答弁本文情報
令和七年三月二十五日受領答弁第九七号
内閣衆質二一七第九七号
令和七年三月二十五日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員屋良朝博君提出豪雨による被害を受けた農業者に対する支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出豪雨による被害を受けた農業者に対する支援に関する質問に対する答弁書
一の1について
政府としては、沖縄県東村における御指摘の「二〇二四年」「十一月九日から十日にかけて鹿児島県及び沖縄県を襲った豪雨」に係る農地等の災害復旧事業に要する経費の額が、「局地激甚災害指定基準」(昭和四十三年十一月二十二日中央防災会議決定)に定める基準額を超えていないことから、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)第二条第一項に規定する激甚災害(以下単に「激甚災害」という。)としての指定を行っていないものである。
一の2について
災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号。以下「救助法」という。)第二条第一項においては、都道府県知事は、政令で定める程度の災害が発生した市町村の区域内において、当該災害により被害を受け、現に救助を必要とする者に対して、救助法による救助を行うこととされている。
また、災害救助法施行令(昭和二十二年政令第二百二十五号)第一条においては、救助法第二条第一項に基づき、救助法による救助の対象となる災害の程度として、地方公共団体の区域内において、当該地方公共団体の区域内の人口に応じて一定数以上の世帯の住家が滅失したこと、又は、多数の者が生命若しくは身体に危害を受け、若しくは受けるおそれが生じた場合であって、内閣府令で定める基準に該当することを規定している。
御指摘の「二〇二四年」「十一月九日から十日にかけて鹿児島県及び沖縄県を襲った豪雨」について、鹿児島県及び沖縄県では、それぞれ、両県の区域内の人口に応じて一定数以上の世帯の住家の滅失は生じていないため、両県における災害の程度が「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合であって、内閣府令で定める基準に該当する」か否かが問題となるところ、鹿児島県はこれに該当し、沖縄県はこれに該当しなかったものである。
二の1のア及びイについて
お尋ねの「被災したほ場等」及び「必要な資材費等」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、政府としては、例えば、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律第百六十九号)第二条第六項に規定する災害復旧事業により、被災した農地における堆積土砂の排除、法面の復旧等に係る工事に要する費用について、当該工事の施行に直接必要な材料費等も含めて支援を行っているところである。また、激甚災害として指定された場合には、当該災害復旧事業の補助率のかさ上げを行っている。
二の1のウについて
政府としては、極めて大規模な災害による農業に係る被害に対しては、「農地利用効率化等支援交付金」等により、被災した農業施設の修繕等に要する費用の助成等の特例的な支援措置を講じているところである。
二の1のエについて
政府としては、例えば、「強い農業づくり総合支援交付金」や三で御指摘の「農林漁業施設資金」等により、御指摘の「自然災害に強い農業施設の導入」に要する費用の助成や資金の融通等の支援を行っているところである。
二の2について
豪雨による農業に係る被害に対しては、現在、二の1のア及びイについてから二の1のエについてまでで述べた支援措置を講じているところであり、今後とも、被害の状況等に応じて適切に対応していく考えである。
三について
御指摘の「今回の豪雨による被害のような、局地的な災害により被害を受けた農業者」に対しては、株式会社日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金、御指摘の「農林漁業施設資金」等の長期低利の資金の融通等を行っている。一方で、国と地方公共団体の適切な役割分担を踏まえ、対象区域を明示しない激甚災害を指定するための基準である「激甚災害指定基準」(昭和三十七年十二月七日中央防災会議決定)に定める要件を満たす災害については国によるこれらの資金の無利子化等の措置を講じているが、御指摘の「局地的な災害」については、現時点において、御指摘のように「無利子又は低利の制度資金の拡充」を行うことは考えていない。
四について
御指摘の「共済掛金」又は「保険料」については、農業共済又は農業経営収入保険に加入する農業者が支払うべきものであるが、天候等の自然的条件に左右される等の農業の特性から、被害率やこれに対応した共済掛金率又は保険料率が高くなることにより、農業者の負担能力を超えるおそれがあることに鑑み、その負担を軽減し加入を促進することにより農業経営の安定を図るため、農業者の負担能力、財政事情、他の制度とのバランス等の観点から総合的に判断の上、政府が、農業保険法(昭和二十二年法律第百八十五号)第十条等に定める割合に相当する金額を負担しており、政府としては、これ以上の負担を行うことは考えていない。また、農業者の加入を促進するため、政府は、災害その他の不慮の事故等によって損失を受ける場合に農業者が補塡を受ける損失の範囲やこれに対応した共済掛金又は保険料の金額をその経営状況に応じて選択することを可能とし、加えて、農業共済組合においては、農業者に対し、その加入に当たりこの旨を周知しているところである。