答弁本文情報
令和七年五月三十日受領答弁第一九五号
内閣衆質二一七第一九五号
令和七年五月三十日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出経営・管理の在留資格に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出経営・管理の在留資格に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「本邦において事業の経営を行うことが主たる目的であると偽って経営・管理の在留資格を取得すること」及び「不正な手段による在留資格の取得」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「経営・管理」の在留資格に係る出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第七条の二第一項に規定する在留資格認定証明書の交付申請等(以下「在留資格認定証明書交付申請等」という。)に係る審査において、事業の実態がないことが判明すれば、不交付処分等を行っているところ、例えば、不実の記載のある文書等の提出等により交付を受けた在留資格認定証明書を提出するなどして上陸許可の証印等を受けることについては、入管法第二十二条の四第一項による在留資格の取消しや入管法第七十条第一項の罰則の対象となり得る。
二及び三について
犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸等した者については、入管法第七十条第一項の罪が成立し得、営利の目的で同項第二号の二に規定する行為の実行を容易にした者については、入管法第七十四条の六の罪が成立し得るものと考えられる。
四について
犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、司法書士又は司法書士法人でない者が、業として、他人の依頼を受けて登記に関する手続について代理したときは、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第七十八条第一項の罪が成立し得るものと考えられる。
五について
犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個々に判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難であるが、一般論としては、行政書士又は行政書士法人でない者が、業として、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成したときは、行政書士法(昭和二十六年法律第四号)第二十一条の罪が成立し得るものと考えられる。
六について
在留資格認定証明書交付申請等の許否については、個別の事案に応じて、申請内容や申請人の状況等の諸般の事情を総合的に考慮して判断することとなるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
七について
お尋ねの「低きに失する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「要件」は、我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して定めたものであり、これを含む「経営・管理」の上陸許可基準の在り方については、経済及び社会の状況の変化に応じて検討すべきものであり、現に検討を行っているところである。
八について
「経営・管理」の在留資格に係る活動については、外国語を使用して行うことも認めることが適当であることから、御指摘の「常勤の職員」又は「経営に従事する者」について、日本語能力を有していることは求めておらず、当該在留資格に係る申請を行う場合に申請者が提出する資料には、日本語能力を証明する資料は含まれていない。
九について
入管法第二十一条第二項に基づいて行われた在留期間の更新の許可の申請に対し、事業の経営を行っていないことを理由として不許可処分を行った事例があることは承知しているが、その件数については統計をとっていないため、お尋ねの「令和五年度及び六年度は何件あったか」についてお答えすることは困難である。
十について
「経営・管理」の在留資格に係る在留資格認定証明書交付申請等が行われた場合に、事業の実態に疑義があれば、審査を担当する職員が実地調査等の必要な調査を実施し、適正な出入国在留管理を行う必要があると考えている。