答弁本文情報
令和七年四月二十二日受領答弁第一四〇号
内閣衆質二一七第一四〇号
令和七年四月二十二日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員屋良朝博君提出良質な幼児教育実現のための制度の整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員屋良朝博君提出良質な幼児教育実現のための制度の整備に関する質問に対する答弁書
一について
令和七年度予算においては、例えば、「私立学校施設整備費補助金」による私立の幼稚園の新設等のための園舎の新築及び増築等に必要な経費の一部の補助に要する経費を計上しており、また、「私立高等学校等経常費助成費補助金」について、幼稚園における継続的な賃上げへの支援に加え、新たに幼児教育の質の向上のための処遇改善への支援を行うとともに、令和六年度当初予算と比較して「幼稚園等特別支援教育経費」や「子育て支援推進経費」に係る予算を増額して計上しているところである。
二について
お尋ねについては、「幼保小の架け橋プログラム事業」において、モデル地域における五歳児から小学校一年生までの二年間の教育に係るカリキュラムの開発、実施、改善等を行ってきたところであり、令和七年度予算においては、「幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業」の実施に必要な経費を計上し、これらの取組の全国展開を図っているところである。
三の1について
お尋ねについては、幼児教育の質の向上を図るため、例えば、「教育支援体制整備事業費交付金」により、地方自治体における、幼児教育に関する調査研究や研修、情報提供等の施策を総合的に実施するための拠点である「幼児教育センター」の設置や、幼稚園、保育所、認定こども園等に対して教育内容、指導方法等に関する助言を行う「幼児教育アドバイザー」の配置等に必要な経費を補助するとともに、各種会議等の機会を通じて、地方自治体に対して、これらの設置や配置の必要性等について周知を図っているところである。
三の2について
政府としては、幼児教育の質の向上を図るため、地方自治体の取組を支援する「幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業」や、幼稚園等が直面する課題について調査研究する「幼児教育の学び強化事業」等、様々な施策を講じているところであり、御指摘の「今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会最終報告」における指摘も踏まえ、引き続き、必要な施策を検討してまいりたい。
四について
文部科学省においては、幼児教育が子供の発達及び小学校以降の学習や生活に与える影響を明らかにするため、「幼児教育に関する大規模縦断調査事業」を行っているところであり、当該調査の結果も踏まえ、必要な施策を検討してまいりたい。また、同省においては、幼児教育の重要性等についてのポスターや動画等を作成し、同省のホームぺージ等において周知しているところであり、引き続き、このような普及啓発に係る取組を進めてまいりたい。
五について
お尋ねについては、厳しい財政状況の下、他の子ども・子育て関連施策等との均衡等を勘案すると、課題が多く慎重な検討が必要と考えている。
六について
認定こども園及び私立の幼稚園のうち特定教育・保育施設(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設をいう。以下同じ。)である幼稚園に勤務する教諭等の給与については、令和七年三月十四日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、政府参考人が「保育士、幼稚園教諭等の処遇改善、これは人材確保の観点からも非常に重要であると思っております。令和六年度補正予算では十・七パーセントの大幅な改善を実施し、令和七年度予算案、当初の予算案でも財源を確保した上でこれを反映しているところでございます。(中略)今後も改善状況を注視しながら、こども未来戦略に基づいて民間給与動向を踏まえた更なる処遇改善を進めてまいりたいと考えております。」と答弁しているとおりである。また、私立の幼稚園のうち特定教育・保育施設ではない幼稚園に勤務する教諭等の給与については、「私立高等学校等経常費助成費補助金」による継続的な賃上げへの支援に加え、新たに幼児教育の質の向上のための処遇改善に対する支援を行うこととしており、令和七年度予算においてもこれらに要する経費を計上しているところである。
七について
お尋ねの「人材確保及び環境整備」、「幼児教育機能を活かした質の高い預かり」、「財政面と教育面の両面にわたる支援」及び「補助金体系」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、文部科学省においては、「私立学校施設整備費補助金」において、幼児の預かりを行う事業等の実施に伴う園舎の改築等に要する経費への補助等の支援を行うとともに、令和六年度に実施した「幼児教育の学び強化事業」における「子育ての支援や家庭等との連携強化に関する調査研究」において作成したリーフレットの配布等を通じて幼稚園における零歳から二歳までの乳幼児の受入れに関する実践例等の普及啓発を図る予定であり、こうした取組により、今後とも支援の充実に努めてまいりたい。また、御指摘の「こども誰でも通園制度」については、こども家庭庁成育局長が参集を求めて開催していた「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」が令和六年十二月二十六日に公表した取りまとめにおいて、「令和八年度からの給付化に伴い、こども誰でも通園制度の一時間当たりの費用について、公定価格として設定する必要があり、その在り方について検討する必要がある。」とされていることも踏まえ、必要な対応を検討してまいりたい。
八について
私立の幼稚園の認定こども園等への移行に関する支援については、例えば、「教育支援体制整備事業費交付金」により、当該移行の際の事務職員等の雇用等に係る経費の一部を補助しているところである。