答弁本文情報
令和七年五月二十日受領答弁第一七七号
内閣衆質二一七第一七七号
令和七年五月二十日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員海江田万里君提出融資一体型変額保険被害者の被害の現状に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員海江田万里君提出融資一体型変額保険被害者の被害の現状に関する質問に対する答弁書
一について
銀行等については、日本銀行の「貸出先別貸出金統計」によると、令和六年三月末時点の「個人(住宅・消費・納税資金等)」向け貸出件数及び残高は、国内銀行が約千九百十七万件及び約百六十兆四千億円、信用金庫が約二百七十四万件及び約二十兆九千億円である。このうち、「住宅・消費(割賦返済分)」中のお尋ねの「住宅ローン」に相当するものと考えられる「住宅資金」向け貸出を除いた貸出残高は、国内銀行が約十三兆三千億円、信用金庫が約三兆一千億円である。なお、統計上、お尋ねの「住宅ローンを除外した個人への融資の件数」に相当するものは集計されていない。
生命保険会社については、一般社団法人生命保険協会の「生命保険事業概況」の令和五年度の年次統計によると、「一般貸付」のうち「企業貸付」、「国・国際機関・政府関係機関貸付」、「公共団体・公企業貸付」、「住宅ローン」及び「その他」を除外した「消費者ローン」の残高がお尋ねの「住宅ローンを除外した個人への融資」の残高に相当するものと考えられるところ、令和六年三月末時点で約六千九十六億円である。また、お尋ねの「件数」については、把握していない。
貸金業者については、貸金業者から貸付金の種別残高等に関して報告を受けている業務報告書によると、令和六年三月三十一日時点で「住宅向」貸付を除く「消費者向」貸付の件数及び残高は、約千七百九十九万件及び約五兆六千二百億円である。
二、五から七まで、十三及び十四について
お尋ねについては、政府として把握していない。
三について
お尋ねの「返済期限が到来しているにもかかわらず、返済が完了していない銀行の融資件数と残高」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、銀行が保有する債権であって、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律施行規則(平成十年金融再生委員会規則第二号)における破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権並びに要管理債権に該当するもののそれぞれの残高の合計額は、令和六年三月末時点で約九兆五千七百九十億円であり、これに対応する債権の件数は把握していない。
四について
お尋ねの「近年」及び「金融機関の貸出残高」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般社団法人全国銀行協会の「全国銀行財務諸表分析(二千二十三年度決算)」によると、例えば、国内銀行の貸出残高は、過去五年間増加しており、御指摘のように「貸出残高が減少している」とは認識していない。このため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
八について
お尋ねの「金融機関が得ていた情報」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、貸金業者は、貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二十四条の規定に基づき、貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡するに当たっては、その者に対し、契約年月日、貸付けの金額、貸付けの利率等の事項を通知しているものと承知している。
銀行等についても、一般的にはこれらの事項に係る情報が提供されているものと考えるが、詳細は把握していない。
九について
平成十六年十二月に金融庁が公表した「金融改革プログラム−金融サービス立国への挑戦−」において、「利用者保護のための情報提供・相談等の枠組みの充実」の施策の一環として「金融サービス利用者相談室」を設置することとし、平成十七年七月に同庁に設置したものである。
十について
金融庁において、金融サービス利用者相談室で受け付けた相談等の受付件数を公表している「「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等」によれば、令和五年四月一日から令和六年三月三十一日までの間の相談等の受付件数は、銀行及び協同組織金融機関に係るものは一万四千三百十二件、生命保険会社に係るものは千七百三十八件、「貸金等」に係るものは二千三百十件である。
十一について
お尋ねの「これを取り上げ調査に至った」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、金融庁において、金融サービス利用者相談室で受け付けた相談等のうち、相談者の同意を得たものについては金融機関等に対し相談内容の伝達を行うこととしており、十についてでお答えした受付件数のうち、相談者の同意を得た件数は、銀行及び協同組織金融機関に係るものは六千四百三件、生命保険会社に係るものは百六十一件、「貸金等」に係るものは八十件である。
十二について
金融庁において、法令違反等に関する不利益処分の事例を公表している「行政処分事例集(令和七年三月三十一日時点)」によれば、令和六年四月一日から令和七年三月三十一日までの間において、預貯金取扱金融機関及び生命保険会社に対して関係法令に基づき行政処分を行った事例は、それぞれ四件及び零件である。
十五について
銀行等については、銀行法施行規則(昭和五十七年大蔵省令第十号)等において、銀行等は、その営む業務の内容及び方法に応じ、顧客の知識、経験、財産の状況及び取引を行う目的を踏まえた重要な事項の顧客に対する説明その他の健全かつ適切な業務の運営を確保するための措置に関する社内規則等を定めなければならないこと等が規定されており、保険会社や貸金業者についても関連法令において同様の規定が存在している。金融庁としては、こうした規定に基づき、金融サービス利用者相談室で受け付けた相談等も踏まえつつ、引き続き適切な監督に努めてまいりたい。