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令和四年二月八日受領
答弁第九号

  内閣衆質二〇八第九号
  令和四年二月八日
内閣総理大臣 岸田文雄

       衆議院議長 細田博之 殿

衆議院議員山本太郎君提出「検査を行わなくとも臨床症状で新型コロナウイルス感染者と診断してよい」との方針変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本太郎君提出「検査を行わなくとも臨床症状で新型コロナウイルス感染者と診断してよい」との方針変更に関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「当該事務連絡」(以下「令和四年事務連絡」という。)においては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)等に基づく対応について、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、その長。以下「都道府県知事等」という。)の判断で行うことが可能なものを明確化したものであり、御指摘のような「これまで可能としていなかった」ものではない。

二及び十二について

 お尋ねの「メリットおよびデメリット」については、「当該事務連絡の発出によって」影響を受ける対象は様々であることから、網羅的かつ具体的にお答えすることは困難であるが、令和四年事務連絡については、令和四年一月十三日に国立感染症研究所が公表した「実地疫学調査により得られた情報に基づいた国内のオミクロン株感染症例に関する暫定的な潜伏期間、家庭内二次感染率、感染経路に関する疫学情報(二千二十二年一月十日現在)」、専門家の議論等を踏まえ、「今後感染がさらに継続して急拡大した場合に備え、患者の症状や重症化リスク等に応じて、適切な医療の提供が確保されるよう」、「地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」及び「外来医療のひっ迫が想定される場合」において、都道府県知事等の判断で行うことが可能な対応を示したものであり、各都道府県知事等により適切な対応が行われることにより、御指摘の「外来医療のひっ迫」を改善する効果が生じ得ると考えている。また、令和四年事務連絡においては、「本人が希望する場合には検査前でも医療機関への受診は可能であることや、症状が重い場合や急変時等には速やかに医療機関を受診するよう、併せて呼びかけること」等と示しており、必要な検査や医療が受けられるよう配慮している。

三について

 お尋ねの「自己検査にかかる費用」については、感染症法第十五条第一項に基づく調査(以下「行政検査」という。)として行われる、都道府県知事等及び都道府県知事等から委託を受けた事業者等が発熱等の症状がある同条第三項の「感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」に対して配布した新型コロナウイルス感染症に係る検査キットの使用により当該者が自ら行う検査の場合は、感染症法第五十八条第一号及び第六十一条第三項の規定により都道府県及び国が負担することとなるが、行政検査の場合以外で自ら検査した場合は、当該検査に係る事情が様々であると考えられることから、負担を行う者について一概にお答えすることは困難である。なお、御指摘の「後日全部もしくは一部還付」することは、現時点では考えていない。

四について

 前段のお尋ねについては、「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて」(令和二年三月四日付け健感発〇三〇四第五号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)において示しているとおり、医療機関において医師の判断により診療の一環として行われる新型コロナウイルス感染症に係る検査は行政検査として扱うこととしており、御指摘の「当該検査」は行政検査に当たることから、その費用は、感染症法第五十八条第一号及び第六十一条第三項の規定により都道府県及び国が負担することとなる。後段のお尋ねについては、当該医師が行った診断等の内容に応じて個別具体的に判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。

五について

 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第一項の規定による診療に応ずる義務の有無を判断するに当たっては、同項にいう正当な事由の有無を個々の事例に即して具体的に検討することが必要であるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

六の1及び2について

 お尋ねについては、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」の「Q五.一.Bの「同居家族などの感染者の濃厚接触者」とはどのような濃厚接触者か」において、「感染している可能性が非常に高い濃厚接触者として、家族等の同居人が感染者となった場合やクラスターが発生した施設の従業員で明らかな曝露歴がある場合などを想定しています。なお、あくまでも医師の裁量として検査を実施しなくても十分に新型コロナウイルス感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものと言える場合を想定しています」と示しているとおりである。

六の3から5までについて

 御指摘の「濃厚接触者」については、都道府県知事等が、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」の「Q五.一.Bの「同居家族などの感染者の濃厚接触者」とはどのような濃厚接触者か」、国立感染症研究所が作成した「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(令和三年十一月二十九日版)」、「B.一.一.五二九系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和三年十一月三十日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)のTの二のB等において示されている取扱いを踏まえ、個別具体的な状況に応じて判断することとなるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

六の6について

 前段のお尋ねについては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第十二条第一項及び第十四条第二項に基づく届出の基準等について(一部改正)」(令和三年二月十日付け健感発〇二一〇第五号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)の別紙「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」の第七の一の(三)において、「患者(確定例)」の届出基準については、「(二)の臨床的特徴を有する者について、(四)に該当すること等から新型コロナウイルス感染症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、当該者を新型コロナウイルス感染症と診断した場合」としているところ、令和四年事務連絡の一のBにより診断された者は、医師の判断により検査を行わず、臨床症状で診断しているため、当該「患者(確定例)」に該当しないことから、「患者(確定例)」として届け出ることとしていないものである。後段のお尋ねについては、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」の「Q九.一.Bの疑似症患者は、自治体が公表している新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めるのか」において、「一.Bの疑似症患者は、自治体の公表において、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めていただくようお願いします。その際、新規陽性者数の内数として、一.Bの疑似症患者の数を明示する形で公表するようにご留意ください」と示しているとおりである。

七について

 感染症法第十五条第四項については、「感染症の患者を迅速に発見することにより、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため」と規定し、御指摘の「当該Q&A」においても、「例えば、新型コロナウイルス感染症については、無症状でも感染させるリスクがあること等のその特性に鑑み、現に感染が発生した施設等に限らず、特に医療機関、高齢者施設等を中心に、地域の関係者を幅広く対象に、検査を実施することが重要です」等と示すなど、地域における感染拡大の防止や早期発見を目的として幅広く検査を行うことが想定されている一方、令和四年事務連絡は、「今後感染がさらに継続して急拡大した場合」においても「適切な医療の提供が確保されるよう」、新型コロナウイルス感染症の患者を診断するに当たっての取扱いとして、「医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で診断すること」を可能とすることを示したものである。したがって、同項と令和四年事務連絡とでは、趣旨・目的、想定する状況や措置の内容等が異なることから、御指摘のような「齟齬」が生じるものであるとは考えていない。

八の1について

 お尋ねの「法的にすべて等しく扱われるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、感染症法第八条第二項において、「新型インフルエンザ等感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものについては、新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する」と規定しているところ、御指摘の「当該疑似症患者」については、令和四年事務連絡において、「感染者の濃厚接触者が有症状となった場合」において医師により臨床症状で診断されているため、同項の「新型インフルエンザ等感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるもの」(以下「新型コロナ疑似症患者」という。)に該当するものである。

八の2及び3について

 御指摘の「新型コロナウイルス感染症に関する治療」の意味するところが必ずしも明らかではないが、感染症法第八条第二項の規定により新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして適用する感染症法第二十六条第二項の規定において準用する感染症法第十九条又は第二十条の規定により入院の勧告又は入院の措置が講じられている新型コロナ疑似症患者の入院に要する費用については、感染症法第三十七条及び第四十二条並びに第五十八条第十号及び第十二号並びに第六十一条第二項の規定により都道府県及び国が負担することとなり、また、当該入院以外の新型コロナ疑似症患者に対する医療のうち、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養における公費負担医療の提供について」(令和二年四月三十日付け健感発〇四三〇第三号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)の「二.補助事業の対象となる医療」に要する費用については、「都道府県が医療機関等に対して・・・保険給付後のなお残る自己負担額を補助した場合、その費用を新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の対象として補助する」こととしているところである。これらの取扱いについては、お尋ねの「それまでにかかった医療費」についても同様である。

九について

 お尋ねについては、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」における「Q六.一.Bの「同居家族などの感染者の濃厚接触者」について、経口薬など治療薬を投与する場合などにおいても検査を実施しなくてよいのか」において、「経口薬など治療薬を投与する場合や他疾患の可能性も相応に高く鑑別が必要な場合などにおいて、診断を確定する(※)ために検査を実施することは当然に必要となります」と示しているとおりである。

十について

 お尋ねについては、御指摘の「不利益」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

十一について

 御指摘の「当該臨床診断が可能とされることによって・・・医療機関の負担がむしろ増える」事態については、現時点では想定していない。

十三について

 令和四年事務連絡は、現在の感染状況等を踏まえ、「地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」及び「外来医療のひっ迫が想定される場合」において都道府県知事等の判断で行うことが可能な対応を示したものであるが、その見直しの必要性については、今後の感染状況、医療機関の状況、専門家の意見等を踏まえ総合的に判断する必要があると考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

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