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答弁本文情報

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平成二十八年十二月十三日受領
答弁第一八四号

  内閣衆質一九二第一八四号
  平成二十八年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出沖縄県石垣島吉原沖の川平湾付近で座礁した外国漁船の撤去等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出沖縄県石垣島吉原沖の川平湾付近で座礁した外国漁船の撤去等に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「油の抜き取り」については、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第四十一条の二の規定に基づく石垣海上保安部長からの要請を踏まえ、石垣市が自治事務として行ったものと承知している。当該「油の抜き取り」に要した費用については、同法第四十一条の三第一項の規定に基づき、船舶所有者に負担させることができるとされている。

二について

 御指摘の「漁船の現状悪化を防ぐ対策等」及び「このような対策」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

三について

 お尋ねの「無責任な船舶」及び「保険加入の義務化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国は、海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号)に基づき、同条約及び国際法の他の規則に従い、沿岸国の環境の保全並びにその汚染の防止、軽減及び規制等の事項について我が国の領海における無害通航に係る法令を制定することができる。一方、同条約上、沿岸国は、同条約に定めるところによる場合を除くほか、自国の領海における外国船舶の無害通航を妨害してはならず、特に、同条約又は同条約に従って制定される法令の適用に当たり、外国船舶に対し無害通航権を否定し又は害する実際上の効果を有する要件を課してはならないとされている。

四について

 お尋ねの「責任の所在や補償に関する交渉等」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、船舶の「座礁や衝突事故」が発生した場合の賠償等について包括的に定める国際約束があるわけではないが、実際にこれまで我が国領海において発生した「座礁や衝突事故」については、一般に、その被害者が船舶所有者に対して被害の賠償を請求し、さらに、当該船舶所有者が請求に応じない場合、被害者が裁判所に訴えを提起し、裁判により、責任を負う者、賠償額及び裁判に要する費用の負担者が確定された事例が多いと承知している。

五について

 お尋ねの場合において「支払いを求める裁判は我が国の裁判所で行うことが出来るのか」については、個別具体的な事情により判断されるものであり、一概にお答えすることは困難であるが、一般に、我が国の裁判所は、法人に対する訴えについて、その主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき等のほか、当該訴えが金銭の支払を請求するものである場合には差し押さえることができる被告の財産が日本国内にあるとき(その財産の価額が著しく低いときを除く。)等には、管轄権を有する。
 また、お尋ねの場合における「有効で確実な取り立ての方法」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、被告に金銭の支払を命ずる判決が確定したとき等には、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の定めるところにより、当該確定判決等の正本に基づく強制執行の申立てをすることができる。

六及び七について

 一般に、座礁した船舶の処理は、原因者である船舶所有者が責任を持って行うべきものであり、その処理費用についても、当該原因者が負担するべきものである。地方財政は厳しい状況にあり、船舶所有者が適切に処理しない状況でやむを得ず地方公共団体が行う当該船舶の処理に関して、政府は、社会資本整備総合交付金等の要件を満たす場合、その費用の一部を支援する制度を整備している。また、これらの制度によってもなお発生する地方公共団体の負担に関して、特別交付税措置を講じている。

八について

 船舶所有者が座礁した船舶を処理しない場合に地方公共団体が行った当該船舶の撤去に関する先例について、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、平成二十五年に青森県の海岸保全区域(海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条の規定により指定された海岸保全区域をいう。)に座礁し、放置された船舶については、当該海岸保全区域の海岸管理者(同法第二条第三項に規定する海岸管理者をいう。)である青森県が撤去し、政府は社会資本整備総合交付金によりその費用の一部を支援した。

九について

 御指摘の外国漁船が座礁した地点は、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)に基づき指定された西表石垣国立公園の普通地域(同法第三十三条第一項に規定する普通地域をいう。)内であり、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)に基づき指定された名勝川平湾及び於茂登岳の区域の範囲外であると認識しているが、座礁した地点にかかわらず、第一義的に、座礁した船舶の撤去については船舶所有者が責任を持って行うべきものであることから、政府としては、関係機関と連携を図りつつ、当該漁船及びその周辺の状況を確認し、引き続き事態の把握に努めるとともに、早急に当該漁船の撤去等が行われるよう、当該漁船の所有者に対し強く働きかけを行ってまいりたい。



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