答弁本文情報
令和七年五月三十日受領答弁第一九二号
内閣衆質二一七第一九二号
令和七年五月三十日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松尾明弘君提出羽田空港新飛行ルートに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松尾明弘君提出羽田空港新飛行ルートに関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「新ルート飛行開始以降、新ルートを運用している時間帯」において「従来ルートの飛行で一時間当たりの発着回数が八十二回を超えた日」について、お尋ねの@「年ごとの日数」及びA「一時間当たりの平均回数」(小数点第二位を四捨五入した数字)を年ごとにお示しすると、それぞれ次のとおりである。
令和二年 @零日 A零回
令和三年 @零日 A零回
令和四年 @六日 A八十五・八回
令和五年 @十八日 A八十六・〇回
令和六年 @二十四日 A八十八・〇回
また、お尋ねの「超えたことによる悪影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「八十二回」は、「従来ルート」において、「羽田空港」の滑走路処理容量に鑑み、安定的な航空機の離着陸の処理を行うための一時的ではなく恒常的な「一時間当たりの発着回数」の上限であり、仮に、これを上回る状態が継続する場合、安定的に当該処理を行うことが困難になると考えられる。
一の2について
お尋ねについては、一万九百五十回増えるものと考えている。
二の1について
御指摘の答弁における「任意の高度で飛行すること」には、お尋ねの「新ルート運用時の特別管制空域」での飛行が含まれ、お尋ねの「航空法第八十一条に規定する最低安全高度以下」での飛行は含まれない。
二の2について
御指摘の「任意の高度での飛行」については、二の1についてで述べたとおりであり、「あらゆる高度での飛行を許容している」との御指摘は当たらず、また、御指摘の「米軍ヘリ」が御指摘の答弁における「新飛行経路」の「周辺空域」で飛行する際には、航空管制官が飛行の方法等について必要な指示を行っていることから、政府としては、お尋ねのように「衝突事故の懸念がある」とは考えていない。
二の3について
お尋ねの「十分なシミュレーションや評価」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、二の2についてで述べたとおり、御指摘の「米軍ヘリ」が御指摘の答弁における「新飛行経路」の「周辺空域」で飛行する際には、航空管制官が飛行の方法等について必要な指示を行っていることから、政府としては、御指摘の「旅客機と米軍ヘリとの交差リスク」はないと考えている。
二の4について
お尋ねの「飛行ルートや日時等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、お尋ねの「飛行ルートや日時」について事前に把握していないものの、二の2についてで述べたとおり、御指摘の「米軍ヘリ」が御指摘の答弁における「新飛行経路」の「周辺空域」で飛行する際には、航空管制官が飛行の方法等について必要な指示を行っており、また、米側においては、従前から、米軍機の飛行に際して安全の確保に努めているものと承知している。
三の1について
お尋ねのような「補償」については、特段の措置を講ずることは考えていないが、御指摘の「健康被害」の防止の観点も含め、国土交通省においては、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和四十二年法律第百十号)第八条の二の規定に基づき、国土交通大臣が指定する同法第二条に規定する特定飛行場の周辺の区域に当該指定の際現に所在する住宅(人の居住の用に供する建物又は建物の部分をいう。以下同じ。)について、その所有者又は当該住宅に関する所有権以外の権利を有する者が航空機の騒音により生ずる障害を防止し、又は軽減するため必要な工事を行なうときは、一定の基準の下で、その工事に関し助成の措置をとることとしている。また、お尋ねの「騒音被害を軽減するための追加的な対策」については、同省のホームページの「羽田空港のこれから」(以下「ホームページ」という。)で示しているとおり、「今後の取組」として「更なる騒音負担軽減・・・に資する方策について国際動向等を踏まえた調査・研究」を実施することとしており、これを踏まえ、今後、検討していく予定である。
三の2について
お尋ねの「観測地点のみならず、騒音が収集される環境も」の趣旨が必ずしも明らかではないが、お尋ねの「方法」については、年間を通じて複数箇所において騒音測定器を設置して航空機の騒音を測定することとしており、また、お尋ねの「観測地点」については、航空機の飛行経路の主要な部分との間に障害物が存在せず、大きな建築物等に近接する地点ではなく、航空機騒音と航空機騒音以外の騒音との差が十デシベル以上確保できるような場所の中から選定した航空機騒音測定局の設置場所において実施することとしている。
三の3について
三の2についてで述べたとおり、航空機の騒音の測定地点の選定に当たっては、大きな建築物等に近接する地点を避けることとしており、お尋ねの「ビルの合間のような音がこもりやすい地点」において当該騒音の測定は行っていない。
三の4について
お尋ねについては、御指摘の「欧州地域向けの環境騒音ガイドライン」において、御指摘の「航空機騒音」への暴露による不快感の増加については、その可能性が一定程度ある旨の記載がある一方で、虚血性心疾患や高血圧症の発生については、その可能性は低い旨の記載があるものと承知しており、我が国政府としては、御指摘の「その基準」の採用については慎重に検討すべきと考えており、いずれにせよ、今後とも必要な科学的知見の集積に努めてまいりたい。
四について
お尋ねの「海上ルートの活用」については、ホームページで示しているとおり、「今後の取組」として「海上ルートの実現に資する方策について国際動向等を踏まえた調査・研究」を実施することとしている。
五の1について
お尋ねについては、交通政策審議会航空分科会基本政策部会首都圏空港機能強化技術検討小委員会における検討の結果、平成二十六年七月八日に「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめ」において、「羽田空港における昼間時間帯や成田空港における国際線の出発・到着が集中する夕方の時間帯においては、それぞれ処理能力の限度までダイヤが設定されており、航空会社が希望する時間帯に就航することができないという事態が発生している」と示されており、一の1で御指摘の「新ルートを運用している時間帯」においては、既に、御指摘のように「成田空港の発着枠を最大限に活用」しているところであり、また、「交通政策基本計画」(令和三年五月二十八日閣議決定)において、「首都圏空港全体での年間発着容量約百万回の実現を目指す」こととされており、政府としては、御指摘の「新ルート」を引き続き運用する必要があると考えている。
五の2について
御指摘の「更に増やす」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年三月十三日に開催された「成田空港に関する四者協議会」において締結された「成田国際空港の更なる機能強化に関する確認書」において、今後予定されている「滑走路の増設・延伸等」と併せて「成田空港の年間発着枠を、現在の三十万回から五十万回に拡大すること」とされている。