答弁本文情報
平成三十年二月二十三日受領答弁第八二号
内閣衆質一九六第八二号
平成三十年二月二十三日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員山井和則君提出業務に営業活動が含まれる労働者に対する裁量労働制の適用の適否等に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出業務に営業活動が含まれる労働者に対する裁量労働制の適用の適否等に関する第三回質問に対する答弁書
一及び二について
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十八条の四の規定によるみなし労働時間制(以下「企画業務型裁量労働制」という。)における同条第一項第一号に規定する対象業務(以下「対象業務」という。)とは、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とされており、こうした業務に当たらない業務として、お尋ねの労働省告示第百四十九号において「個別の営業活動の業務」を挙げており、例えば、対顧客営業を担当する部署に所属する個々の営業担当者が担当する営業については、これに該当すると考えられる。労働者の従事する業務が対象業務に該当するかどうかについては具体的な事案に基づき個別に判断する必要があるが、対象業務に該当しない業務に労働者を就かせている場合には、当該業務については、企画業務型裁量労働制の要件を満たさず、同法第四章の労働時間に関する規定の適用に当たっての労働時間のみなしの効果が生じないことにより、同法第三十二条又は第三十七条第一項の違反となる場合がある。
お尋ねが、労働政策審議会が昨年九月に答申した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(以下「法案要綱」という。)において企画業務型裁量労働制の対象に追加することとされた業務(以下「新対象業務」という。)のうち、「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務(主として商品の販売又は役務の提供を行う事業場において当該業務を行う場合を除く。)」についてのものとすれば、個々の労働者の業務が新対象業務に該当するか否かについては、個別具体的に判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難であるが、この要件に該当するものを新対象業務とすることを検討中である。また、法案要綱においては、「既製品やその汎用的な組み合わせの営業は対象業務になり得ないこと及び商品又は役務の営業活動に業務の重点がある業務は該当しないことを指針に定めること」とされており、厚生労働大臣が労働基準法第三十八条の四第一項に規定する委員会が決議する事項について定める同条第三項に規定する指針において、その旨を定めることを検討中である。
お尋ねについては、独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成二十六年にその結果を公表した裁量労働制等の労働時間制度に関する調査に回答した方が、「営業・販売」の意味について、営業・販売に関する企画、立案、調査及び分析の業務と捉えて回答した場合のほか、別の意味と捉えて回答した可能性もあり、一概にお答えすることは困難であるが、企画業務型裁量労働制における対象業務については、その要件を労働基準法第三十八条の四第一項第一号において「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」と規定されており、この要件に該当するものに限り対象業務となる。
お尋ねについては、先の答弁書(平成三十年二月九日内閣衆質一九六第四六号。以下「当該答弁書」という。)の九についてでお答えしたとおり、第百四十回労働政策審議会労働条件分科会において、労働者代表委員より対象業務についての懸念が示されたことを政府としても認識し、それを踏まえ、当該答弁書でお答えしたことについて検討しているところである。