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平成二十八年十月二十八日受領
答弁第七一号

  内閣衆質一九二第七一号
  平成二十八年十月二十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員奥野総一郎君提出耐震基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員奥野総一郎君提出耐震基準に関する質問に対する答弁書



一、三、五及び六について

 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)においては、同法第二十条第一項の規定に基づき建築物の構造に関する安全性を確かめるための構造計算を行うに当たって、地域ごとに異なる地震の発生確率等を考慮するために、地震地域係数(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第八十八条第一項に規定するZの数値をいう。以下同じ。)を用いることとしている。地震地域係数は、その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度や地震活動の状況等に応じて一・〇から〇・七までの範囲内において定められており、地震の規模を示すマグニチュードとは直接対応していない。したがって、御指摘のように「建築コストのみを優先」しているものではなく、また、御指摘の「財政力の弱い地域の安全性が損なわれている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地震地域係数を定めるに当たって地方公共団体の財政力は考慮していない。
 国土交通省及び国立研究開発法人建築研究所が合同で開催した「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」(以下「委員会」という。)の報告書においては、平成二十八年熊本地震について「地域の被害状況に地震地域係数の影響は確認されなかった」とされており、また、地震地域係数の在り方は「中長期的に検討すべき課題」とされているところであり、地震地域係数の見直しについて、政府としては、現時点において、具体的な検討は行っていない。

二について

 地震調査研究推進本部地震調査委員会が平成二十五年二月に公表した活断層の長期評価において、平成二十八年熊本地震で活動した断層について、日奈久断層帯の高野−白旗区間ではマグニチュード六・八程度の規模の地震、布田川断層帯の布田川区間ではマグニチュード七・〇程度の規模の地震が発生する可能性があると評価していた。

四について

 お尋ねの「損傷」について、建築基準法第二十条第一項の規定に基づく構造計算においては、震度六強から七に達する程度の大地震(以下「大地震」という。)に対して建築物が倒壊しないことを求めているが、大地震に対して建築物が損傷しないことまでは求めていない。

七について

 御指摘の建築物については、平成二十八年熊本地震の後に継続的に使用できなかった原因の分析を含めて整理した上で、建築物の構造等に関する最低の基準を定めている建築基準法の基準に加え、大地震後も当該建築物の機能を継続するために必要な事項を地方公共団体等に情報提供できるよう検討してまいりたい。

八について

 御指摘の「二〇〇〇年基準に適合した新耐震住宅が多く全倒壊」の意味するところが必ずしも明らかではないが、委員会の報告書においては、御指摘の「二〇〇〇年基準に適合した新耐震住宅」が倒壊した原因として、「地盤変状」や「局所的に大きな地震動が作用した可能性」が挙げられており、御指摘の報道にある「直下率」が影響したものではないと考えている。したがって、建築基準法に「直下率」に関する規定を取り入れることは考えていない。

九について

 活断層の地震発生確率については、様々な研究が行われているが、現時点では不確定さを含んでおり、また、活断層で発生する直下型地震については、具体的な範囲や地震動の大きさ等がいまだ十分に明らかになっていないと承知している。したがって、お尋ねの「断層を避けるための法整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、活断層上の建築行為を法律で一律に制限することは現時点では困難であると考えている。

十について

 お尋ねの「建築基準の全面的見直し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、委員会における検討を踏まえ、建築基準法に基づく現行の耐震基準についてはその有効性を確認していること等から、耐震基準の全面的な見直しは考えていない。



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