答弁本文情報
平成三十年四月十三日受領答弁第二〇三号
内閣衆質一九六第二〇三号
平成三十年四月十三日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員長尾秀樹君提出子どもの貧困対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長尾秀樹君提出子どもの貧困対策に関する質問に対する答弁書
一について
国民生活基礎調査において、相対的貧困率及び子どもの貧困率は、平成二十四年までは長期的な傾向としておおむね緩やかに上昇してきたが、その後、雇用が大きく増加するなど経済状況が好転する中で、相対的貧困率については、平成二十七年は十五・六パーセントとなり、平成二十四年の十六・一パーセントと比べ、〇・五ポイント低下しており、子どもの貧困率については、平成二十七年は十三・九パーセントとなり、平成二十四年の十六・三パーセントと比べ、二・四ポイント低下している。
また、経済協力開発機構のウェブサイトで公表されている二千十四年のデータ等を基準とした同機構加盟国三十四か国の平均の相対的貧困率は十一・四パーセント、子どもの貧困率は十三・六パーセントとなっているものと承知しているが、国により調査方法等が異なるため、一概に比較することは困難である。
国民生活基礎調査の実施に当たっては、調査対象となる世帯の方々並びに調査の実務を担う地方公共団体及び統計調査員の負担を考慮する必要があることから、御指摘の「大規模調査と同様の調査を毎年行う」ことは困難であると考えている。
御指摘の「政府が雇用にかかわる規制緩和を進める中で、企業が正社員を減らし、賃金の低い非正規労働者を増やしてきた影響」及び「右の認識」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省が実施した「平成二十八年度全国ひとり親世帯等調査」の結果によると、ひとり親世帯の八割以上を占める母子世帯の母について、就業している者のうちの約半数が「パート・アルバイト」等の不安定な就労形態にあり、その平均年間就労収入及び平均年間収入が低い水準にあるところであり、お尋ねの「我が国のひとり親世帯の貧困率」には、こうしたことが関係していると考えている。なお、政府としては、ひとり親家庭に対し、「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」(平成二十七年十二月二十一日子どもの貧困対策会議決定)に基づく総合的な支援を行っている。
御指摘の「以上のように、貧困問題の解消は、税と社会保障制度の中で考えていくべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「子どもの貧困対策」について、政府としては、子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十四号)第八条第一項の規定に基づき「子供の貧困対策に関する大綱」(平成二十六年八月二十九日閣議決定)を定め、子どもたちの成育環境を整備するとともに、教育を受ける機会の均等を図り、生活の支援、保護者への就労支援等と併せて子どもの貧困対策を総合的に推進することとしている。
御指摘の「国による財政的な支援」の意味するところが必ずしも明らかではないが、子どもの貧困対策の推進に関する法律等を踏まえ、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを目指し、関係機関相互の密接な連携の下、国及び地方公共団体が、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援等の分野において必要な施策を講じていくことが必要であると考えている。
このため、政府としても、地方公共団体に対する様々な支援を含め、平成三十年度予算等において所要の措置を講じているところである。