財政検証は、年金制度の企画及び立案に不可欠なものであることから、年金制度の企画及び運営を行う厚生労働省の責任において作成されるべきものである。また、財政検証の諸前提に関しては、社会保障審議会年金部会及び同部会の下に置かれた「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」における議論を踏まえて客観的に設定していることから、御指摘の「権威ある独立機関による客観的な検証への改革」は必要ないと考えている。



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