答弁本文情報
平成三十年二月二日受領答弁第二九号
内閣衆質一九六第二九号
平成三十年二月二日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員山井和則君提出生活保護費の見直しによる子育て世帯への深刻な影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出生活保護費の見直しによる子育て世帯への深刻な影響に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「子育て世帯」の意味するところが必ずしも明らかではないが、十八歳以下の者がいる生活保護受給世帯(以下「有子世帯」という。)のうち、平成三十年から段階的に実施する予定の生活保護基準の見直し(以下「平成三十年見直し」という。)が完了する平成三十二年十月時点で、平成三十年見直しにより児童養育加算及び母子加算を加えた生活扶助基準額(以下「基準額」という。)が増額となる世帯の数は約八・四万世帯、減額となる世帯の数は約六・四万世帯と推計している。また、平成三十二年十月からの一年間(以下「一年間」という。)で、当該増額となる世帯における基準額の増加額の合計は約五十億円、当該減額となる世帯における基準額の減少額の合計は約四十億円であり、当該増加額の合計から当該減少額の合計を減じた額は約十億円であると推計している。
お尋ねの「ひとり親世帯」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現に配偶者がいない六十五歳未満の女性及びその十八歳未満の子(養子を含む。)のみで構成されている生活保護受給世帯(以下「母子世帯」という。)のうち、平成三十二年十月時点で、平成三十年見直しにより基準額が増額となる世帯の数は約六・一万世帯、減額となる世帯の数は約三・八万世帯と推計している。また、一年間で、当該増額となる世帯における基準額の増加額は一世帯当たり平均約六・二万円、当該減額となる世帯における基準額の減少額は一世帯当たり平均約六・〇万円であり、当該増加額の合計から当該減少額の合計を減じた額は約二十億円であると推計している。
お尋ねの「年間で国費」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活扶助に要する費用の国庫負担分に係る平成三十年見直しによる財政影響は、約百六十億円の減額と見込んでいる。また、有子世帯及び母子世帯に対する生活扶助に要する費用の国庫負担分に係る当該財政影響は、いずれも約十億円の増額と見込んでいる。
お尋ねの就学援助については、御指摘の「前回」の生活保護基準の見直しに伴う影響として、児童生徒の教育を受ける機会が妨げられることのないよう、市区町村が当該見直し以前に就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律(昭和三十一年法律第四十号)第二条各号に掲げる費用等を支給することとした者(以下「要保護者」という。)について、当該見直し以降も引き続き国による補助の対象とすることとしたところである。また、要保護者に準ずる程度に困窮していると認められる者(以下「準要保護者」という。)については、市区町村が単独で就学援助を実施していることから、できる限り当該見直しの影響が及ばないよう、市区町村に対して、こうした国の取組を説明するとともに、その取組の趣旨を理解した上で判断いただくよう依頼したところである。
その上で、お尋ねの「就学援助の対象が引き下げられた」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十六年度から平成二十八年度までの三箇年度にわたり行った就学援助実施状況等調査において、当該見直しに伴って、準要保護者に対する就学援助の対象範囲が変わらないよう認定基準を変更するなどの対応を行っているかを調査したところ、当該三箇年度のうちいずれかの年度で当該見直しによる影響に対応を「行っていない」と回答した市区町村であって、当該三箇年度にわたり当該見直しによる影響に対応を行っていないことが確認されたものは、北海道函館市、神奈川県川崎市、山口県下関市、福岡県福岡市、飯塚市、田川市、遠賀郡岡垣町及び京都郡みやこ町並びに沖縄県豊見城市及び島尻郡与那原町の十市町である。
なお、当該見直しに伴い、準要保護者に対する就学援助を受けられなくなった児童生徒の数については、保護者の家計や世帯の状況及び個々の市区町村の準要保護者に対する就学援助の認定基準の運用が毎年度同一とは限らないことから、市区町村においても把握が困難と考えられ、政府としても承知していない。
御指摘の「子ども貧困対策法違反」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年見直しにより、有子世帯の基準額の総額は増加すると見込んでいる。