答弁本文情報
平成三十年五月十一日受領答弁第二四八号
内閣衆質一九六第二四八号
平成三十年五月十一日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員森山浩行君提出ウルグアイ・ラウンド合意における豚肉の扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員森山浩行君提出ウルグアイ・ラウンド合意における豚肉の扱いに関する質問に対する答弁書
一の(一)について
お尋ねのとおりである。
御指摘の「ウルグアイ・ラウンド合意以前の豚肉の差額関税制度」(以下「旧制度」という。)については、ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉の結果を踏まえ、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの農業に関する協定(以下単に「協定」という。)第四条2に規定する通常の関税(以下「通常の関税」という。)に転換したものである。
ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉の結果を踏まえ、従来採られていた輸入制限措置等を通常の関税に転換した品目は、小麦、大麦、乳製品の一部、でん粉、雑豆、落花生、こんにゃくいも、繭・生糸及び豚肉である。
旧制度は、当時の畜産物の価格安定等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十三号)第三条第一項の規定に基づき毎会計年度定められる安定基準価格及び安定上位価格を基に定められる基準輸入価格を用いて、関税の率が定められるものであったため、当該関税の率は年度ごとに変わり得るものであり、協定第四条2の注に規定する「その他これらに類する通常の関税以外の国境措置」に当たると考えられたものである。
他方、御指摘の「現在の関税暫定措置法によって定められる豚肉の差額関税制度」(以下「現行制度」という。)は、一定の基準輸入価格を基に定められる分岐点価格を境に、分岐点価格を超える豚肉にあっては従価税を課し、分岐点価格以下の豚肉にあっては従量税を課すとともに、分岐点価格の前後で課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めているものであり、通常の関税に当たるものである。
ガット・ウルグァイ・ラウンドにおいて、一部の国から、旧制度が最低輸入価格を設けた輸入制限的な制度である旨の指摘があり、その変更を求められたのは事実であるが、旧制度の変更については、ガット・ウルグァイ・ラウンドにおいて当該国を含めた関係国と交渉の上、協定に整合的になるよう見直しを行ったものである。
現行制度においては、旧制度から引き続き、高価格の部位の豚肉と低価格の部位の豚肉とを組み合わせ、これらの豚肉を一括して一キログラム当たりの課税価格を算出して輸入することにより、基準輸入価格未満の価格の豚肉を輸入することも可能であることから、御指摘の「最低輸入価格を設けた輸入制限的な制度」には当たらないと考えている。
お尋ねについては、御指摘の「講演」に係る事実関係の詳細を確認できないことから、お答えすることは困難であるが、旧制度の変更については、二の(一)及び(二)についてで述べたとおり、ガット・ウルグァイ・ラウンドにおいて関係国と交渉の上、協定に整合的になるよう見直しを行ったものである。