衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十八年十月二十八日受領
答弁第七五号

  内閣衆質一九二第七五号
  平成二十八年十月二十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員奥野総一郎君提出年金積立金の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員奥野総一郎君提出年金積立金の運用に関する質問に対する答弁書



一について

 年金積立金の運用は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十九条の二及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七十五条の規定において、専ら被保険者の利益のために行うこととされており、御指摘の発言は、専ら被保険者のために行う年金積立金の運用が、結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現にもつながる旨を述べたものであり、御指摘は当たらない。また、平成二十六年十月三十一日の年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の基本ポートフォリオを含めた中期計画の変更は、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号。以下「管理運用法人法」という。)第十五条第二項の規定に基づくGPIFに設置されている運用委員会(以下「運用委員会」という。)の議を経た上で厚生労働大臣に提出され、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号)による改正前の独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十条第三項の規定に基づく厚生労働省独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で、同条第一項の規定による厚生労働大臣の認可を受けたものである。したがって、当該変更は適正な手続を経て変更されたものと承知している。

二の1について

 お尋ねの「アベノミクスとは異なる成長戦略を採用していれば、その後の財政検証や基本ポートフォリオの見直しについても異なる結論となっていたということでよいか」の意味するところが必ずしも明らかではないことから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、平成二十六年六月三日に公表した「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」においては、内閣府が同年一月二十日に公表した「中長期の経済財政に関する試算」(以下「中長期試算」という。)の「経済再生ケース」を基にしたものだけではなく、中長期試算の「参考ケース」を基にしたものも含めて、複数のケースを設定している。また、GPIFの現行の基本ポートフォリオも、経済状況について、経済が再生する経済中位ケース及び足下の市場状況から想定される市場基準ケースを設定し、検討されていると承知している。

二の2及び3について

 御指摘の「三十兆円という損失額の試算」は、GPIFの現行の基本ポートフォリオの検討過程において検討対象とされた複数の基本ポートフォリオ案について、基本ポートフォリオ案を構成する各資産の昭和四十九年から平成二十五年までの過去四十年間の市場平均収益率に基づく収益率等を用いてGPIFが算定した平成二十年の年間損失額であり、平成二十六年十月三日開催の第八十五回運用委員会に提出されたものと承知している。一方、御指摘の同年十一月十九日に開催された第二十八回社会保障審議会年金部会での「出席委員からの質問」は、同年十月三十一日に変更された基本ポートフォリオにおいて想定される単年度の最大の損失額の見込みを問うものであるため、御指摘の「三十兆円という損失額の試算」は当該質問に対する回答となるものではないものと承知しており、「答えることは可能だった」との御指摘は当たらない。

二の4について

 御指摘の第八十五回運用委員会の議事要旨は、当該運用委員会の開催からGPIFのホームページにおいて公表されるまで八十日間を要しており、平成二十五年十月二十八日から平成二十八年十月二十八日までにGPIFのホームページにおいて公表された運用委員会の議事要旨の中で八十日間を超えるものは、五例あると承知している。また、運用委員会の議事要旨については、各委員に確認を取った上で公表する手続となっていると承知している。御指摘の第八十五回運用委員会の議事要旨についても、同様の手続を経た上で公表しているものと承知しており、「衆議院議員総選挙への影響を避けることを意図したものだった」との御指摘は当たらないと考えている。

三について

 年金積立金の管理及び運用を行うに当たっては、管理運用法人法第二十条第二項の規定により、市場その他の民間活動に与える影響に留意することとなっており、平成二十六年十月三十一日の中期計画の変更についても、市場その他の民間活動に与える影響に留意しつつ、適切に行われたものと考えている。

四について

 平成二十七年度の国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会及び日本私立学校振興・共済事業団(以下「三共済」という。)の業務概況書によれば、三共済の厚生年金保険給付積立金の運用による収益率(国家公務員共済組合連合会の平成二十七年度業務概況書八ページ、地方公務員共済組合連合会の平成二十七年度業務概況書三十七ページ及び日本私立学校振興・共済事業団の平成二十七年度業務概況書五ページに記載されている名目運用利回りをいう。以下同じ。)は、それぞれ、〇・三七パーセント、〇・六〇パーセント及びマイナス〇・七九パーセントとなっている。同年度のGPIFの業務概況書によれば、GPIFの年金積立金の運用による収益率(GPIFの平成二十七年度業務概況書十三ページに記載されている名目運用利回りをいう。以下同じ。)はマイナス三・八四パーセントとなっている。同年度の三共済の厚生年金保険給付積立金の運用による収益率は被用者年金の一元化以降である平成二十七年十月から平成二十八年三月までの期間に係る率である一方、同年度のGPIFの年金積立金の運用による収益率は平成二十七年四月から平成二十八年三月までの期間に係る率であり、これらの収益率は算定すべき期間が異なることなどから、年金積立金の運用による収益率を比較することは困難であり、お尋ねの要因についてお答えすることは困難である。
 また、三共済及びGPIF(以下「管理運用主体」という。)は、厚生年金保険法第七十九条の六第一項の規定により、管理運用主体が共同で定めるモデルポートフォリオ(同法第七十九条の五第一項に規定する参酌すべき積立金の資産の構成の目標をいう。)に即して基本ポートフォリオを含む管理運用の方針をそれぞれ個別に定めているところであり、将来の管理運用主体の個別の投資行動等を予見することは困難であることから、今後、三共済の厚生年金保険給付積立金の運用による収益率がGPIFの年金積立金の運用による収益率と同様の収益率となるかどうかについては、お答えすることは困難である。

五について

 年金積立金の額は、将来の人口及び経済の動向等の影響を受けるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、国民年金及び厚生年金保険については、国民年金法第十六条の二第一項及び厚生年金保険法第三十四条第一項の規定により、おおむね百年間の財政均衡期間の終了時に国民年金法による給付及び厚生年金保険法による保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金を政府等が保有しつつ、当該財政均衡期間にわたって国民年金事業及び厚生年金保険事業の財政の均衡が保たれるよう、国民年金法による年金たる給付(付加年金を除く。)の額及び厚生年金保険法による保険給付の額を調整しているところである。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.