答弁本文情報
平成三十年六月二十二日受領答弁第三八七号
内閣衆質一九六第三八七号
平成三十年六月二十二日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員柚木道義君提出「働き方改革法案」の適用除外及び高度プロフェッショナル制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員柚木道義君提出「働き方改革法案」の適用除外及び高度プロフェッショナル制度に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「公立学校の教職員」の範囲が必ずしも明らかではないが、公立義務教育諸学校の教員定数については、平成二十九年の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)の改正により導入された、障害に応じた特別の指導が行われている児童生徒の数に応じた教員の数の算定等を通じた公立の義務教育諸学校の体制の充実等に取り組んでいるところであり、引き続き、学校の指導・事務体制の効果的な強化・充実に向け、必要な施策を推進していく考えである。
お尋ねの「臨時・非常勤教職員の待遇改善が働き方改革につながる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、臨時・非常勤職員を含む公立学校における教職員の給与その他の勤務条件等については、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)をはじめ諸法令の定めるところにのっとり、その職務と責任等に応じ、各地方公共団体において適切に定められるべきものと考えている。
お尋ねについては、平成三十年六月四日の参議院本会議において、加藤厚生労働大臣が、自動車の運転の業務については、現在、労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成十年労働省告示第百五十四号)第三条及び第四条の規定は適用除外となっているところ、今国会に提出している働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(以下「法案」という。)において、自動車の運転の業務についても時間外労働の上限規制を適用することは大きな前進である旨答弁しているとおりである。
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号)については、平成三十年五月二十五日の衆議院厚生労働委員会の附帯決議において、「自動車運転業務については、長時間労働の実態があることに留意し、改正法施行後五年後の特例適用までの間、過労死の発生を防止する観点から改善基準告示の見直しを行うなど必要な施策の検討を進めること」とされたところであり、政府としては、この附帯決議の趣旨を踏まえ、検討を行ってまいりたい。
お尋ねについては、平成三十年六月五日の参議院厚生労働委員会において、山越厚生労働省労働基準局長が、法案による改正後の労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十六条第七項に基づく指針に関して行政官庁が中小企業に対して助言及び指導を行うときには、中小企業が抱える、労務管理体制が弱い、人材確保が困難である、取引関係において弱い立場になりやすいといった事情を踏まえて、時間外労働を可能な限り短くするための具体的な改善方法を提示して丁寧に助言及び指導を行うことを示したものである旨答弁しているとおりである。
時間外労働の上限規制の施行期日については、働き方改革実行計画(平成二十九年三月二十八日働き方改革実現会議決定)において、「中小企業を含め、急激な変化による弊害を避けるため、十分な法施行までの準備時間を確保する」こととされたこと等を踏まえ、大企業については、平成三十一年四月一日、また、中小企業については、平成三十二年四月一日としたところである。
いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象業務については、平成二十七年二月に労働政策審議会において取りまとめられた今後の労働時間法制等の在り方について(建議)において、「具体的には、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)、コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)、研究開発業務等を念頭に、法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定することが適当」とされているところであり、これを踏まえて労働政策審議会において議論していただき、厚生労働省令で定めることとしている。
お尋ねの「省令」が、いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象業務について定める省令を指すとすれば、四の1についてでお答えしたとおりである。
お尋ねについては、平成三十年六月四日の参議院本会議において、安倍内閣総理大臣が、活力ある日本を維持していくためには、高い付加価値を生み出す経済を追求していかなければならず、研究、開発等創造的に付加価値を生み出していく仕事に、より力を注がなければならない状況において、いわゆる高度プロフェッショナル制度の導入は待ったなしの課題になっている旨答弁しているとおりである。
お尋ねについては、第百二十二回の労働政策審議会労働条件分科会において、厚生労働省より、「平成十五年(中略)当時の技術系の一定の管理職層の方々、具体的には課長級の方々の確実に支払われる給与の額で見た年収として、上から四分の一をとって千七十五万円ということであれば相当程度の交渉力が認められるのではないかという意見で審議会がまとまり・・・その後、かなり年数も経つ中で、制度の成熟を見て、こうした数字が労働基準法の体系の中で、交渉力のある方々にとっての年収要件ということで定着してきている」と説明しているところである。