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答弁本文情報

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平成二十八年十二月六日受領
答弁第一七三号

  内閣衆質一九二第一七三号
  平成二十八年十二月六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員長妻昭君提出年金制度の所得代替率に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出年金制度の所得代替率に関する質問に対する答弁書



 国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「平成十六年改正法」という。)においては、長期的な給付と負担の均衡を確保し、制度を持続可能なものとするため、上限を固定しつつ保険料の引上げを行うとともに、モデル世帯の所得代替率(平成十六年改正法附則第二条第一項第一号に掲げる額と同項第二号に掲げる額とを合算して得た額の同項第三号に掲げる額に対する比率をいう。以下同じ。)が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保することにより、年金の給付水準の下限を併せて法定化したという経緯を踏まえると、平成十六年二月二十七日衆議院厚生労働委員会における御指摘の坂口元厚生労働大臣の答弁(以下「坂口元厚生労働大臣の答弁」という。)における御指摘の「最低限の生活」及び「最低限の生活が保障できる」ことについては厳格な定義があるわけではないと考えているが、坂口元厚生労働大臣の答弁は、平成十六年当時(以下「当時」という。)のモデル世帯の年金額(平成十六年改正法附則第二条第一項第一号に掲げる額と同項第二号に掲げる額とを合算して得た額をいう。)が当時の高齢夫婦世帯の基礎的消費支出(家計調査における消費支出のうち、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物に係るものの合計をいう。以下同じ。)を十分賄える状況にあること等を踏まえて、モデル世帯の所得代替率が百分の五十を上回ることとなるような年金の給付水準を確保し、最低限の生活を保障できるようにしていきたいという趣旨を述べたものと考えている。
 御指摘の「国民年金低下の歯止めが無いこと」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国民年金及び厚生年金保険の給付については、平成十六年改正法附則第二条第一項において、モデル世帯の所得代替率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとされており、政府としては、モデル世帯の基礎年金部分の所得代替率(平成十六年改正法附則第二条第一項第一号に掲げる額の同項第三号に掲げる額に対する比率をいう。以下同じ。)の下限を設けることは現在のところ考えていない。なお、政府としては、平成二十六年六月三日に公表した「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」(以下「財政検証」という。)においては、モデル世帯の基礎年金部分の所得代替率を算出したところである。また、財政検証の結果も踏まえ、政策対応の必要性について検討を加え、その検討結果に基づいて、将来の基礎年金の給付水準を確保するため、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案を第百九十回国会に提出するなど、適切に対応しているところである。また、御指摘の「最低の生活が維持できなくなる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、基礎的消費支出は、老齢基礎年金の額を考える上での勘案要素の一つであるが、公的年金制度は保険料の納付に応じて給付を行うことが原則であり、また、年金の給付水準の決定に当たっては長期的な給付と負担の均衡の確保が前提となることから、老齢基礎年金の額は基礎的消費支出を全て賄うという考え方で設定されているものではない。
 財政検証において、財政検証における経済前提のケースE(以下「ケースE」という。)及び国立社会保障・人口問題研究所が平成二十四年一月に公表した「日本の将来推計人口」において仮定している合計特殊出生率等の中位推計に基づくと、ケースEにおいて前提とした物価上昇率で平成二十六年度現在の価値に割り戻した満額の老齢基礎年金の額は、平成二十六年度の約六・四万円に対し、マクロ経済スライドの調整期間(国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第十六条の二第一項に規定する調整期間をいう。)が終了する平成五十五年度は約六・三万円とおおむね横ばいとなっている。これを踏まえ、御指摘の平成二十八年十一月十八日衆議院厚生労働委員会における塩崎厚生労働大臣の答弁では「購買力ベースで見て実質的におおむね横ばい」と述べたものである。また、将来の社会保険料の水準について予測することは困難であり、御指摘の「公的保険料(介護保険料や医療保険料など)は常識的に年々上昇する」かどうかは一概には言えないが、社会保険料については、負担能力に応じた負担とすることを基本としつつ、低所得の高齢者への対策として、社会保障と税の一体改革における医療や介護の保険料負担の軽減や年金生活者支援給付金の創設等社会保障制度全体で講ずることとしており、今後も適切に対応してまいりたい。
 御指摘の「国民の生活実感」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十六年改正法附則第二条第一項においては、モデル世帯の所得代替率が百分の五十を上回ることとなるような年金の給付水準を将来にわたり確保することが規定されている。モデル世帯の所得代替率については、指標としての継続性、過去との比較も容易であること等の観点も踏まえて、現在のところ、今の形でお示しすることが適切と考えている。その上で、国民の皆様により御理解いただけるよう、これまでもモデル世帯の基礎年金部分の所得代替率を提示するなどの工夫をしており、今後とも、財政検証結果の示し方について、どのような工夫ができるか研究してまいりたい。


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